2012年12月04日

オークランド就職情報 〜雑感〜

一昨日の記事で最低賃金の話を書いたが、付け加えておくと今のオークランドではまさに大学を出た日本人と中国人とインド人が職を競い合っているが、日本人が就職戦線で勝つ場合は少ない。OverQualify(優秀すぎる)という断り文句が常套手段として使われるが要するに当社には不要ですと言われているのだ。

 

この国では白人キーウィを除く皆が就職戦線では平等だ。履歴書に肌の色や国籍や年齢を書く欄はない。日本人だからと言って人種的に優位に立てない。だから肌の色ではなく能力で比較される。

 

銀行で働く人はキーウィか中国人かインド人が中心で日本人は殆どいない。思考能力(どう売れば買ってくれるかな?)、論理構成(相手が納得するにはどういう順番で話せばいいかな)、発言力(どんな単語をどんな声音で言えばいいかな)、読解力(お客が言ってる事といいたい事の違いを聞き分ける)、解決方法探索能力(どうやったらお客が納得してくれるか満足してくれるか)、すべての分野において、悪いが殆どの場合日本人は負けている。

 

日本人が学校で学ぶのは試験に合格するための技術であり社会で自分が生き残るための技術ではない。社会にでて「あ、それ習ってません、知りません。だってまだ習ってないし」は通用しないし、答は一つではないという事が理解出来ないからスタートダッシュで出遅れている。

 

いくら「キーウィより勝ってます!」と言ってもオークランドは日本人にとってアウェイである。キーウィにとってはホームだ。普通の経営者ならキーウィの能力が少しくらい劣っててもホームの人間を採用する。

 

IT分野でも選ばれる多くはインド人でありその次が中国人だ。ぼくは毎日シティ手前のファンショー通りにあるボーダフォンの前を通るが書類抱えてラフな格好で大通りを信号無視して渡るのはインド人が中心だ。

 

日本人はIT分野でも少数派だ。ただ最近の傾向としては日本でIT業界を長く経験して35歳前で(この意味が分かる人は業界知ってる人)オークランドのIT専門学校に入学して地元で必要とされる知識と仕事の進め方を身に付けてた場合は強い。インド人の場合は下流分野は強いが上流だとまだ日本人の方が優秀だ。個人の実力でインド人を押しのけてIT仕事を勝ち取る強者が増えているのはうれしい分野だ。

 

不動産売買市場は移住して自分の気に入った仕事が見つからなかった移住者が最初に就く仕事だ。とくにやる気のある、腕次第でいくらでも稼げる仕事は中国人に好まれるから不動産業を始める中国人は多い。彼らの言葉で自国の人間にクズを売りつける事を「売豚(まいちー)」というが、そんな事お構いなしにブロークンイングリッシュでキーウィと交渉してニュージーランドに来たばかりの中国人相手にもガンガン売りまくっている。だからクレームも後を絶たない(苦笑)。

 

日本人の場合も同じ状況で、移住したばかりの街でなかなか就職も見つからず自分が住む家を探した苦労がそのままビジネスになると思って不動産会社の完全歩合制セールスマンになるのが一般的なパターンだ。彼らはいろんな肩書きを言うが突き詰めれば仕事が取れなければ収入ゼロの歩合制なのでとにかく売ることに執着する。

 

不動産購入を希望する日本人は日本並のサービスと品質と長期の取引を希望する。ところが現実的にニュージーランドで販売されている不動産は日本と比べて品質が悪い。家を売るというのは長い付き合いになるのだ、だから最初から正直に「ニュージーランドの品質はこうです」いえば良いのだがそれを言うと客は逃げると恐れてる。

 

だから問題点は適当に誤魔化して「これは素晴らしい!私もめったにこんな物件を見ませんよ!」と客を踊らせておいて「なんでもやります、あれも直しときます、ここも修理しときます」と言って売りぬけ、いざ契約書にサインしたら後は「え?そんな事言ってませんよ〜、契約書に書いてますか〜?」と、知らぬ存ぜぬの一点張りである(その結果として当社はオークランドの駆け込み寺になっている)。

 

この結果としてニュージーランドで最も嫌われる職種に不動産業界が挙げられるようになり海外不動産に興味を持ったお客でも「ニュージーランドはこの前騙されたからもういいや」って事になる。

 

結局日本人が一番就職しやすいのは人種的に一番得意とする日本食レストランのホールやキッチンスタッフだ。印度カレーを東洋人が作ってたらキーウィとしては見かけ「それ、どうなん?」という事になり、日本食であればやはりフロントに立つのは日本人の方が受けが良い。

 

そこで日本食レストラン市場では日本人が強いのだが、これとてオーナーは韓国人や中国人だったりする。そのような日本食レストランでは多くの日本人が安月給(アンダー、つまり最低賃金以下)で中韓経営者にフロアでこき使われるという現状がある。

 

ある程度英語が出来てちゃんとしたキーウィオーナーのカフェであれば働きやすく英語の勉強にもなり西洋社会で働く要領も学ぶことが出来る。

 

なので最近目立つのは料理学校やホスピタリティ学校に2年程度通って現地事情を理解しながら日本人が得意とするホスピタリティを生かして就職する若者だ。これは将来性がある。日本人は日本という風土の中で自然とホスピタリティを肌で理解しているからきちんとキーウィロジックで学び直せば素晴らしいサービスを提供出来る。なのでここも期待出来る分野だ。

 

接客能力が高くオークランドの専門学校を2年くらいかけて卒業する我慢が出来る日本人なら、組織への忠誠心や溶け込みやすい性格が地元キーウィ社長に気に入られて採用されることもある。この場合は日本人とキーウィのお互いの相性が良いので雇用も長続きする。そうでなければ、つまり採用時に採用担当者員がインド人だったりして落とされるケースもある。

 

韓国人の場合は先に来た韓国人が独立して小さな店舗を経営したりして、若者でも韓国人であるというメリットを生かして採用されることもある。縁故採用ですな。ただしこの仕事は給料が安く仕事を通じて学べるものが殆どないために将来的にキャリアを積むという事が出来ない。

 

なので韓国人の若者も、若くして起業するか大学に入りなおして専門知識を身に付けねば今のオークランドのような小さな社会で上に登っていくことは出来ない。韓国人の若者にとっては日本人以上に狭き門である。

 

最近中韓市場で目立つ仕事の需要ギャップは会計士と弁護士だ。中韓の学生からすれば社会で相当に上級レベルの仕事であり大学でも一生懸命勉強して何とか卒業資格を得るのだが、いざ就職活動の蓋を開けてみるとそこはすでに満席状態。

 

確かに弁護士会計士は良い仕事であるが、この仕事には体力的な引退も無ければ年齢的な引退もない。つまり先に上に行った人が既存顧客を抱えてしまい、下の、後から来た若者には仕事がないのだ。これはキーウィ市場の小ささから来る構造的問題だけにここ数年は解決しないだろう。

 

てか、このあたり法律がうまく出来てて、士業の一番美味しいところは地元キーウィの手元に残る様なしくみになっている。だからアジア系は周辺の仕事を開拓するかアジアに居住する顧客の仕事を取りに行くしかない。

 

大学で難しい法律は学んだけど未知の顧客を取りに行く方法を知らない若者からすれば、一生懸命大学で学んで大学の門を出た瞬間に叩き落されたようなものだ。

 

その意味では今人材難なのは看護婦、薬剤師、医師である。ただこれは日本人にとって英語のハードルが高いので現実的には難しい。それよりは手先を使い段取りを考える大工、つまり建設関係の仕事はありではないかと思う。

 

オークランドの人口は現在140万人であるが近い将来に200万人まで増加する。そうなると商業物件も居住物件も新規発注が見込める。きつい仕事ではあるが収入は悪くないし高学歴も要求されない。英語もFワードを連発していれば大体通じる(笑)。

 

つらつらとオークランドの若者の就職事情をぼくなりの視点で書いてみた。統計数字を調査した結果ではなくぼくなりの肌感覚なのでかなり乱暴ではあるが、ぼくは毎日現場で仕事をしているのであまり外してもいないと思う。

 

NZの民間市場は投資家、起業家、社員の3種類がいろんな形で組み合わさりながら構成されており、あなたがニュージーランドに移住する時、どこが自分にとって一番得意なのかをよく考えた方がいい。

 

僕が見る限り優秀な日本人なら今までサラリーマンの経験しかなかった人でもむしろ起業した方が正解な人が多い。言葉は悪いがNZで起業をするのは日本で優秀なサラリーマンをするのとほぼ同意義である。日本で優秀なサラリーマンが自分のチームを統率して顧客に解決策を提案するのがNZにおいては起業なのである。

 

解決能力低しと思うなら基本的にブルーカラー、手に職系だ。NZでは手に職系が尊敬される。オークランドで日頃紙切れ(契約書)をあーだこーだと言ってる色白(労働焼けしてない?)のビジネスマンがクイーンズタウンにスキーに行くと、大体タクシーの運転手が口を聞いてくれない。「こいつら、外に出て手に汗して働かねえ奴らだ」と思われるのだ。だから遠慮なしにブルーカラーを選べば良い。

 

投資家?そりゃまあ、お金があれば投資家になるにこした事はない。平日の昼日中からカフェでラテ飲んでるおじさんたちはだいたい投資家である。彼らに「何で働かないの?」って聞くと「ああ、金に働かせてるんだよ」と答が返ってくる。

 

どの道を選ぶかはその人の自由である。ただ、日本人は個人的な戦闘能力は世界の中で低いと思った方が良い。自分の得意分野をしっかりと見定めてそこで成功に向かって挑戦すべきだろう。

 

夢を追い過ぎても失敗する、現実ばかり考えても楽しくない、日本ならその真中辺に落とし所があるのだろうが、移住した国NZではそれはない。最初に現実を理解して楽しくなくても最低5年程度は生活基盤を作る、そしてそれまでに作った余裕資金で将来の夢を追う。それくらいの慎重な気持ちで第一歩を踏み出していくのが成功への王道だ。

 

自分にとってどのような道が良いのか?これは正直自分で判断するのは難しい。オークランドという街は日本の大都会とは全く違うし社会構造も違うから、自分の見えなかった部分が役に立ったりするし、いけると思ったど真ん中のストライクが実はビーンボールだったりする。興味のある方は当社の無料診断を利用してみれば良いと思う。そうすれば結構「目からウロコ」になることもある。自分の知らなかった自分の違う面を見ながら来年の自分を想像してみるのも楽しいものだと思う。



tom_eastwind at 10:58│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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