2013年01月22日

麻生氏尊厳死

★記事開始

麻生氏「さっさと死ねるように」 高齢者医療で

 麻生太郎副総理は21日の社会保障制度改革国民会議で、高齢者など終末期の高額医療費に関し「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やってもらっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないとかなわない」と述べた。

 同時に「高額医療を下げて、そのあと残存生命期間が何カ月か。それにかける金が月に何千万円か、現実を厚生労働省も知っている」とも述べ、財政負担が重い現実を指摘した。

2013/01/21 13:51   【共同通信

★記事終了

 

ごく当然の事である。ニュージーランドで生活をしていてそれを益々感じるようになった。この国では延命治療は行わない。例え10歳の可愛らしい子どもが交通事故で意識不明になり自立呼吸困難になった場合48時間程度は救命措置を取るがそれ以降は親が医者に対して「この子はもう十分頑張った。早く天国で幸せになって貰いたいから呼吸装置を外して下さい」という。

 

これはキリスト教文化だけが原因ではない。医療経済学とでも言うのか、社会の有限資産である国家予算をどこに振り向けるのが社会全体にとって最も良いことかと全体最適を考える習慣が身に付いている。

 

だから延命の為だけに多大な費用をいつかは死ぬひとの為に遣うよりもこれから小学校に通学する子どもたちの教育を充実すべきだと考える。遅かれ早かれ人は死ぬのだ。ならば家族や親戚や周囲のメンツだけで政府の金を死にゆく人のために遣うよりも子どもたちの教育を充実させて早いうちから高い道徳性を身に付けさせる方が将来のためだと考える。

 

予防医療についても同様で、人間50歳になれば何らかの病気の元は持ってる。そこで定期健診すれば当然誰もかれも予防医療を受けることになる。それよりも具体的に病気になった人だけの治療費を負担する方が安く収まると考える。

 

薬も同様で、病院に行っても医者はあまり薬をくれない。日本から観光旅行で来て体調を壊した患者さんがすぐに文句を言うのはこの点だ。「この医者は不親切だ、薬もくれない」というが、それがお金がかかっていることは認識しているのか?病院はあなたの自己満足的な安心を与える場所ではなくあなたの病気を治して安全な生活を守る場所だ。

 

今の日本の根源的な問題は、国民自体が自己満足である安心と安全の区別をするための勉強をしていないことだ。そして自分の親戚や周囲に気を使い「親の最後を看取ることが子どもの義務」として面倒を見ることが結果的に誰にも文句を言われない、自分の代だけは何とか問題から目をそらして政府の金で両親の体にチューブを付けておけばとりあえず周りから文句を言われないからという逃げの理由で、日本が抱える延命医療問題の根本的解決を先送りしているってことだ。

 

本当は誰もが延命治療の無駄を感じている。ここまでして生かして置く必要があるのか?会話も出来ず老衰して意思表示も出来ず苦しみの中で生かされているのが正常なのか?けれど国民全体が日本政府と同様に問題を先送りしているから麻生さんがはっきりと「おれならとっとと死ぬね」と発言したのだ。

 

もちろんこの背景には急激に膨れ上がる医療費問題があり厚労省あたりから「副総理、一発よろしく!」というお願いもあったのだろう。その辺は政治的要素を考慮する必要がある。しかし言ってる事は間違い無く正論である。

 

またも話はニュージーランドに戻るが、この国では定期健診という考え方はないと言ったが、実は

予防医療、前立腺がんと子宮がんは国費で賄われるようになった。何故ならこの二つのガンに罹る人が増えたからだ。

 

がん治療にかかる費用と予防医療に必要な費用を比較したら、こりゃ一定の年齢になったら定期健診をやろうという事になった。個人的な話だがぼくの自宅にも先週保険証から手紙が届いた。「近いうちに前立腺がんの定期健診やるから準備しといてね」だって。

 

ここで単純明快に分かるのは、ニュージーランドでは医療は国家財政の一部であり全体最適を考えれば医療でさえ聖域ではなく制度としては医療経済学で計算された「医は算術である」という考え方が合理的であると見做されている事だ。

 

しかし付け加えておけばこの国では救急車は無料だし緊急医療はすべて無料だし怪我に至っては旅行にやってきた外国人でもNZ政府の保険機関であるACCが全額負担するという、徹底的な社会保障制度が根底にあるという事実だ。

 

つまり制度としては全体最適を考えつつ目の前で本当に医療を必要とする人には政府が全額負担で助ける相互扶助の考え方があるという点だ。両方セットになっているから国民も安心して生活出来る。

 

このACCが提供する医療保険であるが、ニュージーランドの永住権、市民権を持ってさえいれば一度も医療保険費用を払わなくても良い。仕事をした時だけACCLevyという名目で雇用者と被雇用者が負担するがそれさえ給与の0.5%程度(当社は労災が殆ど発生しないオフィスワークと見做されているから低い、レストランだと少し高い)だ。ちなみに期間限定で働く「労働ビザ」保持者も医療についてはかなりの部分がACC適用となり無料だ。

 

うちの会社では毎年会社経費で全員に健康診断を受けてもらい早期治療が出来るようにしている。いくらニュージーランドの会社とは言え働いているのは日本人が圧倒的多数なのでやはり健康診断は受けたいだろうと考えて、5年くらい前からやっている。

 

日本人はいつも「政府がどうのこうの、先送りがどうのこうの〜」と言うが、自分たちだって問題を先送りして学ばないまま子どもの世代につけ回しをしているという現実をしっかり理解すべきだろう。他人を批判するよりもまず自分はどうあるべきか、親の顔を見ながら真剣に考えて欲しい。



tom_eastwind at 18:15│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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