2012年10月12日

ヒストリエ

最近はすっかり娘の後塵を拝しているコミック収集だ。おっかしいな、5年くらい前まではぼくの方がずっと良い作品を見つけて娘に読ませてたんだけど、最近は娘が「お父さん、こんなの好きじゃないの?」ってamazonで注文してくれる。

 

浦沢直樹なんてぼくの方が先に知ってたのに、いつの間にか欧州を舞台にした素晴らしい作品「Monster」を持ってきて「お父さん、この作家さん好きなんでしょ、読んでみれば?」と。一体どういうこっちゃと思いながら読んでハマる。

 

今回のヒストリエも、今の忙しさではなかなか調べる手間も時間もなかったのだがいつの間にか用意してくれてて、最初は「何だこの画風?手抜きか〜」とか思いながら、あっという間に古代欧州から中央アジアの歴史の渦の中に放り込まれて、読む時はいつも愛用のレッツノートでギリシアからイスタンブール、そして黒海あたりの地図を表示させてストーリーを追う始末である。

 

情けないやら娘の成長を喜ぶやら何とも言いようがないが、このヒストリエもよく出来た作品だな。実に良い。

 

ぼくは子供の頃から活字や漫画が大好っきで、その為にいろんな思い出もあるけど、世間、特に西洋の人々がコミックに持つ偏見は全くなく、堂々と本をカバーなしで持ち歩ける。誰かが「大の大人がそんな本を?」と聞かれれば堂々と言い返せる。「ではあなたの宗教は?価値観は?文化に対する理解度は?」

 

ぼくにとっては漫画も哲学も全く同じ「人間の知識と先見性を競うメディア=媒体である」と考えている。伝える形が絵なのか文字なのかの違いだ。それで言えば映像で伝える映画も同じでいくら金をかけたかではなく作った人が何を言いたかったのか、そしてそれはどこまで独創性があってどれだけ僕にとって役立つ知識かどうかがすべてである。

 

だから媒体に上下なし、すべてはその「実質」にあると考えている。人に見られて恥ずかしいものはなにもないわけで、だから僕は本を買うときもカバーを一切しない。人にタイトルを見られて気になるのは自分に自信がないからだ。

 

自分に自信があれば相手がそのタイトルを見て誤解したとしてもそれは一時の問題でありその誤解が一生抜けないような相手に誤解されても無視すれば良いだけと考えている。何で程度の低い相手にこちらが合わせカバーをしなくちゃいかんのだ。

 

という事でヒストリエ。

 

「お前ならどこ行っても上手くやってけるよ、元気でな」殺人を犯して逃げるエウメネスに子供時代からの親友トルミデスがかける言葉、じわっと心が温まってくる。

 

「壁の外の世界は様々な変化に富んで面白いよ・・・でも強い覚悟を決めなきゃならない事もある。君は無理をして城壁の外へ出るべきではないと思う。」エウメネスが兄に対して言う。これも事実。何だかまるで移住の話をしているようだ。出来ないのに無理して生活を潰しても意味はない。夢だけでは飯は食えないのだ。

 

この時代では城塞である街を出て船で黒海に繰り出すのはそれだけで危険な作業であり沈没の可能性もあり現地に到着しても自分が想像していたのとは全然違っていたりする。それでも乗り出していけるには心に相当のゆとりがないとやっていけない。

 

現在第7巻。あと何年かかって完成するのか分からないが、期待してます。それにしても漫画。日本が世界に誇る文化ですね。



tom_eastwind at 10:35│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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