2013年06月11日

コハダの詩

こはだ

 

羽田空港でチェックイン後にレストラン街で寿司を食う。ガタガタと揺れる飛行機の中で飯を食うのはどうにも面倒くさいので香港までの約4時間とオークランドまでの約12時間、何も食べなくて良いように寿司屋を選んだ。

 

他にもすき焼きとかおでんとか蕎麦屋とか美味そうなのが軒並みで迷った挙句にこの店の前を三回くらい行き来して一回トイレに行ってゆっくり考えて結局寿司にした。すき焼きや蕎麦ならオークランドでも食えるもんなーとか適当に自分自身への言い訳だが実際のところ何の意味もない、要するに身体が魚を求めていたのだ。

 

入った寿司屋は見たところ普通の寿司屋なのだが何故かカウンターの手前にベルトコンベアがある。。。回転寿司?どうもそのようだ。しかしベルトは全く回っておらずすべてひと品づつの注文。この店、本店は銀座五丁目。

 

そういえば最近は注文で寿司を出す寿司屋が増えたって記事を読んだ。けど寿司ってもともと注文ベースではなかったか?などとしょうもない疑問を持ちつつオークランドでは食えそうにないネタを次々と注文。

 

んー、やっぱ旨い!日本だなーって感激だ。ただ寿司が来る度にお皿に盛りつけて来るのだが「すいません、うちは回転寿司なものでお皿で計算しているんですよー」と職人さんに言われ「あ、やっぱ回転寿司なんだ」と妙に納得。

 

それからもパクパクと食い続け、普段のぼくの食生活を知っている人間からすれば「嘘でしょ!」というくらい寿司を食った。お皿は最終的に15枚くらいになった。なんてか、これから飛行機で約16時間の断食に入るのでその前に餌を腹に詰め込んでおけみたいな食い方になった。

 

それにしても羽田空港、いいよなー。今日だって恵比寿からタクシーで30分かからなかったし空港内もお洒落だしレストラン街は江戸小路みたいに洒落てるし入ってるお店もどこも旨そうだ。

 

千葉県にあるくそったれ空港、どっかの田舎議員が自分の票欲しさに地元警察と機動隊使ってどっかのど田舎の他人の土地を無理やり奪って作った百姓空港(これが民主主義か?)到着口で地元野菜を売ってるなど世界でもまともな国際空港ではあり得ないようなバカ晒しているし今は全く不必要な過激派対策として空港入口にバリケード張って地元民の雇用対策やってるくそったれ空港とは全然違う。

 

羽田空港は空港が飛行場と呼ばれていた戦前から存在する空港であり国益のために風の流れや離発着のしやすさを考えて作られた。このような空港は他に伊丹、板付福岡空港などがある。どこも街に近くて使い易い空港だ。

 

伊丹の場合は空港が出来た後にあふぉ住民が空港の近くに引っ越してきて「飛行機うるさいねん、夜間飛んだらあかんねん!」と文句を言って政府から金をもらい、でもってじゃあ空港を移しますよ、関空作りますよってやったら今度は「何で伊丹を失くすんや、地元の仕事を奪うんか!」と文句を言って結局伊丹は中途半端なまま今でも空港やってる。

 

成田といい伊丹といい、まさに下品な話である。自分の目先の金を政府から奪うことしか考えていないど汚い連中のやってるクソ百姓仕事だ。言っとくが僕は百姓という仕事を差別しているのではなく、その心構えを差別しているのだ。

 

長いものには巻かれろ、強いものには頭を下げろ、弱いものは叩け、池に落ちた犬を叩け、戦で負けて逃げてきた落ち武者をへっぴり腰の百姓どもが竹槍で突き殺す、そんなみみっちいみすぼらしい、自分の人生に誇りも無ければ生きがいもない、ひたすら飯を食って寝るだけの薄汚い態度を持って百姓と呼んでいるのだ。

 

話はころころ変わるが、でもってコハダ。

 

何でこれだけネタが有ってコハダなのかと言うと、午後3時ころって寿司屋の暇な時間だったので入ってるお客は4組だけ。そのうち3組はアジア人。一組は韓国の若い女性カップルで片言の日本語で写真付きのメニューを観ながら注文書に色々と書き込んでいた。

 

面白かったのは中国から来てた中年カップルで、親父さんが片言の英語で「Anything Fresh!,なんでもいいから新鮮なものをくれ」と注文すると職人さんが日本語で「へい、わかりやした!」と答える。会話、成立。

 

彼らのテーブルには岩牡蠣やカンパチ、北海道産のうになどが次々と並ぶ。カップルは時々お茶を飲みながら料理を次々と食べて実に満足そう。親父さんはそのうち日本語で「これ、うに、ホッカイドー?」と聞く。職人さんは日本語で「へー、これは根室の紫です」と答えて、親父さんは満足そうな顔をする。

 

面白いなー、お互いに違う言語なのになぜかお互いに通じている。それなら親父さん、最初から中国語を使えばいいんじゃないのって思ったりした。

 

ただ一つ気づいたのが、彼らカップルが中国語を喋ってる時は周囲に気付かれないように小声にしてた事だ。普段の中国人と言えばすっぱー大声て喋ってるのだが、やはり今の日中関係があるので少し気にしているのかもしれない。思わず「大丈夫だよ、おれたち日本人は中国人排斥デモなんてやんねーよ、ゆっくり寿司楽しんでくれ」と言いたくなった。

 

また話がそれた・・・。

 

今日言いたかったのは、コハダを2貫注文して、あまりに美味しくてまたも2貫注文したのだが、コハダを食べながらいくら中国人が寿司を好きでもコハダは理解できないだろうなって感じたこと。

 

これは中国人だけではなく白人も同様だろう。かなり特殊な人は食えるかもしれないが、殆どの外人はコハダを「生臭い腐った魚」と認識するだろう。

 

日本で生まれ育った外人で子どもの頃から日本食を食べてたならコハダも理解出来るだろうが、全く食文化の違う国の人にはなかなか理解できない味だと思う。

 

それで言えば例えば干物。それもくさやの干物をフランス人に食べさせたら鼻が曲がるような臭さとしか理解出来ず、日本食しか知らない日本人にトリュフを食わせたら「豚の食い物か!」と言うだろう。

 

それほどに食文化は民族文化と密接に繋がっている。うちの家族は平均的な家族と比較すれば三カ国の文化が混ざっておりわりかし国際的とは思うが、それでも食文化となるとりょうまくんは普通にパイを食べるしお姉ちゃんは白ご飯がないと食事したくないわけで、うちの3人に「コハダ食べて」と言えばおそらく「今お腹一杯」と丁寧に断られるだろう。

 

白人の場合、魚については赤身の魚と白身の魚くらいしか区別がつかない。鯛と平目の味が同じって感じだ。両方食わせてどう違うかって聞いても、漁師とか魚の仕事をしている人以外は区別が難しいだろう。

 

そんな事を考えながら美味しい日本酒と一緒にコハダを食べる。パクパク食べる。お店の人が不思議そうな顔をしても、ぱくぱく食べる。だって美味しいんだもん。あんたら毎日食えるだろうけど、おれニュージーランドに戻ったらまず食えないんだぜ、ぱくぱく。

 

回転寿司では結局1万円ぶん食った。普通一人でそこまでくえんでしょって思われるくらい食った。だって、腹減ってたしこれからの長旅を考えてしっかり食っておかねばと思ったから。

 

コハダ。いつまでも日本独自の食い物であり本当に日本文化を理解しようとすればコハダを食うだけでなくコハダが旨いと言える気持ちがないと難しいだろうなとか思いつつコハダを食う。

 

コハダコハダ、酸いか甘いか美味しいか。

 

機内では殆ど眠り続けた。乗務員も「ほんとに何も食べなくていいんですか?」って聞かれたけど、とにかく寝かせて下さいと眠り続けた。

 

そして今日のお昼にオークランド到着。

 

透き通った空気と青空に、久しぶりにほっとした。奥さんが迎えに来てくれて二人でいろんな事をおしゃべりした。ぼくがオークランドにいない間にあった事、龍馬くんが今日はコーラスでシティホールに行ってること、ぼくが今回の日本でやってきたこと、ずーっとおしゃべりしながら。ちなみにうちのおしゃべりは広東語ベースでそこに日本語が入り必要に応じて英語を使うって感じだ。

 

やっと出張も終わったぞ、さあ明日から仕事だ、日本人らしく真面目に真剣にお客様を見て働くぞ。

 

ちょっと思い出した。

 

さんま、さんま

さんま苦いか塩つぱいか。

そが上に熱き涙をしたたらせて

さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。

あはれ、げにそは問はまほしくをかし。

 

佐藤春夫の詩だ。これをコハダと読み替える・・・これからも日本人としての矜持と誇りを持って生きていこうと思ったコハダだった。



tom_eastwind at 16:43│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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