2013年11月10日

法外風雲

今日から日本出張だ。最初の目的地は香港。10年の付き合いがある弁護士が香港の弁護士事務所に移って今後は香港と日本とニュージーランドを結びつけるビジネスが拡大出来る機会なので、夜の1030分とオークランドではあり得ない時間帯にホテルのバーでミーティングをする。

 

そう、僕の住んでる業界では一番遅いミーティングでも16:00がせいぜいでありそれ以降の時間帯にアポイントを入れるのは余程緊急時しかない。僕自身仕事は15:00で終わりなのでアポイントは14:00が最終だ。

 

だからだろう、香港から来たメールで彼が「おい、次はいつ香港だよ?会おうぜ」ってメールが来た時に「いやさ、香港に着くのが夜の9時で翌朝8時にはホテルを出るから会うのは夜の1030分しかないぜ、ちょっと非常識な時間だよね」と思いつつ、けどこいつ香港生まれの香港人だし今は香港にいるんだから、よっしゃちょっと聞いてみようと思って「あのさ、夜の1030分なんだけど大丈夫?」ってメールしたら即答で「無問題!」。

 

さすが香港人だな、やっぱり蛙の子は蛙とでも言うかな、何かオークランドにいる時と顔つきさえ違っている。

 

「どうだい香港は?」って聞くとすかさずに「ゼロの数が二桁違うね」と返事。そうなんだよねー、これがキーウィには理解できなっくて僕も仕事をしてて一番困る部分だが、北半球、特に東京とか香港とかシンガポールでは回ってるお金の桁が二桁違う。

 

その現実を知らないままにキーウィ常識でどうこう言ってくるから疲れる。目の見えない人に色を説明するようなもので、こればっかりはどうしようもない。

 

でもって今はまって見てる「法外風雲」って香港のテレビ番組は香港の相続弁護士たちの法廷物語である。相続税がない香港であるものの、様々な法定相続の権利関係者が出てきて自分の権利を主張する。その内容はほんとに面白くて、まるで日本の相続と全然変わらんじゃんかって感じ。

 

違うのは扱っている桁だけだ。香港の場合は日本のようなサラリーマン社長は少なく殆どがオーナー企業であり相続ともなれば莫大な金が動く。相続税はないけど隠し子とか海外資産とか出てきて本家の子供でも様々な権利を要求して大喧嘩である。

 

裸一貫で死ぬほど頑張って財産を作ったオヤジが亡くなると同時に馬鹿息子が自分の遺留分を主張するが遺言書により馬鹿息子がきちんと企画を作り成功させなければ遺留分を受け取れない仕組みを父親が予め作っておいた。父親は自分の息子の馬鹿さ加減を分かっており、だからこそ相続の際の条件としたのだ。

 

他には例えば相続対象となった北京ダックが有名なレストランの権利をめぐり、ダックの味付けを巡って裁判で二つの北京ダックの食べ比べをしながら「ほら、こっちの方が脂が乗ってる」とか弁護士同士が論戦するのがいかにも食在香港らしい。

 

香港は丁度東京のような感じであり、一つ一つの街がきちんと独立していながらいつでもとなり町に行けるだけの交通機関が発達している。ホテルに着いて彼に電話したら「あ、今は北角にいるよ、30分でそっちに行くからね」ってごく普通の会話。東京で言えば「今世田谷で恵比寿なら電車で30分」という感覚だ。

 

今後彼とのビジネスの中心に来るのは海外相続である。日本では相続税がかかるが香港もニュージーランドも相続税はない。ならば資産を香港やニュージーランドに移せば良い。しかし答はそう簡単ではなく、今年の税制大綱で「お前が日本国籍持ってて現在日本の居住者なら海外資産も課税!」ってルールになったからだ。

 

去年までは資産を海外に移すだけで対応出来たが今はもうダメ。けどそこは方法がある。非常に単純であるが手続きさえきちっとしていれば対応出来る。まさに「法外」な方法であるがこれが合法なのだ。今年と来年は海外移住ビジネスでいく。2015年以降のビジネスモデルもすでに完成している。後は実行あるのみだ。

 

勿論日本政府も協力な課税手段を次々と出してくるだろう。ここから先は時間との勝負である。日本では相続税が増税になるのも2015年であるが、東京都内に住居を持つ人はこれから頭が痛くなるだろう。しかし頭を抱えているだけでは問題は去っていってくれない。



tom_eastwind at 13:15│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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