2013年05月05日

恥と学びと

英国の大学に留学していた大陸中国人学生が試験で落第しそうになり、担当教授の部屋を訪れて目の前に5,000ポンドの現金を積んで「これを取ってオレを通すか、取らずにオレを落とすか?」と恫喝?交渉?したニュースが入ってきた。英国では大問題になって大手メディアに取り上げられている。

 

(ここであえて大陸中国人と書くのは同じ中国人でも台湾、香港、マカオ、シンガポールなど非大陸系中国人と峻別するためだ。彼らは歴史的に中華民族の血を受け継ぎながらも共産党が支配する大陸系中国人とは全く違った道徳観や社会習慣を保持している)

 

かと言えばお隣の韓国では今年の米国の大学受験センター(SAT)が開催する大学進学適性試験で受験内容が事前流失した疑惑が出て試験を中止にして予備校教師など教育関係者を出国停止にして事件を調査している。このような事件は過去にも繰り返されている。

 

これは価値観の違いというか、彼らの場合は恥を重んじるから試験に落ちるなどの恥を受けるよりは不正を行なってそれを隠蔽する偽装工作の方が正しい判断だと考えているのだろう。

 

つまり不正を行う事は彼らにとって恥ではない、何故なら不正行為はそれより上位にある価値観である恥を守る為に正しい行為、となるのだろう。

 

これは中韓の儒教文化から来るものであり彼らの国内では一般常識として広がっているから恥をかかない為には嘘をつく事が暗黙の了解となっており国内問題としては大丈夫なのだろう。

 

しかし一旦西洋諸国などに出るとこのような理屈は全く通用しない。西洋諸国では正義を行うこと、正しい事を行う事、その結果として恥をかいたとしてもそれは一時の事であり不正は一生心の傷として残るし神様に隠すことは出来ないと捉えている。

 

これは社会の成り立ちにも違いがあるのだろうが、西洋諸国ではルソーの「社会契約論」にあるように個人が森の中から出てきて城市を作り人々は協働して森の中にいる動物と戦いお互いを助け合った。

 

その中で最も大事なのは社会全体を守り成長させることであり、その為に仲間同士の信頼が大事であり全体の公平性を確保するために男女平等であり生まれてきた子どもの両親が誰であろうと平等に成長する機会を与えられ、その社会を守るために選挙が行われ全員で議論をして決断をすれば皆が同じ方向へ動くことが出来た。

 

逆に言えば他人を裏切るような行為や嘘をついて組織全体を乱す行為は最も悪いこととなり、価値観の中で恥をかくことは低位であり信頼と公平と正義が価値観の上位に来ることになった。

 

英国と米国は普段は相手の悪口を言ったりするがいざ戦争が起こると必ず手を組んで敵と戦った歴史を見れば分かるように、共通の敵に対しては常に団結をして戦うことでより強くなる、その時に仲間を裏切ってはいけない事を十分に理解しているのだ。

 

ところが東北アジアでは昔から選挙制度は存在せず人間が自然と同居しており世界で一番エライ皇帝が生まれた時から世の中を支配していた。皇帝一族以外は皇帝の私有地で土地を借りて働く農奴や領民であり子どもだって生まれた時から領主の財産でしかなく人々はその生まれで差別されて育つしかなかった。

 

だから仲間同士が信頼する必要がない。何故なら領収だけを信頼していれば良いのだから、それが生き残る道なのだから。正義を実行するのは領主の問題であり領民が正義を実行する機会などなく、だから守る機会もない。

 

社会を守るのは皇帝の仕事、農奴や領民にとっては家族だけが守るべき唯一の組織となり組織を恥に晒すことが社会全体から家族のメンツを失うことになるから絶対に許せない、恥が最も上位の価値観となる。

 

これは中国と国境を接する北部インドやスタン地域(国名の後ろにスタン(場所)が付く国家)でも同様であり、イスラム教やカースト制度があり、女性は常に男性より低位であり女性は男性に絶対服従して強姦されても黙っていろ、少しでも他人に色目を使ったら家族に殺される、不倫でもしようものなら集団の見守る中で石をぶつけて殺される習慣が今でも厳然と存在している。

 

つまり中韓印を一言で言えば(良いか悪いかは別にして)そこには西洋的民主主義が存在しないのだ。

 

日本も本来なら恥を上位に置く文化であったが同時に正義を大事にする文化も存在した。明治時代になって欧米文化を学ぶ中で次第に民主主義らしきものも導入されて本来の日本文化の上に公平という西洋的概念が導入された。

 

結果的に日本では東北アジアで珍しく西洋文化に近いものが醸成されて、勿論完璧な西洋的民主主義とは呼べないがそれでも個人の人権や人格を守り男女平等の概念は東洋社会の中ではかなり西洋に近くなった。

 

「知るは一時の恥、知らぬは一生の恥」という言葉が日本人にはわかりやすいだろう。知識を学ぶために恥をかくことなど気にすることではないという思想はスタン人には理解不能だろう。彼らは移住先の国家で英語を満足に使えず教育も高くなくなかなか安定した仕事がないからタクシー運転手をする。

 

移民社会のオークランドでも彼らはニューヨークに住む同胞同様にタクシーの運転手をするが、彼らは恥を重んじるために道を知らなくても知ったふりをしてしょっちゅう行先を間違える。乗客が間違っている事を指摘すると彼らは激昂して「悪いのはオレじゃない、お前の教え方が悪いのだ!」と開き直り相手をバカにしたような顔でせせら笑う。そうやって勝った気持ちになる。

 

しかしそれなら普段から道路地図を見て道を勉強すれば良いのに面倒くさいからそんな事をしないし、勉強するって事は知らないって事を認めることになり恥だからしない。こうやって彼ら恥を重んじる民族はますます移民社会の中で低位になる。民族がバカにされるよりも自分の恥を守る、だって民族や国家は自分が作ったものではないから気にしないのだろう。

 

僕の個人的体験であるが以前オークランドのスタンフォードプラザホテルの前で客待ちをしているタクシーに乗ってニューマーケットのレストランまで行ってもらおうと乗り込んだら中東系の運転手は酷い英語で「そんな近くなら歩いていけ、お前に足はないのか!」と言われた。頭にキタので100ドル札をそいつの頭に投げつけて怒鳴りつけて車を降りた経験がある(他にも数回ある“苦笑”)。だから今ではタクシーに乗る時は待ってでも良いからキースにお願いしている。

 

日本人は学ぶことを恥と思わず学ぶために頭を下げることをも恥と思わず印度に行き頭を下げて仏教を学んだが仏教発祥の地である印度では仏教が一般民に広がることはなく現世利益のヒンズー教が広がった。

 

中国からは漢字を学び四書五経を学び江戸時代の文化はまさに中国発祥の教えを学び漢文を書きそれが武家階級の教養となり一般市民にも伝わり明治時代の1800年後半の日本人の識字率は90%を超えていた。

 

明治時代、横浜や品川あたりで客待ちをしている人力車の車夫が普通に新聞を読んでいるのを、日本を訪問した西洋人がそれを見て驚いたものだ。ところが肝心の漢字発祥の中国では戦争ばかり繰り返し四書五経は読まれず識字率も低かった。

 

仏教発祥の地で仏教は一般市民に広がらず漢字発祥の地で一般市民は漢字を書けず、文化教育においてすべてが印度や中国より劣っていた東の果ての小国日本が追いつけ追い越せで漢字と仏教を学び、明治時代には追いつけ追い越せで西洋文化と文明を吸収して1900年には西洋の大国ロシアを打ち破るほどの艦船と軍隊を持ち、1914年からの第一次世界大戦では日本の駆逐艦がニュージーランドの兵士を守って欧州戦線に送り込んだ。

 

今日のブログは感情的に彼ら中韓印の人々を攻めたり日本人だけが優れているという事を指摘したいのではないし一国の文化を他国と比較して良い悪いとは決して言うことは出来ない。文化はその地域の固有のものであり生活環境も全く違う他国と比較しても意味はない。

 

第一日本人だって大学でカンニングをする学生もいれば親の七光りだけで威張り腐ってる連中も山ほどいる。他にも沢山の問題を抱えているし指摘し始めればきりがない。

 

ただ少なくとも他国、例えばオークランドで他民族と協働で生活していく上ではマオリやパケハの価値観を理解する必要があるし少なくとも軒を貸してもらってる状態で母屋を無視したりバカにしたりすることは控えねばならないくらいの常識は必要だ。

 

勉強という努力もせずに他人をせせら笑い、歩道に痰を吐いたりバスに割り込みをして指摘されたら発狂したように騒ぎまくるだけではいつまで経っても移民民族の中では国民としても個人としても地元の人々の信頼を得ることは出来ない。そのような国家からやって来て一生懸命真面目に働いてきちんとした家庭を築いている人々からすれば迷惑以外の何物でもないだろう。

 

今回の移民法改正でも何故日本人が比較的に優遇されるのか、冷静になってよく考えてみれば分かることだ。つまり移民社会では長い目で見て自分の文化だけを押し通そうとする民族であるというだけで損をするという事実を理解してもらいたいだけだ。

 

もちろん「西洋社会でも自国の文化を押し通す事が正しいとか信頼を得る必要はない、軒を借りてる状態でも母屋をバカにしたり無視したりしてよい、いずれ母屋を乗っ取ってやる」と考える文化であれば、これはもう何も言いようがない、どうぞご自由に。ただそれならその国家からの移民はますますしづらくなるという結果は受け入れるべきだろう。

 

しかし不思議なのは、それなら表題にあるように集団でカンニングをしてまで米語を学び米国の大学を目指す事や勉強もせずに英国の大学に留学して金で成績を買ってまで英国に残ろうとする矛盾を彼ら独立不遜の民族が恥と思わないのか?どう捉えているのか?是非とも知りたいところだ。



tom_eastwind at 15:35│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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