2013年11月16日

移住説明会無事終了

今日で今年最後の説明会終了。もう69回もやってるんだなーって実感する。最初の頃は貸し会議室で大人数を集めてやってたが、ここ7年くらいはずっとウエスティンホテルの17階ラウンジにある小会議室を利用している。ここの方が少人数で気持ちが集中出来てよい。

 

まずは2時間立ちっぱなしで話してその後も個人面談を3件やるので結局5時間喋りっぱなしだ。

 

毎月こんな事やってるわけで、今回は香港、福岡、久留米、沖縄を回ってからなので長距離を短距離の速度で走っているようなものだ。だから仕事が終わった夜はふくれた足を引きずってゼーゼー言ってアルコール消毒している(苦笑)。

 

僕の仕事は旅行屋だ。これは説明会の最初にご案内しているが、旅行屋とは移住という長い旅をするお客様の添乗員である。常にお客様の側に立ちお客様の利益のために行動してお客様から費用を頂く。

 

従って常に最新で正確な情報を中立的な立場で提供して更に選択肢がいくつあるかを提案して最終的にどうするかはお客様に決定して頂く。不動産屋とか銀行が自社の商品を売るために無料で説明会やってるのとは全く違った世界である。

 

今日の説明会では少しニュージーランドの政治の仕組みをお話した。

 

この国は政治のクリーン度が世界一である。日本は先進国にしては相当下だ。付け届け文化があるのだから仕方ないと言うべきか?しかしながら二世政治家が存在するってのは日本にとって良いことなのか?

 

ニュージーランドの大きな特徴は二世政治家もいなければ地盤看板もないという点だ。政治家は基本的に素人である。政治家は民間でバリバリ働いるビジネスマンとか弁護士とか小学校の先生とか田舎の牛飼いとか、とにかく政治に全く関係ない「普通の人々」が決められた一定期間だけ貴族の義務として政治に携わる。

 

彼らは国民の代表として政治家になり行政のプロである官僚組織から一つの社会政策、例えばオークランドの交通網整備についていくつかの提案をもらい、それを国民に伝えて意見を聞き、最終的に政治家として判断する。

 

官僚はあくまでプロとして提案をするだけであり日本のように官僚が政治を支配することはない。官僚でも局長級はすべて民間から募集しておりその年収は約4千万円である。これはNZ国内だけではなく米国や英国からも募集が来て採用され5年ほど働いたらまた民間に戻る。つまり官僚と民間が普通に交流しているのだ。

 

日本の場合官民交流がないと問題になっているが、NZのように官民交流が当然の国では政治が利権になることがない。天下りもなければ渡りもなく、官僚は任期中に高い給料をもらい政治家に提案をするが、政治家が官僚の人事権を持つことはなく官僚が政治家に何か働きかけることもない。お互いに与えられた仕事を淡々とこなすだけである。

 

つまり、政治と行政と民間が見事に分立しておりお互いが干渉しない仕組みがあるから政治に利権が発生せず従ってクリーン度が世界一となるのだ。

 

これはもう国家の仕組みの問題である。日本も政治の構造改革って言うが、仕組みそのものを根本から訂正しなければちっちゃいところをどういじっても何も変わらない。それだけに大仕事であるが、ただ僕は日本の文化的構造から考えてほんとうの意味の民主主義を日本に導入するのは無理ではないかと考えている。

 

それは結局突き詰めて考えれば日本国民が持つ性質に行き着く。村社会があり村長がいて誰が何を決めてるかよく分からず結局誰もが責任を取らず何となく時代が過ぎていく。そんなところで正論や民主主義など語っても、表面的にはそうだよねそうだよねと言いながら実際には全く浮いている存在にしかならず、いずれ煙たがれる。適当に妥協する人間でなければ村八分になるのだ。

 

ぼくは日本という社会は大好きだが、どうしてもこの理屈の存在しない空気に支配された世の中で生きるのは辛い。観光客としてこの国に住み日本語で会話できるのを楽しむのが関の山だ。

 

この点ぼくにはニュージーランドは住みやすい。少なくとも理屈が通用するからだ。それにしても英国人ってさすがに素晴らしい民主主義を持ってるなー、さすがに権利の請願からクロムウェルの時代まで国民が自治と自由と法のために戦って来た政治一流国家である、そしてニュージーランドはそのまま血統を引き継ぎ更にミルやルソーで社会思想を深めた貴族が労働者の為の国家を作り上げた。

 

だからニュージーランドってのは実は1890年代に世界で最初に社会主義を作り上げた国家でもある。これってロシアとか中国とかの革命よりもずっと早い時期なのだ。全ての国民に機会と結果の平等を提供する仕組みはニュージーランドが世界で最初に作り上げた。

 

そんな話をしつつけれどニュージーランドは1984年に市場主義に大変換して社会主義は何の革命もなく平和的に資本主義に移動した。しかし法律的な制度は社会主義がベースであり続け、これは今も同様である。だからこそ治安も安定している。人々も余裕があって他人に優しくなれる。。

 

今年の説明会はこれで終わり。



tom_eastwind at 15:18│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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