2013年12月17日

大阪で生まれた女

BOROという男性歌手が80年代に歌った「大阪で生まれた女」は歌詞が18番までありまともに歌うと33分かかる。ショーケンが歌ったのは4番と6番を中心としているが全体を一度聴いてもらいたい。

 

「悲しい色やね」と「大阪で生まれた女」はどちらも同じ時期に作られて当時の大阪の若者に大人気だった。

 

江戸時代には江戸が消費地でしかなかったが大阪は商都としてビジネスが盛んに行われていた。戦前の大阪は東洋のマンチェスターと呼ばれてまさに栄華を極めた。繊維を中心として次々と海外輸出にも積極的に動き世界に向けて発展してきた。

 

しかし戦後はオリンピックや新幹線と続き、良く言えば東京の一極集中、悪く言えば東京が大阪の力を奪っていった。大阪に経済はあったが政治力がなかったのが一番の原因である。ある意味長い間のビジネスの成功に満足して中央政治をなめていたと言えるだろう。

 

東京は政治力を使って東京が一極集中するように様々な権限を東京に集めた。その結果としてビジネスをするなら東京の方が便利という事になり大阪の企業も東京本社を作るようになり、より政治に近い立場の社員の方が昇進するようになった。

 

関西発祥の商社でもビジネスを獲得する時には政治に近い方が有利であり、その結果として本社を東京に移し次第に大阪が支店となっていった。

 

新幹線が発達すると人々が次々と東京で仕事をするようになった。実は移動手段の発達によって地方の人々は都会から地方に人が向かうと思っていたら実際に起こったのはその正反対、地方の優秀な若者が都会に移動したのである。

 

こういう一箇所だけに人が集まるのをストロー効果というらしいが、例えば大分の田舎に仕事はなく戦後夜行フェリーの発達した瀬戸内海を使って夕方小倉を出て翌朝大阪に移住して仕事をするようになった。

 

そして大阪から東京の間に新幹線が走るようになると今度は大阪から東京に人が移動するようになった。つまり移動手段の発達とは田舎から都会に流れる道なのだ。九州でも高速道路が発達した事で今までは地方の百貨店で買い物をしていた消費者が福岡の三越に日帰りで買い物に行くようになった。

 

ある意味大阪から東京に人が移動したのは自然の流れである。その結果として起こったのは何だろうか?それはエース級の人材が東京に移動し大阪に残ったのはB級の人材になってしまい、B級が悪い意味で街の変化をさせないって方針になって結果的に街の発展を阻害したのだ。

 

これは何も大阪に特有の現象ではない。ニュージーランドでも1930年代は世界でもベスト3に入る幸せな国家であり、今では信じられないかもしれないがその当時は英国からニュージーランドに移住する人がたくさんいたのだ。

 

ところが戦前の繁栄にあぐらをかいたニュージーランドは政治と経済政策に失敗した。その時には逆に多くのキーウィが豪州や英国に移住した。その為ニュージーランドに残ったのはB級の、つまり海外移住を出来る能力とかやる気のない人々だけが残り政府に甘えて税金を食いつぶすだけの存在となり1980年にニュージーランド経済は崩壊した。

 

この危機的状況をデビッド・ロンギ労働党党首が首相となり経済自由化政策を取り入れて1994年にやっとプライマリーバランスを黒字に戻すことが出来た。今の首相はエース級のジョン・キーであるが、彼は若い頃から海外に出て金融界で活躍して1990年代にニュージーランドに戻って首相になった事で現在は景気が上昇している。

 

例えばデトロイトがある。自動車産業が発達したモータウン当時は米国でもトップクラスであった都市だが今では廃墟となりシティ内には貧困層だけが住み着いてしまった。

 

このように都市の変遷とは30年単位で動いていると考えるべきだ。今が発展しているからと言って手抜きをしていては次の30年で落ちぶれてしまうのだ。今が良いからって甘えて現状維持をしてしまえば、変化を嫌がる人々が増えれば自然と街は落ちぶれるのだ。

 

もちろん自分が生まれた街で成長して就職して結婚してしまえば他の街と比べることが出来ないから今の自分の街が沈んでいるかどうかなんて分からない。ゆでガエルの原理である。

 

そして今の大阪がまさにゆでガエルではないかと感じるのは、僕がいつも日本や他の国を定点調査しているからだ。大阪にはたしかにたくさんの人口がいるし人々は忙しくしている。けどその内容がずれているのだ。

 

今の日本を見ると本当にきちんと成長している街は、東京、名古屋、福岡、沖縄であろう。他の街は正直沈む方向に向かっているか、すでに沈んでいる。

 

何故東京がいつまでも成長しているか?それは日本で最も頭の良い連中が運営しているからだ。では名古屋は?質実剛健の文化があるからだ。

 

福岡は?ここは面白い。元々が商人の街であり江戸時代から明治にかけて九州の中心が熊本であったのが、政治力を使って少しづつ力を奪っていき九州の窓口となった。

 

沖縄は?これこそまさに政治力だ、米軍基地を利用して中央政府から金を巻き上げて琉球を発展させたのだから大したものである。

 

今回大阪に滞在して家族の眼からも大阪を見て「何かずれてない?」と感じるのであるから、何も僕だけの感想ではないと思う。ただ多くの人が認めなくないだけだろう。気持ちは分かるが現状を見て客観的に判断して政治として変化をしなければ、これから大阪はますます政治的に沈下をしていきそれが経済に影響を与え、1980年代に起こったようなパラダイムシフトが再度起こるだろう。

 

けど、それでも地元の人々がその痛みを直接感じるようになるまでは時間がかかる。たぶん2020年のオリンピックが一つの節目になるだろう、今のままの政治では。

 

大阪で生まれた女が東京に行き大阪に残った人々が彼ら移住者が戻ってきた時に明るく受け入れることが出来ない現状が嫉妬であることを理解して、戻ってきた優秀な人々にその経験を尊重して政治を任せてみれば変化出来ると思う。

 

大阪に3日間滞在して色々と感じた事を書いてみた。もちろん僕の個人的印象でしかない書き殴りだ。これが正しい判断であるかどうかは分からない。ただ一つだけ言えるのは、危機意識のないままに変化せずに生きていれば街であろうが個人であろうがいつかは潰れてしまうって事だ。



tom_eastwind at 02:50│Comments(0)TrackBack(0)諸行無常のビジネス日誌 

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