2013年09月13日

統治の基本は分断とあめむち?

 

***記事開始***

政府・与党が消費増税による景気腰折れを回避するため9月中に策定する経済対策の素案が12日、明らかになった。

2020年の東京五輪開催に向けた公共事業や増税時の低所得者向け現金給付などを盛り込んだ。対策の規模は消費税収2%分に相当する5兆円を設定。さらに法人実効税率の引き下げを強く求める経済界に配慮し、素案には「近い将来に法人税を5〜10%軽減」と明記した。

 デフレ脱却を最重要課題に掲げる安倍政権は、消費増税で新たに生じる国民負担が回復傾向にある日本経済を萎縮させかねないと判断。消費税率3%引き上げによる景気への悪影響を実質1%程度に抑え込むため、財務省が想定していた「2兆円」を上回る規模の対策を打ち出す方針を固めた。

 対策の素案は、企業の設備投資を促すため今後3年間に導入した設備を対象に固定資産税を5年間軽減することや、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を活用した再生医療など革新的な研究開発支援に予算を重点配分することなども列挙した。(2013/09/13-00:35

***

自民党税制調査会(野田毅会長)は12日、経済対策の一環として検討中の設備投資促進税制について、企業が施設の耐震化や省エネ改修などを行わない場合の課税強化は見送る方向で調整に入った。

 政府・与党は、企業に対する耐震化や省エネに関する規制を強化すると同時に、法人税などを減税し、設備投資を促す意向。党税調は今月中に税制面の具体策を取りまとめる。

 これに関連し、国土交通省は党税調に対し、規制強化に応じた対策を取らず、病院、ホテルの耐震化や、オフィスビルの省エネ改修を行わない企業には課税を強化する案を提示していた。

 ただ、経済界は「(課税強化した場合)つぶれるところも出かねない」と反発。税調内でも、新規の設備投資を行う経営状態にない企業の課税を強化するのは負担感が強いとの見方が出ていることから、今回の対策では、課税強化は見送り、規制をクリアした場合の減税策を中心に打ち出すことにした。(2013/09/12-21:26

***記事2本終了***

 

この記事はこう読む。

★今回も政府与党は国民の分断統治と飴むち政策によるお上の力の強さを見せつけるために素案を国民に見せつけた。

 

2020年の東京五輪開催に向けた公共事業は約3兆円の波及効果があり一時期付き合いが悪くなってた土建建設業界向けの大ボーナス、これで仲良くしましょ、次の選挙の献金と選挙ボランティア派遣もよろしくね。公明党向けの飴としては増税時の低所得者向け現金給付、低所得者層の定義は公明さんの支持が増えるようにそちらで適当にやって下さい。さあ国民の皆さん、対策の規模は消費税収2%分に相当する5兆円なので大盤振る舞いでしょ!政府の力があるのがよくわかったでしょ。逆らっちゃだーめよ。

 

さらに経済界全体を味方に付けて選挙協力と企業献金をしてもらう為に法人実効税率の「近い将来に法人税を5〜10%軽減」と明記したからよろしくね、近い将来がどれくらい近いかは、生意気な米倉さんの次をどれだけ早く決められるかですよ、安倍ちゃんは米倉さん嫌いだからね。

 

長期政権を安定させたい安倍さんとしては国民のうち「うるさい少数派」の口を塞ぐために消費税3%のうち2%を原資として税金のバラマキを行いつつ「静かな多数派」は選挙に来ないし影響出ないのでそのまま消費税3%を食らってもらう。

 

しかし、ばら撒く税金の原資は国民自身から出ていることは教えない。あくまでもお上の言うことをよく聞く民にのみご褒美を上げてその代わり政府のやることに口出すなよ、出したら今度はムチで叩くぞって脅かしているのは下記を見れば明確だ。

 

「設備投資をすれば固定資産税を5年間軽減してやる」けど、もし経済界が何か政策にケチを付けるようならこんなもんすぐ齟齬にするからね。

「耐震化や省エネ改修をしなかったら増税するぞ」って脅かしておいて、今回はお上が官僚を押さえ込んだんだから恩を感じてこれからも一所懸命お上の有り難みを感じながら死ぬまで働くのだぞ。

 

大体こんな感じであろうか。

 

分断統治は元々英国が本家で歴史的に一番長い。インドやパキスタンからアフガニスタンあたりを支配する時はその地域に2つ以上の勢力、政治的対立や宗教的対立が発生するようにして少数民族が多数民族を支配する形を取り英国政府は自分から絶対に直接統治をしない。これによって常に国民同士がいがみ合い槍の先が英国に向かう事はない。

 

英国政府だって無制限に兵隊がいるわけではないし植民地国民全体が一枚岩になれば全面戦争になり、勝てるってのはその地域の人々全員を皆殺しにして新しい植民を入れるしかなく、そんな非効率な植民地経営をやってれば無能総督としてロンドン送還されてキャリアは終わりだ。

 

だからこそ少数で多数を支配出来る分断統治に経済的効果があるのだ。しかしその結果は国民相互の不信感につながるし最後はお互いに殺し合いを始める国家崩壊を招く。

 

特に20世紀のアフリカや中東や西アジアでは2つの民族や2つの異なる宗教グループを一つの国家にしてしまい、今でも宗教戦争が止まらない状態にしてしまった。例えばクルド人問題などは、彼らを3つの国家に分断させて更に主流派に対するクルド人少数派という対立を創りあげて何時までたっても解決できない問題を創りあげてから本国に戻っていった。

 

アフリカや西アジアの国境線を見て欲しい。どこも一直線の国境が存在するのはまさに政治的意図によって対立を狙ったからだ。

 

では今の日本政府はどのように国民を分断しているか?それはまず政府の言うことを聞く団体に金を渡して彼らを優遇する。すると優遇された団体は政府の代わりに反政府団体に「お前ら愛国心あるのか!」と叫ばせる。

 

でもって「ありまーす!」ってキリスト教の踏み絵を踏めばそいつらは一本釣りで政府系に入って美味しい汁を吸える。それでも「そんなのおかしい、自分で考える自由はないのか!」と自分の主張を変えずに踏み絵を踏まなかったらいつまで経っても差別が続き、それは本人だけでなく家族まで被害を及ぼす。

 

今回も経済団体は発言力があるから彼らに喜ぶ飴を食わせて、けどもし反政府に走るなら速攻でムチ打ちするぜって脅かしている。

 

公明党も背後に創価学会が付いているからこいつは味方に付けておきたいのだ弱者の団体が受け入れられる低所得者向けの給付をやった。今はまだ公明党とは離れられないからムチはまだ出さない。

 

しかし横のつながりが全くなく国民全体のたった5%しかいない資産を持つ人々に対しては次々と増税を突きつけて、その度に95%の国民に大岡越前裁判を見せつけて国民をすっきりさせる。

 

そしてそれを残りの95%の人々は溜飲が下がったように喜ぶが、次に政府が出す刃は「普通の人々」から「平等」の名のもとにすべてを奪い取る。

 

ここが問題なのだ。奪いとった資産はどこにいくのか?

 

その資産は平等の名のもとに支配層が自分の金にするのだ。

 

消費税3%上がります、それは3兆円です、けどその苦しさなんて高級官僚には関係ない。彼らは目先の給料は安くても利権で食えるのだから。

 

ぼくは官僚という組織には抵抗はない。組織としては実に効率的である。しかし日本の場合は仕組みが悪い。こずるいバカだけが自己保身のために出世出来る仕組みになって、本当に時代に合った優秀な人間が上に行ける仕組みがない。

 

今回の自民党の勝利宣言、経済対策素案は「内向き」には大したものだ。たぶん大学の試験で言えばトップレベルの回答であり十分に評価する。ただ、実際の社会ではたったひとつの正しい回答は存在しない。バカな役人が書いた答案は「内向き」には素晴らしいものだが、現在の日本が置かれた状況でこれから世界と戦っていくには、あまりに馬鹿げた回答だとしか言いようがない。


世の中を活性化させようとする市民から金を奪い取りやる気をなくさせ、利権だけで飯を食うような連中を可愛がってて、それで世の中が回ると思っているのか?
 

統治の基本は統治せず自治させることであり、そのためには多くの法律を作るのではなく人としての基本的な道徳を学ぶべきであり、そのためにこそ人民を学ばせて賢くさせること、実はそれこそが統治の基本なのだ。



tom_eastwind at 11:48│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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