2013年09月11日

若者よ旅に出よう

ライフネット生命創業者である出口治明氏のインタビュー記事で面白い言葉があった。

http://blogos.com/article/69836/


本来はマネージメントの素養で「マネージメントは人間と社会を知ること」と語っているが、これはまさに同意見である。人間という凸凹した個人を理解して、彼らを組織化する際にその時点での社会の様相を理解して最適の位置にはめ込む作業は、まさに江戸時代の凸凹な石で石垣を組むようなものである。


その中で語られた言葉で更に面白いのが下記↓

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人間は「人に会う」「本を読む」「旅をする」という3つでしか学べないと、僕は常々言っています。この3つから人と社会を学ばないと、マネジメントの力は身につきませんよ。赤ちゃんにマネジメントはできませんよね。

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これも同意見。マネージメントは学問であるが、それは机上の空論だけでは学べない。自分と違った価値観を持つ人に会うってのは自分の人生観を二倍にすることに繋がる。価値観を広げないまま年を取ってしまうと単なる「人の意見を聞かないバカ」になってしまう。


ネットの書き込みでも多用な価値観を持っている人は冷静かつ具体的な書き込みをするがそうでない人が書く時はとにかく他人を感情論で罵倒する事しか出来ない。自分の頭のなかに一つの価値観しかないから怒りや感情以外で表現出来ない。


本を読むのも同様であり、まだ見ぬ世の人の語りを聞くことが出来る点で、現代だけの価値観に偏らず四千年の歴史を通して人間の価値観を多様化出来る。


そして「旅に出ること」。ぼくは旅行屋としてもう30年以上働いているが本当に世界各地の風土や習慣を見ることは楽しく学ぶことが多い。同じ地域に住むたくさんの人に会うのも勉強になるが、全く違う風土や習慣の国に行くと、まさに頭を叩かれたようなコペルニクス的転回な発想を学べる。


1980年代初頭に中国へ行ったその翌月にインドを回った事がある。最初の中国では当然の事ながらトイレが異常に汚い。それに仕切りがないからプライバシーが全く存在しない事に驚いた。


ところがその翌月にインド東部、カルカッタを中心として仏跡巡りをした際に更に驚いたのは、途中のトイレ休憩が大きな石切り場みたいなところで、ガイドが右手の石を指さして「男性用!」左手の石を指さして「女性用!」。つまり汚いどころではなくトイレ自体が存在しなかったのだ。


カルカッタの街中でもサリーを着た女性が道端に股を開いて座り込み暫くして立ち上がると地面がもやっと湯気が出てたり・・・。


とにかく日本という国がどこまで清潔かを本当に体感させてくれるのが「旅に出ること」である。


最近は海外旅行に行く人が減ったと言われて久しい。ニュージーランドでも日本からの渡航客は毎年減少しており、2000年代初頭までは年間16万人くらいが旅行に来てて当時のニュージーランド観光業界では日本人が大得意様だった。


ところが現在では年間旅行客が7万人以下にまで減少しており市場はすっかり中国人がメインターゲットになってしまった。2000年当時は中国からの観光客は年間で4万人程度だったのが、現在では17万人を超しているのだから自然と商品も中国人向けになってしまう。


つまり言葉をかえせば今の中国人は海外に出ることで自分たちを見直し学ぶ機会が得られているのだ。


今でも覚えているが1970年代初頭に日本の農協ツアーがお百姓さんたちを連れてパリに旅行に行った時など、地元の新聞で日本人に関する記事が掲載された。それは「分厚い黒メガネを掛けて首からカメラをぶら下げてドブネズミ色のスーツと白いシャツを着ていつも団体できょろきょろと歩きまわる日本人」であった。


それでもパリの人々は田舎者をきちんと相手にして礼儀を教えてくれて、今では日本人はパリでお店に入る時は店員さんに「こんにちわー」と挨拶することを学んだ。


てーことは、今の中国人は世界に出てつばを吐いたりバスに割り込んだりするが、世界ではそれが通用しないって事を学んでいけば、いつの間にか世界に出ても恥をかかなくなるかもしれない。つまり人は誰でも人に会ったり本を読んだり旅に出たりすれば、それが中国人でも成長する可能性はあるって事だ。


え?中国人に限ってはあり得ないって?けどそれじゃあ何で香港人は中国人なのに礼儀を理解しているの?


香港は長い間英国に統治されて中国人本来の考え方も持ちつつ西洋社会で振る舞うべき礼儀を覚えた。面白い話であるが、香港の中心地であるセントラルの高層ビル街は世界各国の銀行が支店を持っている。そのビルのエレベーターでは香港人男性が女性を必ず先に乗せるし女性も当然のように先に乗る。ごく自然な英国風の習慣である。


ところがその香港人男性が自分の住む「官糖」のアパートのエレベーターに乗る時は女性がいても必ず自分が先に乗る。女性は後からだ。何故か?それは地元のルールでは女性の乗ったエレベーターに男性が後から乗り込むのは強盗または痴漢の意志があると見做されるからだ。


同じ香港内の香港人でも場所によってきちんとルールを使い分けているのは、彼が香港にいながら全く違う2つの文化を理解しているからだ。
まさにWest meets East である。


世の中はどれだけ携帯電話が発達してもやはり自分の手で直接触ってみたり自分の目で直接見ないと伝わらないことが多い。てか、ケータイは所詮机上の空論である。電話機だから、機上の空論か。


1970年代の日本の若者は当時の空気もあったのだろう、よく旅に出てた。学生時代にカイバル峠を越えてアジアとヨーロッパを自分の足で回ってみたり、シベリア鉄道で凍てつくロシアを横断したりしたものだ。


何を学ぶかはその人次第にしても旅にでなければ学べない事は多い。頭が硬くなって旅に出ても眼に見えるものを見ようとしなくなるし目の前で起こることを自分の都合の良いようにしか解釈出来なくなる。


もしあなたがマネージメント志望であるなら旅に出て人に会い日常とは違った景色を見てみよう。そうすればいつか上司になった時に部下一人ひとりが違うんだって事が理解できるようになるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



tom_eastwind at 14:17│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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