2012年11月15日

資産防衛のための脱出

米国から資産家が脱出を始めている。オバマはブッシュ時代の金持ち減税法案を延長する気はさらさらなく今年年末をもって廃案にして来年からはしっかり「以前のように公平に、庶民と同じ負担をしてもらう」事にした。

 

この事件だけでなく、リーマン・ショック後に自由経済の名の下に金融ビジネスで大儲けした連中が自分たちだけはたっぷりとしたボーナスを貰い退職しておいて、金融界に与えた損害はすべて国民の税金で処理するという事態になった。

 

だもんで金融のモラルハザードという事で問題になり、米当局はここ1年くらいで米国民がケイマン諸島あたりに作ったペーパーカンパニーの取引内容の提示を要求し更にスイスにある米国人の口座データを米当局に提出することが決まった。

 

この結果米国人が蓄財の為に使っていたスイス口座のデータは米当局の知る所となり資産家に対する徹底的な財産の洗いなおしと追徴納税を請求出来る事態になった。

 

けど何で海外の独立した国家スイスに対して米国が請求出来るのか?その根拠は口座保持者が米国籍であるという点だ。米当局と言えどスイスの銀行に対して日本国籍の口座を請求することはどうしても無理筋だ。

 

しかし米国籍であればスイスに対していくらでも理屈を並べて後は恫喝することで出させることが出来る。米国は財政危機に陥っており金持ち減税などというブッシュの大盤振る舞いをやったものだから世の中がますます二極化してこの状態をどうにか是正するために米当局による米国籍資産家への税務調査が激化したのだ。

 

この話はたまたまシンガポールに移住して米国籍を捨てる米国籍保持者が急激に増えたという話から出てきた。シンガポールは現在は永住権の発給が厳しくなっているが今年の3月まではお金さえあれば永住権取得が容易であった。そして市民権を取得してしまえば米国籍から離脱出来て、米当局が追求する根拠がなくなる。

 

これは米国人だけではなくシンガポール人でも米国籍を取得していた人が今回の一連の米当局の措置を見て「あらま、じゃあいいや、アメリカのパスポートを捨ててしまえ」という動きに繋がっている。

 

他にもスイスの銀行からの情報としては、彼らは現在米国籍の顧客に対して資金移動や受け入れについて非常に過敏になっており、米国籍の口座の場合は例えば日本人顧客なら1cm程度の書類にサインが必要だが米国籍顧客の場合はこれが3cmになるとのこと。今回の口座開示請求がどれほどスイスの銀行に影響を与えたかがよく分かる事態だ。

 

これはニュージーランドでも影響が出ており、去年の投資家プラス枠で永住権を取得したベスト3の中に米国が入っているのだ。他には中国と英国。

 

普通の感覚で言えば世界で最も豊かで自由でモノが手に入る国で他国の憧れである米国籍を捨ててわざわざニュージーランドのような田舎に来るとは?と思うだろうが、普通の感覚ではない彼らは自分たち家族の資産を守るためには米国籍を捨てるのが一番と考えている。

 

課税の根拠を無くすこと、これが資産を守る基本であれば米国籍を捨ててNZ国籍を取得するという理屈になる。米国籍を捨てても今まで通り自家用ジェット機でいつでも米国に旅行することが出来るし、今の時代仕事はネットがあれば出来る。

 

そのような人々からすれば生活はNZ、仕事は米国、作業はNZという事が出来る。これはぼくが随分前から指摘していた事だが、21世紀になり航空機が発達して長距離移動が可能になりインターネットが発達して殆どの作業が自宅で出来るようになればどこか一箇所の国家に縛り付けられる必要はなくなる。

 

今まさに米国でそのような動きが起こっているのだ。それが米国から見て良いことか?そんなの、国家の意思と個人の意志は全く別物である。21世紀になったら国家とは一つの街であり、誰も住みやすい街を選ぶのは当然だ。



tom_eastwind at 01:40│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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