2013年01月11日

選択 正しい道の見つけ方

日本からオークランドに戻ると机の上に「日経ビジネス」と「選択」とその他多くの書類が積まれている。週末はこれらの時事ものを机上でまとめ読みすることになる。ぼくの仕事は情報の収集と整理だ。そして常に机上の空論ではなく現場の空気を読むことを大事にしている。

 

現場を知らずに自分の想像した理屈だけで判断をする経営者は、闇夜の地雷原を地図なしで目隠しして背中に爆弾を背負って歩くようなものだ。一回目はうまく渡れたとしてもそれはビギナーズラックでしかなく二回目で必ず吹っ飛ばされる。

 

かと言って現場だけ見てる経営者は調子に乗って自分がエライ、スゲーと思い込んで歴史の教訓を学ぼうとしないからこれまたいつかコケる。どんなに忙しくても現場で起こっている現実と机上で歴史の教訓を見比べて現場と理論の整合性を見ながら判断していかないと持続するビジネスは出来ない。

 

東京に住んでいる多くの人は海外旅行に行く時間などないから東京から見た世界しか見てない。だから雑誌に書かれた記事に振り回される。中国の田舎に住んでる文盲の人が他人に「大変だ!安倍が首相になった、日本が攻めてくる!」と言われて恐れるのと同じレベルだ。

 

東南アジアを回ってみて中国と常に触れてみて東京と東京以外の日本を見てみると、情報誌に書かれている事がまだまだ一面的であることに気づく。景気、政治、これから日本は成長するのか沈むのか?等など。

 

沖縄の基地問題、本土の人がいろんな事言うがどれだけたくさんの人が実際に沖縄の一般的な人々と話をしているのだろうか?

 

尖閣問題と言うが国策として中国政府が金払ってゴツいダンサーを並べてデモをやっているけど中国人はそれほど気にしてない、そんな事より自分が買った投資用不動産が転売出来ずに困っているという現実をどれくらい理解しているだろうか?シンガポールやバンコクなど東南アジアが成長しているその速度がどれほど早いか現場を観ているだろうか?

 

去年もいろんな国を駆けまわったがその現場で見た体験があるからこそ紙に書いた理論と実際の現場のズレが何故発生するのかもよく分かる。逆に言えば現場を見ずして判断出来ることなど殆ど何もないって事に気づく。

 

「2013年がどうなるか?」を日経ビジネス1月7日号で読む。掲載された記事を読む限り起業家系のオーナー社長は2013年をとてもやばい年と位置づけている。しかしそれは世界の終わりではなく日本の終わりである。しかし終わりと言ってもまた1億人の人口があるから彼らを対象としたビジネスは継続出来る。また、特集記事には出ていないが政府系の大手企業も生き残れる。外務省及び経産省御用達の大手商社は問題ないだろう。同じ経産省でも家電系はやばい。業態がすでに競争力を無くしているのに誰も変化しようとしない。

 

企業のサイズではなく変化が出来るかどうかがすべてだ。将来を読み一番悲観的なシナリオになってもシナリオに合わせて変化をする、そういう選択と準備をした企業は生き残れる。問題は体質変化しようとしない企業だ。これは確実に吹っ飛ばされる。生き残れない。

 

ぼくの仕事は情報の販売である。顧客に最も正確で最も最新の情報を販売することだ。そして今までの経験では、物事を理解するときには大きなところから入れと学んだ。

 

ぼくは10年単位で考える時はまず地球の環境から考えるようにしている。気候変動は実は大きな問題だがそれは人類が排ガスを出すことでこの100年で温暖化しているわけではないという事実は知っている。温暖化と寒冷化は一定の周期でグルグルと回っている。人間ごときが出てきたくらいではそう簡単には変わらない。温暖化は結局欧州が思いついたビジネスであり自然の現象とは別問題である。

 

次に世界情勢、特に東南アジアと米国の情勢を理解しておく必要がある。日本は世界から切り離されて活動しているわけではない。それどころか世界がデジタル化してインターネットが普及してくれば外国の活動が直接日本に影響を与えてきてその対応として日本の対策が考えられるようになる。

 

中国の台頭と東南アジアの対抗策を理解すれば今の日本官僚がやってるアセアン寄りの外交政策は正しい方向を向いているがそれは既存企業の今後進むべき道に多大な影響を与える。国内だけ見ててもビジネスは継続できないのだ。

 

そして次のレベルで出てくるのが政府の動向である。政府はどっちの方向を向いて進んでいるのか?その大波に逆らうようなビジネスをやっても潰されるか何時まで経ってもうまくいかないかのどっちかだ。

 

このように世界の上の大きな部分から入って少しづつ下に降りて来て最後に自分を取り巻く小さな周囲を考えるようにすれば、自分が進むべき方向性が少しづつ見えてくる。そして選択とはすべての要素に順位を付けて上位の大事な要素が進むべき計画を作る。その際には感情的には大事でも下位の要素は捨てていくしかない。それがビジネスだ。

 

この週末はしっかりと各種データを読み込んで情報に磨きをかけていこう。

 



tom_eastwind at 14:48│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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