2013年12月21日

博多 花山2

博多では家族で福岡に来ると必ず一晩は夕食を花山で食べる。屋台であるが歴史は50年以上、ぼくも独身の頃からずっと通っている。

 

4年ほど前に初めて家族を連れてきたら家族全員にとにかくびっくりされて、屋台でこれほど美味しい焼き鳥や牛タンやサガリやラーメンが食えるなんてあり得ないって顔をしてた。

 

今回も福岡に到着した初日の晩に花山に行ったが、あいも変わらず旨い。けど今回一番面白かったのはりょうまくんのびっくりである。

 

それはラーメンを3杯も食って「ぼく、ラーメンは別腹みたい」って言った事ではなく(これはこれで十分面白いが(笑)。

 

早い時間から一人で来てた中年のおじさんが焼酎を飲んでると隣り合わせに30代の二人組のサラリーマンが座った。二人組はこの店が初めてなようで、最初は何を注文して良いか分からず適当にビールを頼んで焼き鳥を見てる。

 

すると中年のおじさん、気軽に「この店で最初に食うなら白がうまかよ」と声をかけた。そのうち二人組とおじさんがメニューを通じて楽しく話しだし、

「そう言えば何の仕事でこっちに来てるの?」

「ええ、この地区の建設業界さんへ色々とご挨拶を兼ねてですねー」

「ほー、じゃあxxとこはもう行ったと?」

「え、ご存知ですか?!あの方なかなか厳しそうでですねー」

「おれの後輩やん、俺から電話しとくけん、名刺ちょうだい」

「え?、、ほんとに・・・ですか?」

そしてこの二人組、突然丸椅子から立ち上がり直立して両手で名刺を差し出していた。

 

福岡で先輩後輩と言えばそれは個人の戦闘能力を越えて絶対的な上下関係を意味しており、先輩の顔を立てない後輩は、内容が何であれ「顔を立てない」その事自体が問題とされて、ハハハな話になる。ハハハの内容はあまりにハハらしくて具体的に書けないが「ハハハ、あいつバカやね、やっぱこうなったやん、ハハハ」となる。

 

それを観ていたりょうまくん、ぼくにそっと聞いてきた。「お父さん、ここって知らないビジネスマン同士が集まるフェイスブックみたいな場所なの?」

 

ははは、りょうまくん、そうじゃないんだけど博多で屋台ってのは知らない者同士が隣同士に座って軽いおしゃべりと食べ方を見ながらお互いの距離を見つつ、うまく話が合えば仕事の話にまで繋がるのが実際である。

 

これは僕自身昭和の後半に中洲や天神の屋台でしょっちゅう経験した事であり、確かに他の街から来た観光客やビジネスマンには理解し難いことであろう。何でそんなに知らないもの同士が仲良くなれるの?

 

けどよく考えてみれば知らない同士が肩擦り合うのも他生(多少?)の縁ってのもあるわけで、こういう文化があってもいいじゃないかって思う。こういうのをビジネスの技術として使わないのも福岡ビジネスの特徴であろう。

 

そう言えば山笠っていうみこしを担いで時間を争う祭りでも、担ぎ手は何人までとか重さは何トン以上なんて規制はない。けどそれを利用してズルをするって発想はこの街にはない。

 

もちろん山笠や屋台以外では中国相手に千年の貿易の歴史を持つ切磋琢磨の博多商人ではあるが、そこには何てかな、ビジネスやってるのに笑いがある。そして暗黙のルールがある。

 

今回の九州旅行は主にむすめとりょうまくんに日本の田舎を見てもらうことだ。旅は知識を増やしてくれる。

 

花山の食事が終わり国体道路あたりでタクシーを降りてホテルまで川沿いを歩いてると、りょうまくんが

「お父さん、川向うにキンキラしたホテルがあるよね、アレなに?」

「うーむ、正直に言おう、あれはラブホテルだ」

「ラブホテルって何?」

「うーん、彼氏が彼女を連れて泊まるホテルだよ」

「じゃあこっち側でお兄ちゃんたちがお店の前でいらっしゃいって言ってるのは?」

「ああ、正直に言おう、あれは売春宿、日本ではソープランドと呼ばれている」

「ふーん、どう違うの?」

少し考えてこう答えた。

「ラブホテルはBYO、ソープランドはフルライセンスだよ」

 

横で聴いてた奥さんと娘が大笑い!ははは、そんな九州旅行の始まりです。



tom_eastwind at 04:10│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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