2013年02月12日

生まれは違えど、、、所詮地球。

旧正月症候群に苦しむのは主婦だけでない。「旧正月の時、どういう言葉が最も傷つきますか? いくら親せきとはいえ、言ってはいけないことがあります。

 

どうか『どうしてまだ結婚しないのか』『どうしてまだ子どもがいないのか』 『どうして就職できないのか』『どうして浪人するのか』などの言葉は控えてください」。 『やめれば初めて見えるもの』の著者ヘミン僧侶が8日、ツイッターに載せた言葉だ。

旧正月ストレスに苦しむ韓国の国民:201302091214

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

 

韓国で旧正月を祝うってのは韓国文化の中に中国文化が歴史的に組み入れられてるからであり、日本人が漢字を使うのと同じようなものか。

 

うちの奥さんはダニーデンの親戚の家に旧正月を祝うために遊びに行ってる。歴史的に見ると中国人にとっての初ニュージーランドは実はダニーデン、1850年代のゴールドラッシュまで遡る。当時は清朝末期の中国で人は生活に困窮し若者は家族を中国に残して船に乗ってダニーデンにやってきた、一攫千金を狙い。

 

ところがやってきた中国人はびっくりした。当時ダニーデンに住んでいた欧州白人は満足な家を建てる技術も知らずに掘っ立て小屋で生活をしていたのだ。薬もなく食堂もない街で中国人は金掘りではなく街作りをした。

 

木造の家を建てて人に貸し薬屋を開いて漢方薬を売り食堂を開いて料理を提供した。当時のダニーデンは人口25万人でニュージーランド第一の街であった。古い話であるが当時ニュージーランドは州議会があった。

 

当時の首都はオークランドだったが人口が増えて大きな街になった南島議会が、ワイカト平野で繰り広げられるマオリ戦争で疲弊するオークランドから首都を移管する計画を提案した。

 

首都を手放したくないオークランドと首都を奪いたい南島議会とがせめぎ合いになり最終的な妥協策として北島の一番南であるウェリントンに首都を置くことで話がまとまった。いかにも子どもっぽい妥協の産物的平和な話である。

 

その後マオリ戦争が終結してダニーデンのゴールドラッシュも終了したが中国人はそのまま残りダニーデンに彼らの街を作った。しかし1800年代終わりから1900年代初頭まで首相を務めたリチャード・セドンの時代に黄禍(Yellow Peril)と呼ばれる中国人排斥運動が起こり首相もこれを支持したことで中国からの移民は立ち消えになりダニーデンに移住した中国人はチャイニーズキーウィとして英語を話す人々になりいつの間にかダニーデンに同化して第一次世界大戦ではキーウィ兵として欧州戦線に参戦した。

 

それから80年後、今度は香港の中国返還が大きな問題になる中、1984年にそれまでの社会主義を捨てて市場原理主義を選択したオークランド南部出身の弁護士であるデイビッド・ロンギが首相となり移民政策を進めて多くの香港人が南半球の小島にやってきた。

 

彼らを迎えたのはダニーデンに住む、またはダニーデン出身のチャイニーズキーウィ、所謂バナナである。外は黄色いが中身は真っ白、彼らが経営する中国レストランは当時やってきた香港人マフィアが「みかじめ料」を取る対象となった。

 

ある日香港出身のマフィアがちっちゃな中国レストランで「おい、守ってやるからみかじめ料を払え」と中国人店主を脅かした。中国人店主は「今は金がないから店が終わる夜に来てくれ」と言って、夜のこのことやってきた香港人マフィアはその場で警察に逮捕された。香港では考えられない事だった。

 

この事件はぼくがオークランドに住み始めてから起こった事件であり地元中国社会の広東語新聞でしか報道されなかったので一般の日本人には馴染みの薄い話だと思う。

 

この事件はニュージーランドでは中国人マフィアよりも警察のほうが信頼度が高いという事を知らなかった、つまりローカルルールに馴染みのなかった香港マフィアの負けである。ちなみにこの店、今はオーナーも変わり名前を変えてるがぼくの働くオフィスのすぐ裏のハイ・ストリートという通りにある。

 

その後も香港マフィアはあの手この手で何とか地元社会に食い込もうとしたがその行動はすべて警察によって排除された。香港マフィアの一番の失敗はニュージーランドにおける警察官は信用度も抜群に高いが同時に一旦相手が悪人とわかると法規制を乗り越えて、つまり法律を無視してでも取締をする人々であることを理解していなかった事である。

 

同じ頃オーストラリアでは香港マフィアが食込みに成功して地元中国人社会だけではなく結構白人社会にも入り込んで現在はそれなりに市民権を得て活動している。両国を分けたのは、ニュージーランドは法律を破ってでも秩序を守ろうとした警察とそれを支持する国民がいた事であり、オーストラリアでは元々流人の島であり(ここから先は冗談だが)香港から昔の懐かしい仲間が来たくらいに捉えていたのではないかって事(冗談ですよ、笑)。

 

香港マフィアは遂にオークランド侵略を諦めて多くはシドニーに居を移し、残りはオークランドに最近移住した香港人と大陸中国人だけを相手に細々とビジネスを続けることになった。「おい、ニュージーランドじゃあバナナに気を付けろよ、あいつらは中国人の顔をしているがやってることはキーウィだ、手を出したらこっちが国外追放だぜ」

 

今でも一定数の香港マフィアや大陸マフィアがオークランドにもいるが、彼らは決して地元の社会に手を出さない。警察による秩序維持という名前の仕返しが怖いからだし、彼ら警察と喧嘩しても得るものはないと分かっているからだ。

 

旧正月を祝う中国人、オークランドでは毎年ドメイン公園で盛大なランタンフェスティバルが開催される。香港人と大陸中国人は全く別人種と言ってよい、そして台湾人は更に別の島に住む民族でありシンガポール中国人はナイフとフォークで飯を食うような人種だ・・・・とそれぞれが思っているが、ランタンフェスティバルの時は皆この公園で屋台の中華料理を食べランタン見物を楽しみそれぞれ思い思いの中国語でおしゃべりを楽しんでいる。

 

白人から見たらどれも同じだ、道端につばを吐かない中国人とバスの行列に並ばない中国人とカジノで毎日遊ぶ中国人と。

 

随分昔のシドニー・ポワチエ主演の映画にこんなのがあった。刑事が犯人グループを追っかけて最後は白人も黒人も炎の中で真っ黒焦げになるのだが、シドニー・ポワチエの顔はこう物語っていた。白人も黒人も焼け焦げてしまえば同じさ。映画の言いたかった事はそれだというのを聴いた事がある。

生まれは違えど所詮地球だ。同じ船に乗り合わせた人間という種が老いも若きも集まり異文化の祭りを楽しむのがランタンフェスティバルだ。今年はしょっぱなから超多忙、ぼくは参加できるかどうか、分からんな。

 



tom_eastwind at 14:48│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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