2012年12月06日

相続から逃げられない日本人 続き

最近は海外相続に関するお問い合わせが多い。相続税増税の新聞発表や維新の会のさらなる増税主張などで皆さんもそろそろ現実問題として検討されるようになったのだろう。その中でとくに目立つのは地主さんからだ。

 

代々引き継いだ土地とその上に建てたマンションやアパートを資産として持つが、土地は先祖代々のものであり他人に売却などしたら周囲の人々に「まあ、あの方、先祖代々の土地を売るんですって、なんて罰当たり!」と言われ、まるで当主の代で家を潰してしまったみたいに言われる。

 

第一家族や親戚がそんな事認めてくれない。バチ当たりめ!と言われて「押し込み」に遭い座敷牢に放り込まれてしまうかもしれない。

 

しかし現実的に土地をたくさん持っている当主が亡くなれば相続は発生するわけであり、いくら地主と言っても現金をたくさん持っている家は少なく結果的に持っている土地のどれかを売却して納税するしかない。

 

そうなれば結局先祖代々の手放さざるを得ないわけで、ある地主さんは「あそこの建売住宅の土地は昔当家のものだったのよね〜、お父さんが亡くなった時に相続税対策で売ったんだけどね〜」と、のんびりしたことを言っている。実際に豪農の当社が亡くなると相続税を払うために近くの土地を売り、そこに住宅販売会社が一戸建ての建売住宅を作って売りに出るという案件がよくあると聞いた。

 

そんなのんびりした事言ってるとどんなお金持ちでも財産なんて孫の代で全部なくなるよって思うのだが先祖代々の地主さんは村の日常生活のお付き合いだけで結婚や法事など冠婚葬祭でほぼ毎週どこかに出てるとかで忙しい。

 

ただでさえ近所付き合いで忙しいのに、そんな難しい相続の事なんて馴染みの税理士さんと銀行にお願いするしかない。そして税理士さんは税務署にとって最高の支払方法を考えて税務署のお褒めにあずかり他の案件でお目こぼしをしてもらう。銀行はいかに自分の支店、つまり自分の成績になるようにという視点から最高の方法を考える。

 

そして彼らが作ったスキームが名付けて「プロジェクト・三代目で没落よ」である(冗談です)。

 

銀行と税理士に任せて没落するわけにはいかない。そうなると自分の資産を防衛するためにはもっと有効な対策を自分で検討する必要がある。しかし現実的には相続なんて数十年に一度しかないわけで有効な対策なんてなかなか思いつかない。

 

そこで相続対策を専門とする税理士さんを探すことになる。しかしそれでも日本国内で行える合法的な手続きには限界がある。そこで次に出てくるのが海外を利用した合法的な節税スキームの構築となる。

 

国内だけでは限度があっても海外を利用すればスキームは広がる。実際にユニクロの柳井氏も某大手教育産業の社長も海外を利用した相続対策を行なっている。これは税金を払わないという事ではなく税の適用項目を変更する方法だ。

 

一般的には相続税の場合は最高50%が適用されるがこれを売却という形にすれば売却益に対する課税(一般的に20%前後)になる。当然だが取得原価が高ければ売却益は低くなる。

 

先祖代々の土地を例に取れば、自分名義になっている土地や建物をニュージーランドに設立した会社に売却してしまう。売却時に利益が出ればきちんと納税する。少なくとも相続税を払うより安い(但しこの際は非常に技術的な手続きが必要)。売却後、自分が土地建物をニュージーランドの会社から管理を引き受ける。

 

こうすれば外見は今までと何も変わらずに土地建物が自分の所有物に見えるので周囲から後ろ指をさされることもないし法的に所有者はNZの会社なので自分が死んだ時の相続税の対象にならない。売却時点で納税は終了しているので納税の心配も不要である。

 

だからある程度の資産があり相続に関して危機感がある人は海外に会社を設立して自分の資産を海外会社に売却して日本で納税して次代へ引き継ぐという事になる。

 

ぼくの経験で言えば開始から終了までに、一つ一つの取引や会社設立や契約書の作成などで手続きを始めてから半年程度かかる。

 

事務処理は英語と日本語を両方使い関係各国の法律上の問題をすべて事前に洗い出してクリアーにして一点の瑕疵もないように書類を作ることになるので非常に面倒であるし関係各国の関連する法律を事前にすべて理解してなければ何かの法律にぶつかった時点でほぼ失敗する。

 

なので現場の実務を知らなければどこに地雷があるか探すのは不可能、地雷を踏んでしまったらそれで終わりであり、紙の上でどれだけ完璧に見えても実際の作業を開始すると様々な壁にぶつかるので現実的には実務を知る司令塔がいなければほぼ地雷を踏んでOUT,となる。

 

更にこの作業は関係各国の弁護士、税理士、税務当局、関連企業、関連当局すべてをこちらが司令塔としてコントロールしながら全体図を工程表通りに進めていかねばならないのでそれぞれの進め方の時間管理が必要である。日本で住宅を建設する時の現場監督のようなものだ。

 

これもすべての国で労働に対する考え方の違いから休日の違いまで含めて管理しないと仕事はどんどん遅れてしまう。日本人は自分のビジネス感覚で予定を考えるが現場ではそれでは回らない。どこで「余裕」を持たせておくかも大事なポイント。だからなんだかんだで半年くらいかかるわけだ。

 

当社の相続スキームは元々海外に5年以上親子で居住という事を前提にして作っていたが、去年あたりからのお問い合せで「移住は出来ないけど相続対策はしておきたい」というご希望を頂いて上記のようなスキームを作った。ちなみにこのスキームは当社独自のノウハウ(当然ですがブラックボックス入り)で作られてすでに実行しているので検証済である。

 

なので海外を利用した節税スキームはいろいろとあるが当社が提供している海外相続スキームは相続に特化したものであり、スキームの詳細については関係諸国の弁護士や税理士経由で税務当局に予め照会を入れて法的な問題がないかを常にチェックしている。

 

そしてここが一番大事な点だが、相続に関する法務的な面は最初からすべてオープンにして税務当局に確認を取り法令遵守をした上で行う必要がある。こちらの都合の良い理屈を並べるのではなく税務署の理屈でスキームを組み立てるので後で否認される可能性は低い。

 

もし問題にされればこちらの法的根拠、税務当局の見解のコピー、税理士や弁護士のリーガルオピニオンを用意して主張することになるが実はそれでも何が起こるか分からないので二の手三の手を用意しておくことで最終的にこちらの主張を通すことが出来るようにはしている。

 

しかし現実的にパスポートを取ったこともない人が海外なんて怖くて怖くて利用出来るわけもない。どんな罠が潜んでいるかわからない。まさに闇夜の地雷原を歩くようなもので、そんな恐い思いをするくらいなら日本で納税をしたほうがいいよって事になる。

 

だけど中には海外生活を経験した地主さんもいるだろうし駐在経験もあって英語が話せたりする人もいる。そのような人には提案が出来るが、自分が読んでスキームを理解出来ない場合は正直止めた方が良い。

 

それにしても本来は日本で稼いだお金であるから日本で子供に渡して子供が日本の為にお金を遣ってくれればいいだけの事なのだが、政府はよほど一般国民を信用していないのだろう、お金の遣い方までいちいち指示して「だーから、お前じゃなくて俺が遣ってやるよ、おれの方が東大卒で頭いいんだから!」と言って自分の懐に入れるような真似をするから国民も節税を考えるのだ。

 

上に政策あれば下に対策ありだが、本来なら下が対策考えずに安心して納税したくなるような国家を作るのが本筋ではないかと思うが、そうでない現実があるから対策を考える必要があるのだ。



tom_eastwind at 11:33│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔