2013年11月25日

法外風雲 その2

香港のテレビ番組はとにかく速度が早い。一つのシリーズが週一ではなく毎晩やってるので30回番組でも約2ヶ月で終了する。

 

香港を舞台として繰り広げられる法廷物語だけど、香港サイズだからまさに「法外」な話ばかりだ。メインテーマは弁護士家族と大富豪家族の確執や若く良心のある弁護士たちの友情だったりするが、これが実に人の気持ちを豊かに描いて更に俳優たちがしっかり演技しており、このあたりの脚本は生半可な日本のドラマでは滅多に見られないほど面白い。

 

香港は1980年代後半に人口の約10%にあたる60万人が海外移住した。この移住者家族は香港の中間管理職層が大半であり英国、米国、カナダ、オーストラリアなどに移住して移住先の国で子どもたちは成長して殆どがバイリンガルになった。中には3ヶ国語を読み書き出来る若者も多い。

 

そして最近見かける中国共産党の師弟たちのようなバカがいない。親がしっかりとその能力で仕事をしてきて子どもたちにきちんとした教育を与えたからだ。

 

彼ら若者は移住した先の大学を卒業して様々な職種で働きつつ、そのうち世界各地の中国人ビューティ・コンテストなどが開催されそのうち何割かの若者は香港に戻り俳優として出演するようになった。

 

彼らは香港人でありつつ育った地の独特の雰囲気を持つことで今までの俳優とは一味違う演技をまとうようになり、ここにバイリンガル俳優が香港映画やテレビ界で大活躍するようになった。

 

このドラマで出てくる若い弁護士たちは英国の優秀な大学で法律を学び英国と香港の弁護士資格を取り国際的な仕事に取り組む。そのうちの一つが大富豪の相続である。

 

話は非常に複雑に絡み合っているのでここでは省略するが、とにかく法廷の駆け引きを見ているだけで興味深い。両方の弁護士の論理の構成や香港生まれの老練な弁護士の非常なまでの策略、英国で法律を学び英国のルールで戦う少壮弁護士たちの良心と駆け引き。

 

勿論現実にはすべての若い弁護士に良心があるわけでもないだろうしすべての香港生まれの老練な弁護士が非常なまでの策略をかけることもない。

 

しかし少なくとも香港の裁判官が裁判の最中にまるで一部の日本の裁判官のように昼寝をするような事もない。ついでに言うと一部のニュージーランドの裁判官のように全く法廷でのやり取りを聞かず勝手に自分の心象だけで違法な判決を下すことはない。この違法な判決、ぼくが自分で体験した事なのでよく覚えているが、こいつ本当に法律知ってるのか?って本気で思った。

 

話を戻すと香港では効率が要求される。賢さが要求される。更に法廷での戦闘能力、つまりいかに頭を柔らかく様々な視点から同時に見つめてどのように事実を作り上げていくかが要求される。

 

事実を作り上げるとは、世の中にはたったひとつの事実なんて存在しないからだ。事実は見てる人の数だけある。このことを一番よく知っているのが弁護士である。だから弁護士は法廷で戦う方法を考えることが出来るのだ。事実がひとつしかなければ弁護士なんて不要だ。

 

日本でもたくさんの冤罪が発生している。政府によって決まった事が国策捜査として無罪の人間を有罪にしている。法律には様々な解釈があるのだ。大事なのは自分がいかにたくさんの選択肢を持てるかである。

 

そして一番大事なのは細部にこだわり徹底的に考えぬくことだ。ルービックキューブのように一面だけクリアーしても相手は反対側を見ている。蟻の一穴という言葉があるが、多くの人は自分の面だけを見て行動するが、相手は反対側のほんのちょっとした蟻の一穴から切り崩してこちらの理論構成のすべてをぶっ壊してしまう。

 

理論構成をする時はまず思い切った発想が出来ないとダメだ。最初の絵を描く時に今の時代の今の国の発想だけでは絶対に大きな絵はかけない。歴史の中の同じような状況を探りその時代その場所の人々はどのように考えていたかを探し出す。

 

次にこれは該当国、だから僕の場合では言えば中心となるのはニュージーランドと日本、そして時々香港とシンガポールで弁護士や会計士と会議を持ち僕の描いた絵を見せて現時点での関係各国の法令や税務面での問題がないかを徹底的に調べる。

 

この際のアラ探し、てか穴探しも非常に重要だ。会議の最中に会計士が何気なく放った一つの法律解釈がそれまでのプランすべてを壊してしまうこともある。こうなると誰もがその穴に気づかないうちに素知らぬふりをしてささっと修復してしまい何もなかったふりをするのだけど、あーいう時は本当にひやっとする。

 

法外風雲もまさにそのような法廷内での言論戦や法廷外での駆け引きや、とにかく丁々発止の内容でありある一瞬の言葉を聞き逃したら見てるこっちが意味不明になったり脚本家に出し抜かれてしまう。

 

週末に様々なプランを練りながら夕食の時間に家族でこの番組を観ていたが、ぼくより数倍賢くて目先の利く奥さんでさえ、てかドラマはずっと広東語でやっているのに時々見逃す事がある。

 

ドラマの中には現実には勿論あり得ない演出も出てくるが、それはご愛嬌(笑)。特に最終回の一番最後の場面などはまさにコメディですか(笑)?って感じだが、それでもとにかく楽しませてくれた番組でした。

 

香港のテレビドラマの良い点は泣き笑いのポイントが日本人と非常によく似ているって点だ。その点ニュージーランドや英国のテレビ番組はちょっと笑いのポイントがずれることがある。

 

香港の映画も質が高くて面白いのが増えたが、テレビ番組も十分楽しい。オークランドなら英語字幕の番組もあるのではないかな、興味のある方是非とも御覧ください、楽しめますよ(にこ)。



tom_eastwind at 20:40│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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