2013年05月12日

日本を支配しているもの、てか日本を形作っているもの

池井戸潤の本がamazonから届いた。日本からニュージーランドに発送してもらうのだが1万5千円の本代に対して郵送料は7千円くらい。まとめ買いをする方が得であり、もっと言えば日本の滞在先ホテルで受け取って個人の荷物でNZに持って帰った方が余程得なのだが、出来れば早く読みたい、だって人生って一回しかないしって思っているので30日を一つの基準として日本に送るかオークランドの自宅に送るかを決めている。

 

今回の作品、まずは「ロスジェネの逆襲」ではおなじみ半沢部長が暴れまくる!団塊世代は自分たちの消費も含めて大日本を作った。けどその後の新人類からバブル世代入社にいたっては、社会に出た時はバブル崩壊で「え?話、違うじゃん?」というところから始まる。

 

就職氷河期の時代に運良く希望の会社に就職出来たものは少ないだろう、今でもフリーターとして生活をしている者も多いだろう。そんな、団塊の世代に食われてしまった元若者たちが社会で現役で仕事をしながら、それでも「潰れてたまるか!」と思い、会社は助けてくれない、自分で生き残るしか無いと割り切り、自分のために戦う。自分の、何か言葉にしづらいが名誉とかプライドのために、生きている証のために。

 

ブログのコメントで質問を頂いた。「誰が実際に日本を動かしているのか?官僚はあくまでも実行している人間でありほんとうの意味で高級官僚を動かしているのはどういう人たちなのでしょうか?」

 

これなど半沢部長が聞いたらどう答えるだろうか?何故なら彼らバブル世代が日本の本当の支配層に振り回されているわけであり、彼らからしても一体誰が俺たちバブル世代が団塊逃げ切り世代の付け払いをしなくちゃいけないのか、ましてやロストジェネレーション世代で就職氷河期を経験して何とか生き残った若者も「 何で俺達が?」という疑問があるだろう。

 

この答、僕が答えられる立場にあるのか、正しい答えを知っているかどうかは自分で判断することではないと思うが、あえて答えるとすれば日本という国を支配している支配層、それは誰か普遍的にこの世に存在する個人ではなく、西洋のような具体的にロスチャイルドとかユダヤとかではなく、日本を覆う空気だと思う。

 

日本を形作る大気、水、大地、草花、海岸、そういったすべてのものが日本を支配しているのだと思っている。だから日本の特徴的な点は誰もが長期的な視点を持たずその場の空気で状況を判断してその場の思いつきで物事を動かしている。

 

例えば英米ではそれぞれ100年単位で国家の方向性を決定する組織がありそのような組織は国民の選挙を受けることなく能動的に秘密組織のような活動を行なっている。彼らは国家が存続するための活動を行なっている。そうしなければ国家という組織が崩壊することを理解しているからだ。

 

しかし日本では自然と一体となった国家があり、それは何もしなくてもそのまま維持できる組織となっている。だから民主主義も必要なければ暴力的革命も必要がない。人々はその場に流れる空気を理解して生きているだけなのだ。

 

だから長期的視点を持つことが出来ないのが日本人の特徴であるしいつも「その場」に流されているわけだがそれが長期的に見ると結局日本という国を常に一流の国、道徳的に見ても隣国の人々より世界的に高い評価を受けているし、技術面でも常に世界のトップに位置づけているし、勤勉であり嘘をつかないという、国を成長させる大事なものを持っている。

 

バブル世代は苦労したというが、団塊世代もそれなりに戦後の日本を引っ張り上げる苦労をしてきた。真夏の熱い事務所でクーラーも効かない部屋でバケツに水を入れてそこに足を突っ込んで夜中まで働いてた世代である。

 

商社はトランジスタラジオを鞄に入れて米国に売りにまわり佐藤栄作首相が欧州を訪問すると「トランジスタラジオのセールスマン」と嘲笑された。それでも日本人は言葉の通じない、それも戦争で負けた立場でありながら米国に物売りにいって今の日本を築いて来た。彼らは誰に背中を押されたのか?

 

ぼくはそれが日本を覆う空気ではないかと思っている。負けると分かっていた大東亜戦争に日本を追い立てたのも空気であり日露戦争で勝てるはずのないロシアを相手に勝てたのも空気だと思っている。だって、それ以外の何物を持ってきても、これ以上に正しい答えが見つからないからだ。

 

この、ぼくの推論はあくまでも実社会を下から眺めただけの考えであり学者の研究ではない。もし本当に日本の支配者が誰かを知ろうと思うなら、やはり山本七平や丸山眞男を読むべきだろう。とくに丸山眞男は学者として日本とは何かを分析している。山本七平は世俗の日本社会から普遍的な日本を見つけ出そうとしている。

 

どちらも良いと思う。学術的に学ぶものが多いと思う。ただ、出来れば学説ではなく自分の肌感覚を大事にして欲しいとも思う。ぼくは少しは本を読んできたと思っているが読書量で言えば上には上がいるわけであり、だから読書の多少ではなく直感を大事にする、肌感覚を大事にする、それが出来れば大学の教授とでも普通に議論が出来るのではないかと思う。



tom_eastwind at 14:59│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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