2013年03月21日

鷹の目

「最近の日本っておかしくなってますね」とは日本がまだ平和だった7年前にお子さんを連れて移住してきたひとの語った話だ。「あの駅でこんな事件が起こるなんて、あそこ、わたしがいつも通勤に使ってた駅なんですよ・・・」

 

やっている本人よりも傍で観ているひとの方が物事がよく見えるって意味で傍目八目という諺がある。彼女は日本から遠く離れたオークランドの街で毎日日本のニュースに接しながら大きな視点から日本を俯瞰出来る。

 

要するに細かいところを見たり考えたりする必要がないから三次元、鷹の視点で地上を見ることが出来るのだ。実際に地上にいる人は二次元、蟻の視点みたいなものだ。

 

日本にいると普通の家庭の主婦はいつも目先の事、例えば子どもの朝ごはんとお弁当を朝早くから用意して学校に送ってすぐに自宅に戻って掃除して選択して片付けて、それでやっと一息ついて自分のささっとしたお昼ごはんを食べたら銀行や市役所や離れたところに行って所用を片付けた頃には子どもが帰ってきて塾に行く為の弁当を持たせて送り出し、自分はそれから夕食の支度をして御飯を食べてお皿を洗う頃には塾から子どもが帰ってくるから今日の復習と明日の予習のために12時ころまで子どもに付き添って勉強を手伝ってあげて、夜中すぎにやっとお風呂に入って就寝。そして翌朝早くにお弁当を作り・・・。

 

おまけに嫁ぎ先には気を使い時には用事もないのに「ご挨拶」で姑の家に立ち寄りしょーもない駄話を数時間聞かなければ「うちの嫁はねー、全く最近の嫁はねー」と、姑の友達に言いふらされるのが落ちだ。そんなことにも気を遣わねばならない。

 

当然そんな事ばかりやってたらゆっくりと日本の方向性を見るなんて暇は絶対にない。時間の隙間にみのもんたを見て世の中を分かったつもりになりNHKのニュースを観て「まあ怖いわ、あそこの駅で人殺しなんて、さ、夕食の準備しなくちゃ」となるだけだ。

 

まさに蟻の視点である。

 

二次元的にしかモノが見えないから今ナニが周囲で起こっているのかがわからない。これから襲ってくるだろう近い将来の現実が見えない。だから「まだ大丈夫」なんて軽い危機感どころではなく、明日も又今日と同じ日が来ると何の疑問も持たずにいるだけだ。

 

鷹の視点は三次元的に地上を観るから蟻の大群のすぐ向こうに大きな津波が近づいているのが見える。もうすぐあそこは高さ20メーターの大津波が襲う、太平洋で起こった大津波が見えているのだ。だから逃げる準備も出来る。

 

日本にいても鷹の視点でモノが見えるひとがいる。それは成功している投資家だ。彼らは先を読んで多くの人の逆を張って生計を営んでいる。

 

ぼくは仕事柄そのような投資家とお会いする機会は多い。おそらく普通の証券会社の営業マンよりも多いのではないかと思う。そして彼らはニュージーランドを投資家としての視点ではなく「サンクチュアリ」として観ているからその国に住む僕の話を聞いて結構本音で話してくれる。

 

どの成功している投資家の方とお話をしても共通しているのは「ちょうちんは自分で持つ」という姿勢だ。大勢の他人の提灯にぶら下がっていたらとっくに潰されている。彼らが生き残ってきたのはひとえに自分でちょうちんを持ち大名行列の旗持ちや棹持ちなどを持たない「One Man Army(一人の軍隊)」だったからだ。

 

そんな彼らが去年の初頭から激増した。まるで船がいつ沈むか分かっているかのように。もちろん彼ら同士の横の連絡があるわけではない、だって住んでる地域が数百キロくらい離れている人ばかりだし。

 

けど横の連絡がない人が同じ時期に同様な危機意識を持ち始めたというその現実は、受け皿であるぼくの仕事がある日突然忙しくなった=まさに成功した投資家こそ今が逃げ時だと感じている証拠であろう。

 

これは大きな意味がある。日本のそれぞれ離れた地域に住む人々がある日せきを切ったようにほぼ同時のタイミングでうちに問い合わせをしてくるのだ。これこそ船が沈むサインではないか。

 

単なるビビリンだったら投資で成功などしない。十分考えぬいて日本が好きでもし可能ならこのまま日本で住んでいたいけど、けど今出ないと絶対に逃げる機会を失って大津波に巻き込まれる、それが「見えている」から決断をするのだ。彼らも鷹の目を持っているのだ。

 

ぼくが今の日本を外から観ながら感じるのは、今はちょうど日本の1930年代の日本あたりではないかってことだ。1923年に起こった関東大震災は3・11をイメージすれば良い。東京を焼き尽くしてそこから日本は少しづつおかしな方向にずれ始めていった。

 

そして1932年に515事件が起こった。これなどは内乱だが同じ時期に関東軍による満州建国、つまり日本軍による中国国家侵略が起こり、それから13年間、1945年までの短い独立だが日本傀儡国家として存在した。当時の日本は1936年の226事件、1937年の蘆溝橋事件、そして第二次世界大戦と巻き込まれていく。

 

今から5年以内に国内外で軍事的な確執、簡単に言えば限定的戦争くらい起こるだろう・・・。

 

あれ、、、合ってる・・・鷹の目だ・・・。

 

ぼくはブログを書く時に自宅で夕食を終わらせてオットーマン付きの長椅子ソファに座って軽く飲みながら思いつくままに書く癖があり、今はまさにそうしている。こうやってると勝手に指が動くことがある。自動筆記か?って感じだ。

 

今年の参院選挙で安倍政権が衆参両院の三分の二を確保してこれから4年、つまり2017年までは安定して「何でも決められる政権」になる。

 

安倍政権の間に中国が領土主権、国内不動産バブル崩壊、チベット独立問題などを解決するために尖閣諸島で日本に限定戦争を仕掛けてくることは十分可能性がある。またその時には北朝鮮を利用するかもしれない。米国と長期的には手を握りたい中国だが、とりあえず目先の問題として北朝鮮を仲間につけてミサイルの一発とか敦賀や柏崎を狙った攻撃の可能性もある。

 

思いきりドンパチやって最後に米中でまとめてって筋書きもありかなー。その時の日本は1945年当時の終戦国家のようになっている可能性高いな・・・。この自動書記、気になるな・・。

 

水晶の夜事件というのがある。映画「シンドラーリスト」でもテーマになった事件だ。第二次世界大戦開戦前夜のドイツに住んでいたユダヤ人がヒトラー率いるドイツ軍(SS親衛隊)に強制連行されてアウシュビッツで強制労働の挙句多くがガス室で家族ごと虐殺された事件だ。

 

あの時も危機を感じたユダヤ人は早いうちに逃げ出した。

 

ところが店を経営してて動けないとか子どもたちが小さいからとかまだ大丈夫だろうと言うことで他国に逃げ出さなかったユダヤの人々は次々と逮捕され財産はすべてドイツ軍に没収されまさに丸裸にされて最後には収容所のガス室で家族ごと皆殺しにされた。

 

「災害は忘れた頃にやってくる」とは政府の標語だが、それはまさに事実であり政府は人々が忘れるように忙しくさせておいて災害を起こす。資産を持つ国民の財産を巻き上げて国庫に入れて「はい一丁上がり、次は庶民から消費税ね!」となる。

 

アベノミズムについてもぼくは以前にも書いたが、あの政策でハイパーインフレーションが起こっても政府は自分の借金が減るので問題ないのだ。困るのは一般庶民であり政府官僚ではないのだ。政府官僚はハイパーインフレになりそうなら準備をして資産を移し替えておく。ハイパーインフレーションで財産を失くすのは毎日の仕事に忙しい蟻の眼の視点しかない一般庶民である。



tom_eastwind at 17:59│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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