2012年10月13日

男は夢で移住を語る、女は現実で移住を語る。

この仕事をしていて一番面白い点は「どこで主導権が移るか」だ。面白いと言っては大変失礼だが、移住を最初に思いつくのは大体においてご主人である。

 

ご主人が昔からの夢で海外生活をしたいと思って説明会に来る。そこでニュージーランドの現状を聴きこんで自宅に帰って子供を寝かしつけてから奥さんに話す。

 

「ねえ移住しようよ、ニュージーランドはどうやら良さそうだよ、すでに日本人が沢山移住しててオークランドには1万3千人くらい住んでるんだってよ。社会保障もしっかりしているし白人国家の中で最も差別が少ないし地元の人は日本人には好意的なんだってさ」

 

“どうせ説明会でうまいことちょろまかされてきたんでしょ、あんたもお人好しだからね”そう心の中で思ってる奥さん。

 

旦那制御方法をよく心得ているから直接反対はしないけど心のなかではすでにバッテンマーク。“一体どこのどいつが調子いい事吹き込んだのか”って間接的に僕に敵意を抱くのだが(苦笑)、どうせ次の夏休みは時間もあるし旅行がてら子供を連れて一緒に行ってみるか、行って見れば現実が分かって旦那も諦めて今の仕事に集中してくれるだろうよ。

 

ところが下見に来て実際に現地で生活を始めている日本人移住家族の方から直接話を聞いてみると、どうもこりゃ思ってたのと違うし何となく生活、日本よりも良さそうじゃんか。仕事も、無理して贅沢しなければどうにかなるな・・。

 

そう思ったら俄然やる気が出てきて女性にしか見えない視点で様々な質問を移住してきた家族に聞いて、学校を訪問して本当に日本人の子供が白人の子供たちと仲良く英語でお喋りしているのを見て、わ、うちの子供も一年もすればああやって英語がネイティブになるの〜って、何となく具体的な将来が見えてくる。

 

ところがご主人の方は、最初は夢で移住なんて語る自分を好きだったのが現実的にオークランドで下見をしてみると、どうやら本当に現実的になりそうだけど、それって今まで日本で作ってきた社会的地位も肩書きも給料もすべて捨ててゼロから作り直すって事じゃんって現実に目が覚める。

 

今さら学生じゃあるまいし、この年でまたおいっちにーって就活なんて怖くてやれねーよ、第一失敗したらどうすんだ、俺の責任になるじゃんか、急に現実に引き戻されて恐怖さえ覚えて「やっぱ止めようよ」って奥さんに言い出す。

 

ところが現実のニュージーランド生活を見てこりゃ長期的に見て子供の将来を考えたら移住が絶対いいわって決めてしまった奥さんを押しとどめる力は不幸にして旦那さんにはない。

 

まるでエイリアンズ(2)でシガーニー・ウィーバー扮するリプリーが後半で兵士ヒックスに自動小銃の使い方を習う時に言った「あなたが始めたのよ、最後までやりましょ」って言葉を思い出す。そして彼女はグレネードランチャーの使い方を学んで派手に手榴弾をふっ飛ばすのだ。

 

そして移住計画が現実的となる、つまり主導権が旦那から奥さんに移る。

 

21世紀は水と食料とエネルギーの時代だ。神の恵みかニュージーランドはこの3つ全てを自前で揃えている。それでも人口400万人を賄うには十分すぎるほどだが人口1千万人を賄う事は出来ない。世界の人口は今世紀中に70億人を超すと言われている。

 

そうなれば現在は移住を積極的に推進しているこの国もいずれ国境を閉鎖するときが来るだろう、少なくとも今のような「緩い」移民政策ではなくなり、本当にこの国に役立つ国際的な人材しか受け入れなくなるだろう。

 

その時になって「ね、あの時移住してて良かったでしょ♪」って言うのは旦那さん、腹の中で笑うのは奥さん(笑)だろう。



tom_eastwind at 18:19│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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