2013年03月05日

水源 The Fountainhead

“マイナンバー法案”を閣議決定

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政府は、社会保障や税の情報を一元的に把握して年金の受け取りや納税などの手続きを簡略化するため、国民一人一人に番号を割りふる「共通番号制度」の導入に必要な、いわゆる「マイナンバー法案」を、1日の閣議で決定しました。

 

政府は、社会保障や税の情報を一元的に把握して年金の受け取りや納税などの手続きを簡略化するため、国民一人一人に番号を割りふる共通番号制度の運用を平成28年から始める方針で、1日の閣議で、制度の導入に必要ないわゆるマイナンバー法案を決定しました。

それによりますと、▽国民の申請に基づいて市区町村が一人一人に個人番号カードを交付し、年金の受け取りや納税などの手続きに利用してもらう、▽情報管理を徹底するため内閣府に有識者による委員会を設け、個人情報が適切に取り扱われているかを監視するなどとしています。

いわゆるマイナンバー法案は、去年、国会に提出されましたが、衆議院の解散に伴って廃案になっており、政府は今の国会での成立を目指すことにしています。

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これくらい理念と目的がずれた法案もないな。個人情報の一元化は便利な仕組みであるが各省庁をまたいだシステムになるため各省庁が自分の勝手でシステムを構築出来ないので本来なら「面白くない話」なのだが国民にとっては無駄な税金を払わなくて良いのでありがたいシステムだ。

 

ニュージーランドではIRD番号という名称で呼ばれており僕も一つ持っている。これがあれば税金、社会保障、銀行の利息(僕の場合殆どゼロだが)、いろんなサービスがワンストップで対応出来るので便利だ。

 

しかし日本ではそのような本来の便利さではなく国民監視の為の網として使われるので本当に不思議だ。理念は便利さの追求なのに政府の目的は国民監視なのだから全然便利じゃない。この法律は平成28年、2016年だ。

 

「▽情報管理を徹底するため内閣府に有識者による委員会を設け、個人情報が適切に取り扱われているかを監視するなどとしています」というニュースの意味は、個人情報を政府がきっちりとすべて監視して個人が資産を持っていれば政府の財布に税金として払ってもらい言論で政府に逆らう奴は金の使い道を徹底的に洗って逮捕して税金を使うような奴は無駄使いさせないように福祉申請を出来るだけ門前払いするって事だ。

 

ぼくの予想では2015年に向かって政府は国民をがんじがらめにする仕組みを構築してそれまでの2年で資産家の個人資産をすべて政府が把握して様々な形で税金として取り上げ、更に一般庶民からは消費税やその他の名目で絞り上げ、社会福祉は後期高齢者の医療費自己負担、生活保護の切り下げ、医療費の自己負担などで「あんたも政府に頼らずに自立しなさいよ」ってことになると思ってる。

 

何故政府はそこまでするのか?僕の考えは財務省のメンツではないかと思っている。彼らは日本の最高学府を卒業したエリート中のエリートである。ところがそのエリートが毎年赤字会社を運営してその借金が完全に債務超過になっている状態がプライドとして許さないのではないかって事だ。

 

二流大学を卒業して民間に就職した人々でも社長としてしっかり自分の会社を黒字にしているのと比べればいかに財務相にバカが揃っているかよく分かるし財務省自身もそこを指摘されると言い返せない、そんな状態を早く脱出したいのではないか?

 

国家を黒字化したいから国民の皆さん自立して下さい、いやさ、もちろん自立でいいよ、けどそれなら今までどーのコーノと理屈を並べてかっぱらってきた税金はどこに遣われたのか?

 

国民から何十年にもわたって集めて来た年金は箱物に化けて役人の天下り先に配られ残った金では年金の原資不足ですー、それじゃあ何でAIJの「消えた年金」なんて言ってられるのだ?

 

政府そのものが国民を騙しているような状態で更にこれから「政府を立て直すため」に「国民から個人資産を巻き上げる」って発想は、自分が間違ってたって事を一切認めない発想でしかない。

 

国民は結果的に選挙で政府を選んでいる、そういう認識があるかどうかは別として少なくとも政治家は選挙で選ばれている。けれど実質的に法律を作り国家を運営している官僚に対しては国民の選挙権もなく誰が実質的に国家運営をしているのか全くわからない状況が民主主義と言えるのか?

 

たかが東大法学部を卒業したとか実家の血筋が良いってだけで日本を支配する権利が自動的に付与されるのか?たった数万人の、国民によって選ばれたわけでもない人々が支配する国を何故民主主義国家と呼ぶのか?

 

1980年代、日本はNOと言える国家になったと人々は喜んだ。しかしそこから日本は真の独立という階段を踏み外して更に失敗経験のない官僚が日本を「問題の先送り」という逃げ、先輩のメンツ、自分の保身の為に追い込んだ。

 

その結果として日本は失われた20年を抱えて人々の雇用は不安定になり将来が不安になり怖くてお金も使えなくなった。日本の給料は下がり続けたが、それは日本のサラリーマンの能力が他国のサラリーマンと直接競争になる時代になったからだ。

 

そのような問題を無視してデフレがどーのこーのと問題をすり替えて今度はマイナンバー法案だ。やってることがあまりに国民をバカにした話だが、ソレに対して反抗する方法が取れないのが現在の日本的民主主義だ。

 

ぼくは自分の考え方は基本的に社会主義だと思っているが、それは上向きの平等である社会主義だ。誰もが平等に成長していく国家がぼくの目指している方向である。ところが日本では同じ社会主義でも誰もが他人の足を引っ張って引きずり下ろして一時の気の紛らわしをしているだけだ。

 

そうやって国民同士が江戸時代のような「五人組」で他人を監視して「連帯責任」という全く理論破綻した言葉だけを独り歩きさせて学校でもそんな言葉を使う事で相互足の引っ張り合いをする仕組みを社会に根付かせて、ほんの一部の顔も見えない支配層が日本を独裁しているのだ。

 

アイン・ランドという作家が書いた「水源」は1943年に米国で発表されて当時の米国人の思想に大きな影響を与えた。建築家を主人公にした大作であるがリバタリアニズム作品として評価されている。米国で最近伸びていr「ティーパーティ」にもこの作品の信奉者が多い。

 

彼らはすべてのものからの自由を主張して徹底的に政府からの保護を拒否して、自分の事は自分でする、自己責任だ、その代わり政府はオレのやることに口を出すなって考えだ。米国の独立戦争の時には「ボストン茶会事件」として知られたが「議席なき時に納税なし」と当時の英国の横暴ぶりに反抗して戦争を始めた。

 

納税が必要なら人の話を聞け。人の話を聞かずに納税だけ要求するのは泥棒に等しい。そのような人間とは徹底的に、命を賭けてでも喧嘩をするぞ、それが当時の米国人の考え方だった。

 

その意味でマイナンバー法案とはリバタリアンとは全く相容れない個人干渉の法案である。しかし社会がここまで構築されれば最低限必要な合理化システムであることも間違いない。だからこそ本来は納税者の負担減少の為に必要なシステムであるから米国でもニュージーランドでも導入されている。

 

しかしそれは民主主義が確立した国家での話であり、民主主義が存在せず選挙に依らない人々が政府運営をしている状態で導入されれば、それはお上の支配体制の強化にしか過ぎない。いよいよ道は狭まっている。



tom_eastwind at 09:01│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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