2013年11月04日

消費税・NSC・情報保護法〜2015年問題最後のくくり〜


今週の日経ビジネスは消費税増税のお話。一般的家庭(4人家族)の負担が平均的に増える、特に例えば年収550万円以上600万円未満の家庭では消費税が3%増えて8%になれば年間で支払う額が今までより72,908円増加する。


「これに対して年収1千万円以上1250万円未満の場合は114,118円で支払額は増えるものの年収に対する税負担の割合が高くなる「逆進性」がある」とのこと。


これが2015年に10%になれば更に税額負担がきつくなるわけであり、一般国民は人口の5%以下にしか過ぎない一握りの資産家を政府が相続税増税で叩くのを見てやんややんやと言ってるが、それだって資産家は資産を売却すれば払える。


しかし一般市民は資産がない状態で給与から確実に税金が取られて挙句に何かを買う時はまたも8%の税金を取られて、結果的に子供に文化的生活を提供出来るのかって話である。


有名な小話がある。独裁者が一部の人々に課税をしたら自分に関係ない人たちは「そうだそうだ!もっとやれ!あいつらしょせんー!」とか言ってた。ところがそうやって一部の小さな層を一つづつ潰しながら独裁者が自分の地域に来て税金を払えと言うと「何でだ!不公平じゃないか!おれは今までもちゃんと税金払ってきた、おい周りのみんな、そう思わないか!」と訴えた。それは最初の一部の人々の訴えと全く同じであった。


ぼくが以前から何度も指摘している通り、政府にとって最も都合が良いのが分断統治である。民衆同士を憎み合わせ彼らが実は同士であることを忘れさせて戦わせた挙句に政府がやってきて一つ一つを潰していくのである。


今の日本政府がやろうとしていることは今の中国政府がやろうとしている事と全く同様である。中央政府ではNSC法案や情報保護法が議題に乗っかっているが、あれこそ確実な時限爆弾だ。法令が施行されれば誰がいつどのような理由で監視されるか分からず情報公開もされないままある日誰かが突然連行されても新聞記事にもならない。


現実今の中国では習近平体制になって政治的逮捕者が数倍になっているが殆どニュースにならない。日本の大学で教鞭を取っていた中国人知日教授が上海に里帰りした際に逮捕されたのもつい数カ月前の話である。


このような逮捕など日本ではあり得ないと思うだろう。ところが今回通りそうな法案は、まさにあり得ないような逮捕を合法にするための法律である。


いつの時代もどこの社会でも政府のやることは同じだ。自分たちの家族治世(北朝鮮の金ちゃんとこと同じですな)を長期化させるためには国民を分断し情報を遮断し自分で判断する能力を無くさせ国民を分断する。こうする事で人数的には圧倒的に少ない警察や公安や官僚が自分たちの闇の力を保全するのだ。


こんな事は世界で初めてではなく今までも何千年も起こってきた事でありこれから何千年後、世界が滅びるまで続く人間の性である。人は権力にしがみつく限り人と権力は腐る。しがみつくのが長くなればなるほど人と権力は腐るのだ。


だからこそ政治は風通しを良くしておく必要がある。常に議員を入れ替えて官僚と民間の交流を行い二代目政治家など作らず政治家は常に民衆から代弁者として選ばれ官僚は政策立案のプロとして提案するが政策決定に参加せず政治家は官僚の人事に一切口を出さない。


こうすることで綺麗な政治が出来て民主主義が作られる。幸運な事にニュージーランドは北欧と同様な国家サイズでありちっちゃな民主国家が出来上がっている。しかしそれは絶え間ない国民の「教育」と「主体的に選挙などを通じて政治に参加する努力」の上に成立している。


政治に参加しない国民が民主主義??は、まさに笑い話である。日本の選挙の投票率は何%か?理由はどうであれ民主主義は日本には合わないのだ。やる気のない愚民が政治家と官僚に勝手にやらせて自分の手抜きを棚に上げてみのもんたに代弁させてテレビの前でゲタゲタ笑ってるだけの「民衆国家」であり決して「民主国家」ではないのだ。


日経ビジネスの編集部の言葉が面白かった。電子商取引が消費税の対象にならない事を理由にこれから増えていくだろうと予測した後に

「水が高いところから低いところに流れるのと同じように、お金にも税率の高いところから低いところに集まる性質があるようです」と書いてた。


そう。世の中の自然の摂理に従わず税の高い場所に金を留めようとしたり税の安い場所に移住しようとする国民を止めるのは理不尽なのである。そんなイタチごっこやれば、最終的に能動的に動く日本人は日本旅券を捨てて外国国籍を取得するよ。


そうなったら日本政府は完璧に課税根拠を失い、国家内に残った人々は起業知力も労働力もなく政府にすがるだけの食税者になってしまうのだ。そんな事を想像出来ない官僚たちの頭の固さは、実は自分が次官の時の2年だけ穏便に過ごせれば良いと思ってるのだろう。


20年くらい後になって日本が落ちぶれてどっかの外国メディアのインタビューに「いや、こうなるのは2015年の税制大綱で分かってたのさ、けどあの時は政府も含めた周囲がそれを想像することも理解することも出来なくてね、僕は分かっていたさ、けど結局ぼく一人がどんなに頑張っても状況は変わらなかったんだよ、ぼくは分かっていたんだけどねー」って言うんだろうな。


確かに日本は強い国である。まさに神に恵まれた国である、政府と官僚が邪魔しなければ、民間に自由にやらせれば起立ある行動と共に成長戦略を描くことが出来る。今の日本で一番ネックになっているのは、実は官僚である。


しかし、そういう事を一般人は誰も認識せずに危機感も持たずに家に帰れば白痴芸人のお笑いを見て朝の満員電車では女性に痴漢を働きニヤニヤ笑い、会社に行けば薄っぺらい仕事を更に引き伸ばして意味もない資料を作って働いた気になり夕方になれば「おお、今週は子供の顔を見てないぜー、さって残業だー!」と仲間内で格好付けるだけの毎日。


「天下最も多きは人なり、最も少なきも人なり」という日本のことわざがある。これは中国では「人は高きに流れ水は低きに流れる」という。


「あなたが人であろう、家族の親であろうとする時どう行動するかはあなたが人であるかどうかの境目だと思ってもらいたい。悩むことも失敗することもあるだろう、しかし決定的な瞬間に判断を間違えば、それはあなたが人間の条件を失った事になるのだ」

五味川純平「人間の条件」より。


・・・明日からはもちっと明るい話題でいきたいと思います。



tom_eastwind at 19:52│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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