2013年03月04日

島耕作という生き方

「課長」の時代からずっと読んでる作品だが、弘兼作品としては人間交叉点の方が早い。すんげー漫画家だな、手塚系が全くない、新しい世界を作った人だと心服している。

 

前回の日本出張でamazonで注文して投宿した東京のホテルに「専務島耕作」送ってもらい、オークランドに戻って週末の午後、ランギトト山を自宅の居間から眺めつつゆっくりと読む。

 

調子の良い漫画だとかカッコばかりつけやがってとかいくらでも批判の出る作品ではあるが、ぼくは好きだ。彼が課長で離婚して娘と二人で生活しながら、地方転勤を経験したり出向したり、「いずれここにテーマパークが出来るんだ」と今のUSJの事を描いてみたり、とにかくほぼ同世代を生きているような気がする。

 

中国にも駐在してサラリーマンとして様々な経験をしながら、それがまさに当時の日本とかぶさっている。島耕作はある意味日本のバブル前からバブル後、失われた20年を過ごしながらもその中で常に精一杯の努力で最高の選択をして生き残ってきた。一人の人間の中に歴史を凝縮している。

 

そっかー、専務かー。すんごいな、アレだけの大組織でここまで上り詰めた島耕作は、もちろん創作の世界であると分かってても、同じ時代に日本国内で働きその後は海外に飛び出て大きな組織のバックを使わずに自分の個性だけで戦い、いつの間にか一匹狼で専務まで来たんだなー。

 

いくら創作と言ってもそこには何らかの現実があるわけで、パナソニック(旧松下)という組織の中で起こる様々な事件を一つにまとめてそれを一つの人間「島耕作」の人生に凝縮するって手法がフィクションだと思う。

 

そうでなければノンフィクションだけで書いていれば限界がある。小平、毛沢東、チャーチル、小泉、こういう連中は極めて稀であり、彼らをネタにすれば何冊も本を書けるだろうが、彼らはどこまでいっても一匹狼なのだ。

 

派閥に属さず派閥になびかず自分だけの力で動き、尚且つ組織に負けないだけの力量を持ってゲリラ戦略に強く何時の時代も冷や冷やのところで何とか生き残りつつも見かけはチャーチルのように葉巻をくゆらせてにこっとしている。これってもう芸の世界だなって思ってしまう。フィクションなのにハマっている。

 

僕が何故小平を最初に挙げたかと言うと、彼の政治力を香港に住んでいた時に目の前で見たからだ。当時はどうしょうもなく何もなく農地の端っこに豚小屋を飼うだけで精一杯だった田舎のシンセンを一気に特区として開発して大都市として生まれ返させた彼の実力は、当時の中国の政治環境を考えれば奇跡としか言いようがない。

 

ありゃもう、天才の上に秀才が乗っかり更に何度も失脚をしていつ殺されてもおかしくなかった環境で何とか努力で生き残り最後には毛沢東後の中国を見事に成長させた、ある意味奇跡な人材である。

 

僕の奥さんはそれでも小平を大嫌いだ(ちなみにこのブログ、いつも奥さんが読んでるので下手な事は書けない、あはは)。彼女からすれば自分のお母さんを苛めた共産党なんて大嫌いだしその親玉である小平も大嫌いって事でよくわかるが、僕からすればやはりこの人物がいたから今の中国があると思っている

 

尖閣諸島の問題も小平が「先送りしよう」って言ったのは勿論彼ら中国の国益であるが、ぼくはいずれ国益って言葉はなくなると思っている。地球益が21世紀の判断基準だと思っている。彼も同じ事を考えていたと思う。ただ彼の時代にそれを発言すれば「鳩山宇宙人」とおもわれるので言わなかっただけだと思う。

 

彼はおそらく100年先の世界が見えていたと思う。けれど、だからこそ発言は慎重に、チューヤンと思われないように穏便な事を言ってたと思う。

 

それでも南巡講話の時はかなり「はみ出した」発言をした。ある意味革命だ。当時の北京であれだけの発言をするってのは「オレを殺してくれ」ってのと同様の意味であった。

 

それでも小平は言いたいことを言った。ぼくからすると彼は、自分の命とか考えずに世界の平和を考えていたとおもう。究極的に平和が来るのは世界政府を作るしかないと思っていたと推測する。

 

すべての国家は地域になり自治体として活動するが、地球は一つの国家となり外交や軍事を考える必要がなくなる、そして人々は緩やかな連帯の中で生活をする、そういう社会を描いたのではないかと思う。

 

だからこそ彼、小平は自分の死んだ後の事も語り「これから20年は絶対に国際社会に顔をだすな、おとなしてくしておけ」と指示した。その、彼の気持ちをどれだけの今の中南海の連中が理解しているかだ。

 

また中国の話になったな、、、本当は島耕作の話をしたかったのに(苦笑)。けど、どっちも一匹狼の話だ。次は社長島耕作。

 

 

 



tom_eastwind at 21:56│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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