2012年11月18日

タクシーの運転手

 

「ビルの名前で言われても分からないんですよー」

ホテルからタクシーに乗り込んで東銀座の演舞場の隣の時事通信社ビルまでと伝えたらこんな返事が来た。

 

東京のタクシーの運転手ってそんなもんか?そう思いながら今度は住所を言うと震える手(アル中なのか老衰なのか不明)でナビのボタンを押しながら

「えーっと、どこでしたっけー?」

「東銀座です」

「それって何区ですかねー」

切れるぞ正直

「あの、私は仕事で来ているので東京のことはよく分からないんですよ、けど住所とビルの名前で分かるんじゃないですか、そこにナビ付いてますよね?」

「ああ、ボタンがうまく押せないなー」

知るか=!

 

小泉首相の時代にタクシーの規制緩和が行われて道を知らない運転手が激増した。それまではプロの運転手が東京中の道を知ってて、大雑把な説明でも一発で目的地まで着けてくれたが、本当にここ数年の運転手の程度の低さには呆れるしかない。

 

自分がプロでありお客からお金をもらっているという認識が乏しい。ナビを会社から支給してもらってもキーボードを押せない。道を知らない。自分を恥ずかしいと思わない。こう言っては言いすぎかもしれないが、やはり他の業種でリストラを食らうような人種なのではないかと、思わず怒りと共に考えてしまう。

 

そんな事情を東京に詳しい人に言うと彼女は「そんな事はない、あなたの説明不足だし態度が悪いからだ」と言い返された。たしかにぼくは説明が下手だし地図を読めないし態度は、、自分なりに公平だと思っているが世間では相当にガラが悪いと思われているのも事実だ。

 

けどその後に彼女と一緒にホテルからタクシーに乗って虎ノ門に向かった時、またも運転手が「虎ノ門ってどこでしたっけ?」

 

ほら見ろ、おれの問題じゃなくて東京のタクシー運転手の質が下がっているだけじゃんか。

 

ぼくがオークランドにいる時にいつもお願いするタクシー運転手のキースは夕方6時から仕事をはじめる人だ。もう70歳過ぎだが矍鑠としておしゃれで針金のように細い体で器用にタクシーを運転しているが、何よりも自分に自信を持っているしプライドを持っている。金のためだけに働いているのではなく楽しい友人と会話を楽しむために運転している。

 

彼はスナックで働いている日本人の女の子たちを送る時は、必ず彼女らがアパートの鍵を開けてホールに入るまできちんと見届けている。それは彼の責任感でありプライドだ。彼は人に道を聞かない。人に道を教える。

 

独身生活を楽しみサンドイッチ以外は食べることを得意とせず、時に日本食に誘ってもサンドイッチ以外を子供の頃から食べたことがないから恥ずかしそうに断るのだが、けれどそれは彼のプライドを傷つけるものではない。

 

彼に比べれば東京のタクシーの運転手の質の低下、というか人間力の低下には呆れるしか無い。日本が世界の中で追いぬかれたとか中国に負けたとか、それも当然ではないかと思ったりする東京での出来事だった。



tom_eastwind at 18:25│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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