2014年01月17日
空母と東京都知事選
海上自衛隊がひゅうがに続いてヘリ空母「出雲」の就航だ。日本も少しづつではあるが自国の領土を守るための道具について現実化している。日本は海に囲まれた島であり海が国境なのに、今まではその海を守るための道具(自衛艦、兵器)が少なく陸上自衛隊にその分の力を割いていた。
日本の仮想敵国は太平洋側ではなく日本海側である。大陸との境界線に空母を浮かべ対潜哨戒機と空中管制機を飛ばしておけば敵上陸部隊の牽制にも繋がる。
固定翼戦闘機は当面搭載出来ないが(VTOLは可能性あり)少なくとも日本海で国土防衛行動を取るには十分である。オスプレイも導入されているので万が一の事態になれば上海在住日本人を沖縄まで戻すことが出来る。洋上のプラットフォームになり作戦活動の幅が大きく広がるのだ。
ヘリ空母ってのはこの出雲の実態に一番近い名称であるが揚陸強襲艦という呼称もある。ただ、いずれにしても世界標準で言えば護衛艦ではない。ただ今の自衛隊では護衛艦という呼称しか正式に存在しないので仕方なく護衛艦と呼んでいるだけだ。
「自称軍事専門家」同士がマジで無意味なガチバトルやってる。あれは空母ではないってのとあれはどう見ても空母でしょって議論だが、どっちかって言うと「あれは空母ではない、だって自衛隊自ら護衛艦って呼んでるんだもん」って言ってるほうが夢物語である。じゃあ狼を見て「あれは羊だ、何故なら俺の国ではあれを羊と呼ぶからだ」というようなものだ。
なんかなー、第二次世界大戦中に戦術で失敗して戦闘で負ける度に撤退することを「転進だ、撤退ではない、皇軍は撤退などしないのだー!」的な印象を受けるのは僕だけではないだろう。興味のある方はブロゴスで出雲と検索したら出てくるのでどうぞ。ただ内容がかなり軍事専門的な内容なので戦争オタクでなければあまり読む意味はないし意味が分からないと思う。
事これに限らず、日本人はほんと無意味な議論が好きであり現実を無視した答を導き出してそれを実行して最後にはどおんとドボンである。第二次世界大戦の敗戦がまさにそれであった。
なんかさ、どっかの宗教団体が大怪我をした子供に輸血をしようとする医者の診断を断って子供が失血死したような話である。生き残ることより大事なことがあるのは知ってる。しかしメンツや無意味な議論に殉死することくらいバカな事はない。
まったく子供は親だけのものじゃないっつうに。自分の教義を自分が守るのは結構だが子供に押し付けるんじゃないよって感じだ。が、日本人の議論も意味のないことに熱くなって他人に強制させてそれで結局もっと大きなコストを抱える事になるってのがよくある。先にフランスの話から入ろう。
「フランスのオランド大統領が14日の記者会見で、女優のジュリー・ガイエさんとの密会報道に関連し、事実婚の相手、バレリー・トリユルバイレールさんとの関係が「痛みをともなう状態になっている」と説明し、「不倫」関係を否定しなかったとのことです。」
フランスの大統領に期待されるのは大統領としての手腕であり個人生活がどうだってそりゃ別問題でしょ。実際にフランスでは「そんなの問題ないもんねー」という意見が8割であり「てかさ、そんなの問題にしたら明日は我が身でしょ」なんて政治家の発言も飛び出したりしている(笑)。
そう、政治家に求めるべきはその政治手腕である。(個人的にオランドが何か大した事やったって実績は今のところあまりない、せいぜい旧宗主国のアフリカ大陸で治安行動に乗り出したくらい)ところが日本では女問題になるとすぐ辞職だとかギャースカ騒ぐ奴がいる。
ほんっとそういう人間って歴史学んでるのかと聞きたい。明治の元勲たちがたくさんの女を囲ってたのは歴史的事実であり、しかし元勲は良く働き日清日露戦争で勝ちアジアにおける富国強兵国家を作り上げた。
ではその時誰か日本国民が「おいおいおやっさんよ、女遊びしたら辞職だぜ」なんて言ったか?誰も言ってない。ではなぜ今になって橋下さんが女遊びしたら「辞職しろー!」って言うのか?
それは自分の政敵を追い落とすために彼本来の仕事とは関係ない個人生活をマスコミ等の外部にチクって自分に有利になるように政治利用する根っから薄汚い連中が薄汚い事をやり、そしてそれに乗っかった福島みずほ系のような戦後の民主主義を歪めて政治利用するクソババアどもがタダ乗りしただけの話である。
つまり実態がどうこうよりも自分の財産を守る、その為に民主主義を利用する、そんなところではないかって感じである。もちろん橋下さんが辞職するかどうかは個人生活と関係ないわけで全然整合性のない話だ。
奥さんから三行半を突き付けられるかもしれないがそれは政治とは別問題、勝手にやってくれ、賠償金たっぷり払わされてもそりゃ橋下さんの自己責任。どうぞ払ってね、ただ税金は遣わないでねって話だ。
しかしまあ、大体こういう他人のシモネタ話を持ち出す連中は実力のない連中である。正面からやっても勝たないから裏で足を引っ張るしか出来ない。
英米では現実を見た考え方がある。デ・カプリオの ”Catch me If you can”って映画があったのを覚えている人は多いだろうが、最後の場面では詐欺師のデカプリがFBIで働き詐欺師を捕まえる仕事を得た話など、詐欺師を捕まえるのは詐欺師が最高って考え方が浸透している証拠だ。
これはニュージーランドでも受け継がれており、例えば2008年のリーマン・ショック後最初の総選挙でジョン・キーが首相として選ばれたが、彼は元々メリルリンチ証券の副社長まで務めた人物で、まさにCDS商品とか金融危機を巻き起こした当時の一員であったのだ。
ところが総選挙になったら彼が「おれがリーマン・ショックを巻き起こしたのだ、だから俺はどうやったらこのショックから逃れるか方法を知ってる!」ってんで国民の評価を得て選挙に勝利して首相になり、今も頑張っている。
事このように、誰が誰に何を求めるのかが英米の場合は明快なのだ。政治家に求めるのは政治の手腕、旦那に求めるのは不倫をしない誠実さ、求めるものが違うのに政治家に誠実さを求め旦那に立派な政治家になってくれと求めるか?
ところが日本では訳の分からん道徳観とか、本筋の話と全然関係ない話を持ってきて議論しようとするからそもそも現実議論が成立しない。日本人の場合はその場に集まったメンツの軽重で均衡を計り誰もが阿吽の呼吸でこの場はこういう結論にしようという雰囲気がある。それは全く理論的ではないのだが何故か日本ではそれがまかり通る。
でもって本題になるのだが、東京都知事選だ。ぼくはこのネタはあまりにもバカらしいのでずっと無視してきたが、5,000万円の選挙資金を受け取ったってだけでマスコミに総叩きされ議会でもケチョンケチョンに叩かれて辞職に追い込まれた猪瀬知事であるが、
都知事選 3年間で3回目 費用、血税から計130億円
www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013122002000246.html
猪瀬知事の政治家としての資質がどうなのか僕は知らない。しかしその結果として東京は知事を辞職させ新たに知事を選ぶというが出てきたメンツが左翼崩れの頭のなか真っ赤な弁護士とか1億円の裏金をもらった元首相ってんだからアフォ化?と言いたい。
東京都民のやった事は裏金の5,000万円を問題にして40億円の税金を遣うって判断だった。それで政治浄化というなら良い。けどその結果もっと悪い政治家が出てきたら?40億円を溝に捨てたようなものではないか?第一猪瀬知事を追い落とした都議会の連中だってその東京都議会で選ばれた議員さん、あんたらも相当実弾選挙やっているよね。それは無視なのか?
もちろん猪瀬知事のやった事は良くない。きちんと申告してりゃ良かった、または知事にならなけりゃよかっただけの話であるが、あまりに費用対効果が悪く無いか?
必要としているのはオリンピックを引っ張り込む強運と(これはどっちかと言えば安倍首相だが)東京を整備する具体的方針と(これは日本の建設力や設計力、構想力の高さであるが)、そっか、オリンピックをネタにしても猪瀬知事は大した事ないか・・・だったら何がある?あれ?ないか?だったら首の挿げ替えも仕方ないか(苦笑)?
だったらいっその事、東京都は日本政府内閣の直轄領にしてしまえばどうだろう?これが今日のお題である。
これだけの巨大都市を制御するのなら強権発動出来る内閣か総務省あたりに東京総督府を作り選挙ではなく東大試験で選ばれて更にエリート教育を受けた優秀な官僚を東京都総督にすればどうだろうか?東京のように複雑に利権が絡み日本政府に直結しているような街に民主主義を理解しない人々によっての選挙を導入するからバカが増える。
例えば戦前の満州でものすごく頭のキレる官僚が満州国の運営にあたり敗戦で滅びるまでは日本人にとって挑戦できる住みやすい国であり支配された満州の人々もそれなりに清朝崩壊後の無政府状態で盗賊が襲って来た頃よりも余程安全であった。
こんな事書くと「いや、日本支配は酷かった!」という連中が必ず出てくる。そりゃそうだ、政治やってるんだから時にはババ引く奴も出てくる、それは日本でも同様だ。しかし少なくともじゃあんたらは以前のように盗賊匪賊に襲われて殺されてた方が良かったのか?
だから東京都民だってこの際思い切り割りきって日本政府直轄を認めればどうだろうか?日本政府も酷いけど東京都民が直接選挙で赤や裏金1億円を選ぶよりもまだ「まし」だと思う。
ぼくは英国植民地時代の香港に6年間住んでたわけで当時の最後の総督パッテンは悪いやつではなかった。きちんと香港を成長させてそれまで無名の漁村だった香港を東洋の真珠にまで仕立てあげた。独裁でもやってる奴がシンガポールのようにきちんとしてればそれほど悪くはないものだ。
またもニュージーランドの話であるが、10年ほど前にオークランドの著名なビジネスマンが麻薬所持で逮捕された。本来ならそのまま刑務所に放り込まれる予定だったのが、このビジネスマンが「おれを刑務所に放り込めばおれの会社の売上が下がる、そしたら納税出来なくなる、すると政府の収入が減少して麻薬取り締まりの予算が取れなくなる。それよりおれを釈放して働かせてくれ、しっかり納税するから」と言ったらその意見が通ったことがある。
日本からすればあり得ない理屈かも知れないが現実という視点から見れば正解である。冒頭に書いたが、出雲の名前が空母であろうが護衛艦であろうが、実態はヘリ空母でありヘリ空母として国土防衛をしてもらえば良い、フランス大統領が女を作ろうがそれは個人の問題、政治をしっかりやってくれればよい、橋下さんが浮気をしようが大阪の市政がちゃんと回ってれば良い(個人的にはあまりうまく回ってるとは思えないが)。
建前と本音、自分に関係ないことは立派な建前を並べて偉そうな事を他人に押し付けるが、いざ自分の利害関係になれば本音が出てきて逃げまわる、そういう薄汚い日本人を山ほど見てきた。
だからそろそろこのあたりで日本人も現実の視点からものを観る、なんて抽象的な事を書くよりも、東京都を日本政府直轄にすればまだ「まし」なのではないかと思う。