2013年11月22日

ブルーオーシャン戦略

僕の主な仕事はまず世の中全体の流れを俯瞰して自社の10年単位の戦略を作り毎年1年ごとの戦術としてのマーケティング、そしてそれをベースにしたビジネス・モデルの構築と検証をしつつ、戦闘としてを具体的に紙ベースのビジネス・モデルに書き込み誰にでも分かるようにプレゼン出来るまで落としこむ事だ。

 

僕の性格なのだろうが、僕は先を読みすぎるくせがある。本来ならマーケティングは半歩先でないといけないのに僕はいつも一歩先になってしまい、だから僕がリキ入れて作ったビジネス・モデルって大体最初の1年は相手にされない。あれ?外したー?とか思ってるといつも1年目過ぎる頃から急に成長する。

 

昔、携帯電話レンタルをやってた時代の話である。当時ニュージーランドではプリペイドがなく後払い契約式ケータイ電話を買えなかった20世紀の終わり、多くのワーホリは「ケータイなんて不要だしー」と言ってたが、いつも旅をして定住してない彼らは仕事を得るにも連絡を取るにも固定電話が使えなくて困る自分の潜在需要を知らずにいた。

 

この潜在市場を見つけた時にぼくがやったのが(もう10数年前であるが)テレコムとボーダフォンという競争している2社を競争させつつそれぞれ最低通話料と2年契約で本体無料通話料後払いの契約を引っ張ってきて携帯電話を貸し出ししたモデルだ。

 

これが当たった。ワーホリからすれば無料で自分のケータイ番号を持てる。お金はクレジットカードで払えば良い。電話会社からすれば信用のないワーホリには貸せないが間に日本の会社(当社)が支払保証をしているので取り漏れがない。間に入った当社はタダでケータイを電話会社から仕入れてそれを無料でワーホリに貸しだして通話料で利益を出すビジネス・モデルが出来た。

 

当時は仲間に通話料ソフトを作ってもらい課金システムをほぼ自動化したので最低人数の担当者で当時のワーホリの独占市場になった。

 

そしてワーホリ市場に輪をかけて伸びたレンタル電話の市場が修学旅行市場とイベント市場である。彼らは異国で連絡を取り合うのに無線機が使えないものだからケータイ電話を借りてくれた。圧巻だったのは1999年にAPECが開催されて小渕元首相がオークランドに来られた時に、警備にあたる人々と更にその外周にいる人々(具体名は今も書けない)が一人2台づつ借りてAPECの前後と開催中に相当量使ってくれた事だ。

 

けど電話技術と課金システムの発達を観ていた僕は「あ、これから大波が来るぞ。うちは勝てるか?いや、企業規模で無理だ、物量作戦で来られたら負ける、なら負ける前に契約期間満了の携帯電話をどんどん返却してしてまえ」と考えた。

 

2年経過した電話はどんどん返却して一時期は新しく出回ったプリペイドを売ったりしつつ終了しつつある市場を静かに沈下させて無事に切り抜けた。

 

どんなビジネスにも生まれる前のひらめきと勃興期と安定期と減少期と終わりがある。この波さえ理解出来ればどんなちっちゃな会社でも戦える。最初はニッチの市場に大手は手を出さない。しかし市場サイズを理解して大手が市場参入してくれば中小は資金力で絶対に勝たない。

 

だから中小の生き残る道は常に大手の戦うレッドオーシャンに参入することではなく、常にニッチ市場で戦いつつ体力を付けて独自技術を持ち次第に大手が手を出せない市場を創り上げることだ。これが戦略である。相手を潰すことは今は出来ない、けれど少なくとも相手に潰されないだけの市場を自分が確保する。

 

日本人は戦略って言葉を連発するが、その意味するところは殆どが精神論の特攻論でしかない。そんなものは戦略とは言わないし戦略は毎日変化するものではない。毎日変化するもの、それは戦闘と呼ぶ。状況を見てすぐに撤退する能力、これこそが経営者に求められる判断だ。

 

戦略とは戦闘のように日々変化するものではない。戦略という言葉の意味は如何に無駄な戦を略するかである。無駄な戦を略することではじめて有効な戦いが展開出来る。

 

オークランドで17年間ビジネスをしている間に多くの日本人が独立してはビギナーズ・ラックで成功して調子に乗って威張り始めてそのうち失敗するが、結局撤退の判断が出来ずに潰れていったケースを山ほど見てきた。今現在もそのような会社をたくさん見ている。生き残るとはそれほどに大変な作業である。

 

今オークランドで頑張っている日本人の皆さんには、是非とも自分の戦略を持って欲しい、そして必ず10年の時間軸でいまの自分が何をすべきなのか、中国の古い本を読んで学んで欲しいと思う。



tom_eastwind at 16:54│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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