2013年09月18日

Unit

今日は「旅の味」の続きでニュージーランドの弁護士の裏話を書こうと思ったのだが、旅の味1では予定より随分長くなり旅の味2で弁護士の話を書き始めるとあちこちに散らばりすぎて整理がつかず、ちょっと別のネタを上げます。

 

Unitという米国のテレビドラマの話です。

約一ヶ月かけてCBS製作のUnitを全部見直す。ここ数ヶ月は自宅に戻ると読書と仕事の合間に30分時間があれば米国発のテレビを見ている。今回の目標で残るはPrisonBreakだ。大作だし来週から出張だし、クリスマスまでくらいかかるかも。

 

連ドラを見ていればその時その場所にいる視聴者が何を感じて何を好み何を嫌がるかがわかるからだ。連ドラの基本は視聴率と広告主でありUnitをやってた時期はまさにバカブッシュが中東でドンパチをやってた真っ最中でありブッシュが降りてオバマが大統領になった2009年に終了した。笑えるくらいのタイミングだ。

 

Unitは結局米国人の祖国に対する愛国心を高揚する内容であり特に英雄として犠牲になることを誇りと思えって出来上がりだが、テレビ映画としての出来上がりは素晴らしい。

 

米国人がホームランドを守るために戦う筋書きだが一瞬でも見逃すと話が次に行ってて大変だ。勿論そこには「こらブッシュ!どっちが先に仕掛けたんじゃ!」という根本的な問題は無視されている。米国は常に正しいのだ。

 

この番組をずっと観ながら何故この人達は夜遅くまで人を騙して人を殺して働いてるのかなと思った。そしてアメリカンドリームってのを考えてみた。米国では黒人の子供でも大統領になれる、誰にでもアメリカンドリームが用意されている。けれど実際にその夢を叶える事が出来るのはほんの一握りの、真夜中まで働き苦労した人々だけである。

 

だからこそ米国のエリート階級は40歳代の若いうちにリタイア出来るくらいの金を稼ぐために土日返上で真夜中まで働く、ほんの一握りのアメリカンドリームを掴むために。それはデルタフォースでも金融マフィアでも政府機関でも同じだ。

 

ただなー、こんな映画を観てデルタフォースだけでない、金儲けの為に人を騙すとか殺すとかその反対に騙されたり殺される可能性があるとか、それってどうなん?と正直に思った。

 

僕自身が日本にいる時は確かに夜遅くまで働いてたし仕事で出張する時は24時間労働x長い時は2週間だから仕事の苦労は知っている。ただ何てか金だけが目標じゃなかった。達成感と成功の歓があって、同時に自分の達成感の為に他人を陥れるとかの発想だけはなかった。

 

単純に目標がある時は苦痛に思わなかったのも間違いない、働いている事が経験であり勉強であったからだが、それはあくまでも社会の中でルールを守る、社会を成長させる方向で努力することが楽しかったからだ。

 

今は日本でブラック企業なんて言葉が使われているが、ぼくからすれば労働量で見れば「それでブラック?チェリーの間違いじゃないの?」と笑えるほどの業務内容であるが、それでも夢のない子どもたちには重みなのだろう。

 

ここでニュージーランドと米国や現在の日本と比較してみた。今の僕の労働量で言えばそりゃ日本や米国で働いたほうが収入は多いだろう、けどぼくはやはりニュージーランドを選ぶ。

 

だって自分と家族がご飯を食べていくのにいくら必要なのか?

 

少なくともオークランドにいる間は朝起きて家族の顔を見てご飯を食べたり毎日930分に出勤して1500分過ぎには仕事を終わって自宅に帰って毎晩家族でご飯を食べて今日あった事をわいわいとやりながら一緒に過ごせる。

 

土日は基本的に休みだしりょうまくんを連れてゲームセンターに行き、りょうまくんが遊んでる間に近くのフリーマーケットを覗いたりカフェで美味しい紅茶を飲みつつネットで調べ物とか出来る。

 

年に一回くらいは家族で海外旅行も出来るし子どもたちの学費もかなりの部分を政府がまかなってくれるし寄付もちゃんと出来てるし、社員の給与も毎年賃上げ出来ている。

 

お金がたくさんあって大きな家を買ってとか、ぼくはあんまり考えた事がない。今住んでる家だってオークランドではごく平均的な中級価格でありながらリビングの大きな窓からは遠くにランギトト島が見えるし子どもたちのベッドルームもそれぞれある。

 

人間は座って半畳寝て一畳、コメを食うと言っても一人で五合炊き全部を食うことは出来ない。所詮人間の体に必要なものには限界がある。それを超して何かを欲しがればそれから先は欲望でしかない。

 

この国に移住してきたキム・ドットコムというドイツ系移民がいる。オークランド北部に超豪華な邸宅を持つスーパーリッチだが、彼は今米国FBIによって訴追されておりいつ犯人引き渡しされるか分からない状態である。リスクの計算方法が彼とぼくとでは違うのだろうが、基本的にニュージーランドを移住先とする人は僕のように家族生活が好きって人が多いと思う。だってこの国はガツガツ働くのは合わないし第一最初に書いたけどガツガツ働くなら北半球で働けば良いだけ、家庭を犠牲にして。

 

ぼくは出張中は基本的に24時間働いてる。今回の出張も毎日数百キロ、長い場合は8千キロくらいを移動しつつ毎日あちこちの街でいろんなお客様と会う。それが仕事だ。もちろんその期間は水泳で言えば50メートル潜水をしているようなもので一度も息は出来ないが、50メートル潜水が終わった後は楽しいオークランドの自宅に戻れる。

 

ニューヨークや東京で働くことに比べたら金はたまらないし、10億円の豪邸も買えないし自家用ジェットで世界中を飛び回ることも出来ない。

 

けれど、それって絶対必要なんか?ぼくは普通の人々に比べればいわゆる赤貧の生活を送ってきた経験があるが、それはとてもよい勉強になったが、だからと言って反抗の為の銭ゲバになろうと言う発想がどうしても出てこない。

 

自分が苦しかったから頑張るのは良い、けどそれは自分が大人になって工場を作り排気ガスや廃液を垂れ流して貧しい人を苦しめることとは違う。それはジョージ秋山の「銭ゲバ」の主人公の内心を描いた部分を読めばよくわかる筈だ。

 

人は社会に対する復讐だけで行きていけるほどエネルギーはない。他人を幸せにしよう、他人と一緒に生きていこう、その時こそエネルギーが出てくるのである。

 

その意味で今の米国や日本のビジネスの進め方を見ると「死ぬのは俺かお前か」であり「お互いに手を組んで成長しようよ」ってのが全く見えない。丸の内に立ってみても新宿に立ってみても全く同じ感覚だ・・・。

 

昔こんな話を聞いたことがある。桟橋の魚釣りの事だ。南太平洋の素晴らしく青い海でおじさんが桟橋から釣り糸を垂らしていた。

 

するとそこに米国人がやってきておじさんに聞いた

「君は何をしているんだ?」

おじさんは答えた

「今日の夕ごはんの魚を釣っているのさ」

米国人は言った

「なんて勿体無い時間を使っているんだ!」

そう言って米国人はそこに大型船が入る港を作り大型漁船で魚をトロールで釣り上げ冷凍倉庫でどんどん加工して世界中に売って大金持ちになった。

その間にかかった時間は10年、米国人は老人になっていた。

 

そしてある日、引退した米国人は古い桟橋に行って釣り糸を垂らした。

隣にいたおじさんが「あんた見た事あるよね?昔ここに来なかったかい?」と聞いた。

米国人は「そうだよ、昔ここに来たよ。あの時のように魚釣りをしたかったからおれはあれから一生懸働いて金持ちになったんだ!みろよ、おれはもう仕事に振り回されずにこうやってのんびり釣りが出来るんだ!」

おじさんは単純に嬉しそうに言った

「そっか、よかったな、おれは10年前から今も何も変わらないぜ」。



tom_eastwind at 21:07│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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