2013年12月04日

移住に成功???

 

時々こんなセリフを見かける。とくにそれがどっかの国の不動産を売りたい連中が移住を餌にして「xxさんが移住に成功されましたー!」なんてやってるが、こういうの見るとドシロウトってすぐ分かる。

 

何故なら移住そのものには成功も失敗も無いからだ。移住とは幸せになる手段でありそれも移住した時の一瞬ではなくその後の現地での生活が経済的にも家族としても幸せを維持できたかどうかがポイントである。

 

そして人は死ぬその日を迎えて「まあ、俺の人生悪くなかったかも」と思うことが出来て初めて幸せであり、その時点であえて言えば「移住に成功した」といえるのだ。けどそれは人生に成功したってことと同じくらい重いことである。

 

最近の釣り広告はほんとにあからさまにバカを対象にしてるなとしか思えないのだが、上記の件もビザを取得することが移住に成功と勘違いしている釣りだ。

 

順番から言えば、まず移住をするために必要な手段としてのビザが存在して、次に移住をするのは幸せになるための手段として存在して、最終目標は幸せになることなのだ。この順番が分からない人が良い部分ばかり見て移住するから1年も経つと「ぼく、もう帰りたい〜」なんて話になる。

 

最近はシンガポールやフィリピン、タイあたりに移住した人たちが「日本に帰りたいー」って言ってるそうだが、そりゃそうだろう。元々が「夢見隊」なんだから現実の生活を知れば「ええ?話、違うじゃん」となる。

 

ところが親戚やご近所に見栄を張って出てきたから今更のこのこと戻るのもみっともない。だから「どーしよ?」って話になるのだ。

 

とくに酷いのが中年のおっさんが日本のフィリピンパブで働く可愛いフィリピン女性にのぼせた挙句に甘い言葉に乗せられて移住してみると、そこには女性の家族親戚が山ほどいて様々な理由をつけてカネを無心される。

 

それを無視すると今まで可愛かったフィリピン女性が態度を豹変させ泣き喚き「あなたは私をもう愛してないのね!」となる。さあ大変だ、こうなれば底なし沼の蟻地獄であり、もがけばもがくほど深く沈んでしまい、気がついた時には一文無しで地元の教会に寝泊まりをして施しで飯を食う始末になる。

 

これは最近起こった長野県の年金運用で失敗してタイに逃亡して女に貢いだ挙句にすっからかんになった男も同様である。可哀想だが自業自得だ。彼の場合最後は日本の警察が国費で日本に戻してくれて三食昼寝付きの護衛付き宿舎を与えられたのだから、本当にほっとしているだろう。

 

話は逸れるが香港では刑務所の飯の事を皇家飯と呼ぶ。陛下に与えられた食事って意味である。

 

ぼくは説明会を少人数で開催している。何故ならこちらの気持ちが集中出来て直接参加者に語ることが出来るからだ。一人ひとりに「移住って良いとこもあるけどわるいとこもあります。特に日本のような超先進国から来た人にとっては耐えられない事も多いです」と説明をするときは、大人数では伝わらないからだ。

 

そう、ぼくは移住の話をするときには必ず悪い部分を説明する。良いとこばかり説明するのは目先の手数料しか考えてないシロウト営業マンだ。移住とは最低でも10年以上そのお客様と同じ国同じ街で生活を共にするわけでありそんなときに口先営業なんて出来るわけがない。

 

もっと言えば営業という言葉さえおかしい。移住とは人生そのものを決めることであり、それを他人の家のドアをノックして「こんちわー、移住しませんかー?」などと出来るものではない。テレビや冷蔵庫やリフォームではないのだ。「お宅白蟻いますよー」なんて話ではないのだ。

 

だからうちの会社には営業担当は誰もいない。ほぼ全員が移住カウンセラーで、問い合わせがあれば初めてビザや生活の構築の話を説明するだけであり、また移住後の生活サポート担当者であるが、移住に興味のない人間にメールを送りつける事などない。

 

ニュージーランドでもせっかく移住してきたのに、数年して日本に帰る人がいる。それは年齢的に親の介護が必要となる40代の方は仕方ないだろう。けれどそれが夢見る夢子ちゃんが白人のハーフの子供が欲しいからってやってきてほんとに作ってしまって挙句の果てに旦那のDVで耐え切れなくて日本に帰るとかの例である。

 

言葉はきついが、ワーホリでニュージーランドにやって来て白人を探しても、彼女らが白人と知り合える場所などバーとかクラブとか、本当に限られている。そしてそういう場所に集まるのは大体失業中でバツイチでアジア人好きで白人エリート女性に相手にされない連中だけである。

 

キーウィは働かないって言われるが、全然そんな事はない。僕自身が経験で知っているが、シティの中心部で働く連中は若くてもほんとによく働く。ただ時間内に片付けるためにすごく忙しくて飲みに出る時間がなくておまけに家庭がしっかりしてて定時に自宅に帰るからワーホリの女の子とバーやクラブで出会う機会がないだけだ。

 

つまりキーウィが働かないと思ってる人は、働かないキーウィとしか会う機会がないからそう思うだけだ。まともに昼間シティのオフィスでガンガン働いているエリートビジネスマンはそういう場所にはまず行かないし、行くときもすでにキーウィの彼女と行くのでアジア人の目に触れることもない。

 

移住を考えている方には是非とも理解してもらいたい、移住とは新しい長い旅の一歩を踏み出すだけであり移住とは今まで歩いてて道から他の道に移ることであり、それ自体は何の幸せも生まないって事を。

 

本当に大事なのは自分のライフスタイルとその国のライフスタイルが一致しててその国で生活をすれば幸せになれるって確証を持てるかどうかだ。

 

ぼくはこの仕事を手がけて10年を越したが、今までに約300組の家族の移住をお手伝いしてきた。浅く関わった件もあれば思いっきりどっぷりと漬かった件もある。どっぷりの件はどれも今でも思い出すくらい強烈である。

 

移住を目的としてやって来てハシゴを外されて真っ青な顔で当社に飛び込んでこられたご家族、移住してきたのは良いが現地で思わぬ事故に遭遇した方、ほんとに様々であるが、人生かかってるなーって本当に思う。

 

こんな仕事をやってるのだ、こっちから移住なんて勧められるものではない。だからこそ営業ゼロ、逆にこちらがお客様を見て「この方とは長いお付き合いが出来るかどうか」を見極めた上でお付き合いを開始する。

 

今日のオークランドは雨。奥さんと娘は今日から日本だ。りょうまくんと僕だけ自宅に残って、お互いに顔を見合わせ「ヘイ!今日からほんとの休暇だぜ、うるせー連中はいなくなったぞ!」って笑ってる。

 

ぼくの移住もすでに25年たっているが、まだ道半ば、移住に成功したなんて言えない。りょうまくんが海軍に無事入れて安定するまでは戦いの連続だ。子供二人が無事就職して生活が安定して、お父さんお母さん、ニュージランドを選んでくれてありがとうってくらいになって初めて「まあ、人生悪くなかったかな」って思えるくらいだ。

 

移住が良かったか悪かったか。そんなもん、答は30年後ですよ。



tom_eastwind at 23:35│Comments(0)TrackBack(0)諸行無常のビジネス日誌 

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