2012年11月23日

総選挙について

僕の最近の記事を読んでる方は、僕は政治にあまり興味がないのではないか、ニュージーランドのことばかり書いているとお考えかもしれないが、以前は随分政治記事を書いてきた。

 

その経験として最近はもう記事を書かなくなった。結局何を書いても社会全体の進む方向は変わらず個人ができることは自分の周囲を変化させることではなく自分の住む環境を変化させるしかないと感じたからだ。

 

山上たつひこの「光る風」について以前書いたが、自民党の安倍総裁が「国防軍」の話を始めた。今回の選挙では「元の濁りの田沼恋しき」で自民党回帰が起こっている。民主党が馬脚を表した失望の結果として濁りの塊である自民党に票が戻り始めている。

 

維新の会にも票が集まるが、これは彼らが何かを変えることが出来ると希望している人々の票だろう。その気持はわかる。しかし現実問題として政治を進めていくには日本独特の「表面的民主主義」、つまり政治が決断を出来ず村社会的「おらが村だけ良けりゃええ」的な偽善民主主義が邪魔をして結果的に方向性が定まらないまま実質的に法律と制度を作る官僚の言いなりになるしかない。

 

政治は八百屋や肉屋と同じで毎日の生活に密着しており「今週は政治、おやすみします」は通用しない。毎日の実務としての政治を動かせるのは政策と実行のプロである官僚にしか出来ない。官僚排除を主張すれば官僚は「じゃあどうぞ、あなた達素人政治家がやってみて下さい、八百屋がおやすみして困るのは国民、文句の矢先は政治家に向きますよ」次の選挙で負けないためには官僚の言いなりになるしかないのだ。

 

今回の衆院選でも単独与党が出てくる可能性はほぼゼロであり自公連立に維新が個別政策で合流、程度であろう。そうなると自民党が要求する国防軍は将来的に「通る可能性」が高い。官僚としては自分たちの権力拡大のために防衛庁を防衛省に格上げした。

 

次は国防省にしたいわけでそうなると自衛隊ではなく国防軍となり軍備を強化して空母を建造して日本の海を守るという理屈が通る(すでに日本は実質的に空母を一隻保有している)。空母とは自国を守る平気ではなく他国を攻撃するものであるから国防の意味では本来不要。日本の海を守るにしても離島に航空自衛隊基地を作れば対応出来る。

 

米軍が最新鋭戦闘機を売ってくれなくても自国の製造業を集めて戦闘機を作る技術はある。ここまで揃ってお隣の中国が仮想敵国となれば防衛費は格段に上昇して官僚の扱う分野と予算は拡大する。

 

他にも維新の会は相続税の増税を要求している。これも財務省からすれば有難い話だ。自民党が反対しても「国民皆平等、金持ち不要、全員下向きに貧乏人にしてお上に逆らえない社会にしたい」財務省が要求すれば、次の選挙で負けたくない自民党としても飲まざるを得ない。

 

つまり政策提携とか連立とか言う寄せ集めはお互いの政策が違っている場合、政権存続をするために妥協セざるを得ないがその妥協の時に官僚の操作が有効となるのだ。誰しも官僚を敵に回して冤罪事件や陸山会事件に巻き込まれたくない、この5年で官僚が本気で牙を向いたら一政治家がどう戦っても勝ち目がないことがはっきりした。

 

つまり次の総選挙でも何も決定できない政府が成立して官僚が望む社会がこれからますます明確になるという事だけが見えているのだ。そんな総選挙に何の意味があるのか?自分の家族を守るために選挙に参加しても今の日本でできることはあまりない。

 

ぼくは旧いお客様とは結構本音の話をする。5年ほど前かな、お客様のご自宅にお伺いして政治談義になった時にぼくはこういった。「今の日本を変えるにはクーデターしか無い。一部政治家が市ヶ谷の自衛隊を指揮して横田基地の米軍が出動する前に国会議事堂とNHKを乗っ取り革命宣言を行い衆参同時総選挙を発表する、これしか今の日本を正しい道に戻す方法はない」

 

これは今でもそう思っている。今の日本の社会構造は明治時代から続く官僚支配にますます磨きがかかっており国民が足元だけ見てお笑い番組だけ見てみのもんたが息抜きをするのだけを見て一部政治家が叩かれるのを見てそれだけで明日も同じ世の中が来ると思っている。

 

この社会の仕組みは建前民主主義という隠れ蓑をまとっているから、民主主義の中で何をしても勝ち目がない。それは小学生の子供がたった一人で学校教育の矛盾に立ち向かっても現実的勝ち目がないのと同じだ。

 

ぼくは小学生の頃、先生たちからすればどうしようもない糞ガキだった。

 

ある時ホームルームで教室の掃除の問題で先生と議論になった。当時の教室には一番後ろに清掃箱がありそこにほうきとはたきと雑巾があった。冬場の雑巾がけは手が冷たくなる。授業が終わって最初に掃除箱に行くのは一番後ろの席に座ってる子供だ。

 

そうなると彼ら一番後ろに座っている子供が自己防衛的に取るのは一番ラクなはたきである。一番まえに座っている子供はいつも最後に残った雑巾になる。これは不公平だ、少なくとも雑巾、ほうき、はたきと3組をローテーションにすべきだ、そう主張した僕に対して当時の先生は「お前は集団責任を理解出来ない無責任な奴だ!」と言ってきた。

 

ぼくは聞いた。「先生、集団責任って何ですか?責任はあくまでも個人の問題であり他人が何かやった事を僕の責任にするなんてどう考えてもおかしな話ですよ。じゃあもしある日本人が人を殺したら先生も同じ日本人として裁かれても文句を言わないってことですか?」

 

この理屈はちょっと考えてみればわかることで南京虐殺とかが事実では有り得ない事を別としてもそれが俺の責任か?だったら中国は元寇の責任を取って習近平以下全員が鎌倉幕府に対してお詫びと賠償をすべきだろう。ばっかじゃねーか、言われっぱなしで脳停止状態の連中め。

 

「無責任というが平等を担保しない掃除の仕組みの方法がよほど無責任でしょう、先生は自分の仕事を減らしたいから僕らに不平等を押し付けるけど、それが先生の教育ですか?」

 

当時は日教組の強い時代であり(僕は小学校時代を大分で過ごした)、先生は何かと言えば自習時間を作って先生たちはすぐにデモに行きそこで女性先生と仲良くしてたものだ。それでいながら教師は聖職など矛盾した事を言っていて、ぼくは子供心に「こいつらの言うことをまともに聞いてたらこっちが殺されるぞ」と思ったものだ。

 

結局先生がとった手法は分離支配だ。ぼく一人に文句を言った挙句他の生徒に向かって「おい、皆はどう思う?こいつの言ってる事は自分だけはたきで楽をシたいというワガママじゃないか?こんなワガママで集団責任を理解しない奴の言ってることが正しいと思ってるなら手を上げて発言してみろ」

 

まさに支配者の理論である。当然センセに睨まれたくない同級生は誰も手を挙げず僕一人が撃墜された。誰しも自分の身が可愛い。関係ない他人の喧嘩に巻き込まれたくない。自分可愛さに自分を奴隷に追い込んでいるなんて考えもせずに保身に走る。

 

そして先生は勝ち誇ったように僕に向かって宣言する。「民主主義だろ、多数がお前の言ってる事に共感しないって事は、お前が間違っているのだ!」

 

ぼくは保身に走る子どもたちの気持ちはわかる。だから彼らを責めるつもりはなかっ。けれどこんな状況で権力者に支配された「民主主義」が作られる日本という社会には疑問を抱いた。掃除箱事件以外にも小学生の頃は様々な事件を起こした。そのどれもが「多数の意見に対する少数意見」という事で排除されたケースだ。

 

議論も理論も無視されてそれが民主主義という綺麗事のケープをまとっただけで絶対的正義になる国って、一体何だ?結局中国と同じ一党支配の共産主義国家ではないか?

 

今回の総選挙でも結果は見えている。官僚の勝ちだ。ぼくの見立てではこれは2017年までに日本の一般市民はドツボに落とされていく。増税、社会保障の削減、相続税の強化、日本株式会社がまた出来上がり民間企業はすべて政府官僚の支配下で法律には存在しない「通達」によって経営権を奪われていく。

 

2017年は最悪の年になるだろう。下手をすれば中国と戦争になっているかもしれない。そうなれば実質的徴兵制度も出てくる。国民が自発的に「日本国を守るために」戦争に駆り出される。本当はいやだけど兵隊に行かなければ周囲に村八分にされて実質的に死刑宣告である。

 

それよりは家族のために俺だけ死ねばいいんだろ、いいよ戦争に行くよって話になり若者は駆り出される。たった10年前(2007年)には想像もつかなかった事が現実となるかもしれない。

 

戦争に向かう足音は軍靴の響きとも呼ばれているが、何時の時代のどの国でも戦争に突入する前日まで誰も自分の子供が戦争に駆り出されるなんて思いもよらなかった。赤紙が来て初めて現実を見ることになる。

 

ほんとうの意味での民主主義が存在しない社会主義国家では民主主義さえ官僚操作の一手段として操作される。

 

2001年頃に僕は2010年頃の現在の日本はこうなるだろうなと予測した。そして世の中はまさにそのとおりになっている。日本の2017年が上記のような見立てになる可能性は非常に高い。その時になって子供に「ごめんな、お父ちゃんが先のことを考えることが出来なくてさ」と後悔しても遅い。

 

自分の家族の身を守るのは自分しかいない。民主主義とか総選挙とかを信用して無批判に日本社会で過ごすという事は自分の家族を守る義務を放棄したようなものだ。

 

 



tom_eastwind at 16:57│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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