2013年10月07日

徒歩暴走族? 老走族?

東京にて。

 

ホテルの和食屋でお昼ごはんを食べてたら、隣の大きなテーブルに8人くらいの団体がやって来た。定年後のお年寄りであるが、まあ傍若無人というか礼儀知らずというか。身なりはまともなのでそれなりに安定した退職後生活を楽しんでいるのだろうが、まあとにかく威張り散らしている。

 

曰く「ねえxxちゃんさ、あたしが頼んだメニュー、ちゃんと分かってるわよね!」と支配人を呼びつけにする。でもって和服をきちんと身に纏ったウエイトレスが「お客様、本日の食材はこのようになっておりますが、どなたかアレルギーなど問題はございませんでしょうか?」と確認すると、これまたそのおばさんが「あなたねー、何言ってんのよ、そんなのちゃんと予め伝えてるでしょ!ちょっと支配人呼んで!」である。

 

この時にすんごい肌で実感したのだが、これからの日本、傍若無人な老人暴走族(老走族)が増えて顧客対応クレーム対応ビジネスってのが成立するぞって事。

 

というのが、彼ら団塊世代は同級生同士の学業競争から始まり安保で暴れた挙句に世知に長けた自民党政権に完敗、結局学生時代の事を忘れて自分の青い信念を捨てて体制側の住人となった。

 

だったら最初から安保なんかすんな。やるなら他人の尻馬に乗らずに自分一人で徹底的に社会改造の為に戦えっつーの。その為には毛沢東がどう戦ったか、レーニンがどれだけ命がけで戦ったかを考えろと思うのだが、現実的には一人で戦っていくのは難しかっただろう。だから現実に合わせて長い髪を切ったのだ。

 

日本の安保は共産党革命に比較すればまるで爆竹で遊ぶ子供レベルだった。所詮は木材とか鉄パイプとか振り回して終わりだ。やるなら自衛隊一部幹部と組んで自民党議員が自宅にいる間にNHKと国会議事堂襲って横田空軍基地の米軍が来る前に新政府樹立宣言あげろっつーの。

 

あ、そう言えばぼくは10年くらい前にはそういう日本改革を考えていた事もある。ただ当時の日本でそんな事やっても誰もついて来ないな、それよりはニュージーランドにぼくと同じような価値観を持つ日本人が集まってくれたほうが良いと思い、5万人移住計画を思いついた次第である。

 

彼ら安保世代は頭が良い。なので会社内でもどんどん業績を上げていくが常に出世競争に晒されており自分の本音や不満をぶつける先がなかった。だって社内で公に逆らったらそれ以上の出世はないのだから。

 

ところがこれで円満退職、国の年金と企業年金と医療保険で生活は守られている、こうなると怖いものなしだ。だって目の上のたんこぶである社長はもういないし政府から金もらうにしても堂々ともらえる。政府が金払わない?そうなったら第二の安保である、言いたい放題やりたい放題、丁度反原発デモと同様で騒ぎまくる、自分勝手で無責任な理屈ばかり並べて。

 

そう言えば反原発デモの際にも何か元社会党崩れのようなプロがあちこちで写真に撮られていたが、まさにあのような「黄昏老走族」がこれから先自分だけの勝手な理屈で世の中をかき回すのだろうと思うと、やはり日本で仕事をするのは大変だぞって感じる。

 

そこで思いついたのが黄昏対策ビジネスである。つまりこのような安保崩れに対して、まずは「お客様、本当に素晴らしいご指摘、有難うございますー」と手なづけて黙らせる、または同世代のまともな常識を持った人々に正論を語らせて「お前!同世代としてお前らに告ぐ、恥を知れ!」と言わせるか。そういうのを企業から請け負って処理する仕事だ。

 

今やコールセンターはクレーム処理の現場として大変な騒ぎになっているが、これは今後ますます拡大していくだろう。何せ今のクレームは仕事でストレスの溜まった現役ビジネスマンあたりからのクレームが一番うざいのだが、今後は世間で40年も仕事をしてきた老連が相手である、クレームの仕方も半端ではない。

 

彼らは最初は丁寧にまるで部下に教え聞かすように優しく話しかけるのだが、そのうち自分の言い分が通らないとわかると突如態度を変えて部下の恫喝に出る。このあたりの見計らいのうまさは、そりゃあんた日本の戦後の復興とその後の急成長を支えてきた安保崩れなんだから半端じゃない、生半可な30代のビジネスマンが喧嘩しても勝てるものではない。

 

世の中で一番怖いのは捨てるものがない人々である。「金も要らず勲章も要らず名誉も要らない、そんな人間が一番始末に負えない」とはことわざであるが、彼ら黄昏老走族は金もあり社会歴もありそれなりに名誉もあるが、どれも誰かが剥奪をすることが出来ないものばかりである。だって年金減らすとか言ったら選挙で落とされるんだもん。

 

だって政府や企業の払う年金は当然に受け取る権利であり頭下げる必要がない。社会歴だって実際に勤めて来たんだから詐欺じゃない。実際にこの世の中で納税もして一定の社会貢献もしたのだから恥ずかしい事は何一つ無い。

 

だから冒頭に書いたが、こういう黄昏老走族を対処するビジネスが成立するのだ。

 

僕は仕事柄様々な職業の方を見てきたが、幸運にもこの仕事を通じて本当に頭の下がる人をたくさん知る事が出来た。「実るほど頭の垂れる稲穂かな」の見本のような人々である。

 

常に笑顔でジョークを絶やさず、年令に関係なく若い人と付き合い、しかしきちんと頭の中の論理は明晰であり何かおかしいと思えば遠慮なく堂々と聞いてくる、そして納得すれば「あ、そうですね、有難うございます、またひとつこのバカな頭に知恵が増えました」ときちんと学ぼうとする姿勢がある人々は、見ていて本当にすがすがしい。まさにこちらこそ頭の下がる思いである。

 

しかし残念ながら「世に最も多きは人なり、最も少きものも人なり」のことわざ通り、実り頭を垂れる人のあまりに少ないことか。

 

東京にて、これからの日本の新しいビジネスネタを考えると共に、徒歩暴走族について考えた次第だ。



tom_eastwind at 14:08│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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