2013年07月06日

プライベート・バンクとプライベート・バンキングの違い

意外と知られていないのが表題の二つの違いである。日本から来られたお客様と話をしていると「ええ、私ここでプライベート・バンクの人と会う予定なんですよ」と言われたりする。それがシンガポールや香港なら分かるが何故オークランドで?

 

だってオークランドっつうかニュージーランドには厳格な定義でも本来的な意味でのプライベート・バンクは存在しないからだ。

 

例えば一般論として日本でもよく海外口座開設ツアーなどで何十万円も払って香港でプライベート・バンクで口座開設!とか宣伝しているが、よく見ると何じゃHSBCの話ではないか。香港のHSBCなんてプライベート・バンクじゃないし・・・。

 

そこで何でこんな言葉の詐欺に引っ掛かるのかなと思ってると、どうやら宣伝している人たちはプライベート・バンクとプライベート・バンキングの違いをあえて説明せずにいかにもスイスにあるプライベート・バンクのようなイメージを持たせて口座開設に金を取るようだ。

 

勿論当社でも口座開設のお手伝いで手数料を取ってやっているが、それはあくまでも普通の商業銀行でありプライベート・バンクではない。てかオークランドにはプライベート・バンクは存在しないし・・・。

 

本来プライベート・バンクとはスイスにある超大金持ちを相手にした完璧な秘密取引銀行であり代々続く欧州の貴族やアフリカの独裁者などが顧客であり、そのような立場のお客同士が顔を合わせることなど政治的リスクが高すぎて有り得ない。

 

なのにプライベート・バンク口座開設説明会なんてあんた、全員が顔合わせてるじゃんか。ましてや同じ飛行機で香港に飛び同じHSBCにツアーで入るんだからその時点で「プライベート(私用)」じゃなくて「パブリック(公衆)」でしょ、トイレを考えれば違いが分かる。

 

HSBCがやってるサービスはプライベート・バンキングであり商業銀行の内部にある富裕層部門の窓口であるってだけでそこには何のプライバシーもない。

 

そして香港はすでに日本の税務署(財務省)から常駐スタッフが派遣されており両国の金融情報の交換をせっせとやっている。

 

つまり日本で堂々と開催される説明会から始まり2011年から12年に財務省から次々と摘発された口座開設業者は手持ちの顧客データを提出することで何とかお縄を逃れて、そのデータを元に財務省から派遣された常駐スタッフは香港のHSBCに照会をかけて口座取引の内容をすべて把握するって流れだ。

 

これがスイスの本当のプライベート・バンクならば顧客情報を絶対に表に出すことはない。最近問題になった「UBSが顧客情報を米国財務省に提出した事件」だが、あそこはプライベート・バンクではなくプライベート・バンキング部門を持つ商業銀行である。つまりHSBCと同じなのだ。

 

HSBCだって商業銀行だし日本から撤退したとは言え香港で銀行免許を持っており日本の税務署に痛くもない腹を探られたりしたくないから税務署から正当な手続きで照会があれば顧客情報などすぐに提出する。銀行からすれば自分の生き残りが大事であり山ほどいる顧客の一人や二人を売ったところで代わりの客はいくらでもいるのだ。

 

むしろ英語もできない日本人がツアーで銀行に乗り付けて口座開設をしたところで運用の仕方も分からず下手に安い口座を増やされても迷惑であるから最近では口座開設お断りとか通訳同行は出来ませんとかやってるようだ。

 

さて話はオークランドに戻るが、どうやらここでプライベート・バンクと思われてるのはHSBCANZが運営しているプライベート・バンキング部門の事であるのが分かった。両行とも確かにその部門はあるし、てか年中ぼくが顔を出している場所だ。

 

この部門はあくまでも富裕層向けに上質なサービスを提供しているってだけでプライベート・バンクではない。ちょうど日本の税理士の方が両者の違いをわかりやすく整理しているブログがあったのでコピーしておく。

http://www.family-office.co.jp/private_bank.html#18

 

上記のブログを読んで頂ければお分かりの通り、プライベート・バンキングとは銀行にとって利益率の高い商品を顧客に売り自社(銀行)の株主に対して高い配当を払う事を目的としており、決して顧客のための資産管理をする会社(銀行=プライベート・バンク)ではないという事だ。

 

おそらくこれから2015年にかけて将来の資産運用を考える人が増えてくると思うが、口座開設さえすればどうにかなるってことは有り得ない。それはひとつの要素であり決して全体を解決してくれる方策ではない。

 

だから自分が何をしたいのか、誰に資産を残したいのか、どのような形で残したいのか、そういう様々な問題を一度全部棚卸して整理した上で絵図を描くことをお勧めしたい。



tom_eastwind at 14:27│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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