2014年01月30日

数字は嘘をつかない



僕のブログは基本的に書き散らしである。仕事の合間にたった今自分の眼に見えた事やこれから起こるであろう事にピンと来た時とか過去の記事を読んでこれってどの地域のどの時代の話と合致するかなって考えておー!あれか、なんて思いついた時に書く。


だからいつも言う事だがあまり細かい数字は書かずにやってる。ブログを書くのはあくまでも僕の個人的な意見であり会社とは直接関係ない(関係あったらこんな事書けるかっちゅうの)から、書く為に調べ事を毎回やってたら本業に影響が出る。


一回あたりの書く時間は大体15分から長い時で30分だ。短い時は昼間書いてる場合で全く校正かけずにUPする。で、長い時は大体夜書いてて酒が入ってるからちょっと長めに書いてその夜は何もせず翌朝しっかり校正してUPする。


これ、誰かも書いてたけどネットの書き込みは一生残るわけであり一度口から(手から)出た言霊は引っ込めることは出来ない。酒を飲んでると感情の起伏が激しくなるわけで、だから「飲んだら書くな(UPするな)」となる。


だから書くときは頭の中に入ってるデータを適当に引っ張りだして前後関係や数字の誤謬がないかだけをささっと頭のなかでまとめてそれで文章に落とす。頭の中であれ?って思う時は数字を入れない。その結果数字の表示の少ないブログとなる。


けど実際は毎日様々な数字を見つめつつ本業の移住仕事をしている。例えば当社のファイナンス部門が定期的に発行しているニュージーランド経済リポートはすでに128回発行されているが、ここはまさに数字を基礎とした分析を掲載しており、目次はこんな感じだ。


イーストウィンド ファイナンス

各指標データ

NZ経済の堅調に推移、隣国豪州を抜く

NZ銀行、住宅ローン例外措置の対応未定

NZ12月食品価格は小幅下落するも、消費者物価指数は上昇

NZの年末商戦が活況、12月の支出7.5%

オークランド港コンテナ処理量、最高水準に

英蘭シェルや三井物産など、NZ沖の探鉱井掘削へ

アジアの粉ミルク買占めブーム、NZサケも巻き添えに

クック山、30メートル縮むが、「NZ最高峰」は維持

世界いろいろランキングでのNZの位置付け

世界遺産の森にモノレールに反対の声


ここから続いて

NZ関連主要経済指標発表

11/29     住宅建設許可前月比(10)            1.4%       1.7%       -0.6%

12/12     RBNZオフィシャルキャッシュレート発表            2.5%       2.5%       2.5%

12/19     GDP 前期比第3四半期 季調済     0.2%       1.1%       1.4%

12/19     GDP 前年比第3四半期 季調済     2.5%       3.3%       3.5%

1/9        住宅建設許可前月比(11)            -0.6%      -            11.1%

1/21      消費者物価指数前期比 第4四半期              0.9%       -0.1%      0.1%

1/21      消費者物価指数前年比 第4四半期              1.4%       1.5%       1.6%


こんな数字が続く、まさに数字祭りの状態である。上記の数字は当社ファイナンス部門をご利用頂いている顧客向けに送る有料情報である。


よく言うことだが数字は嘘をつかない。ただしこれだけを取り出せばYESだが、数字は嘘を付かなくても人間は嘘をつく。自分の都合の良いように数字を調整する。例えば日本や米国の雇用統計などは調整後の数字であることはこの数字を利用して仕事をしている人たちの中では既成事実である。


ちなみにその調整技術で言うと、米国の1月の雇用統計が「雇用は回復した」と言ってるけど、ありゃ嘘だ。失業率の計算をする時はまず現在就職している人数と現在求職中の数が分母となる。例えば90人が働いてて10人が求職中であれば分母が100でありそれに対して10人が求職者がであれば失業率10%となる。


ところが政府は求職者に対して「もう1年も探して仕事がないんだから諦めな、失業手当も間もなく打ち切りになるから生活保護、フードスタンプにしたほうが良い、今なら特別割増しまっせ」みたいな事を現場でやって求職者を減らしているのだ。


だから数字で言えば分母がちっちゃくなるから、例えば90人が仕事してて5人が求職者であれば分母は95、でもって雇用者が90なら失業率は約5%となる。


そして更に隠された要素がある。それは雇用者が増えたという表面的な事実、つまり分子の雇用者の部分を増やす方法である。


米国は国民皆保険を目指して一定規模の企業に対して保険加入を義務付けた。すると企業は一旦フルタイムの社員を一人解雇してパートタイムを二人再雇用するのだ。こうすればパートタイムは保険料支払の対象とならず更に雇用者数では1が2になったから雇用者総数が増加する。そして更に失業率は低くなる。


この事実を知りたければ同じ雇用統計の中の一人あたり給与総額を見れば分かる。2年前と比べて減額されている。業種によっては1980年代と同様かそれ以下となっているのだ。


数字は嘘を付かない。けれど人間は嘘を付く。


だから大事なのは目先の大本営発表の数字を鵜呑みにして「おお、米国も景気回復しているのか、雇用統計も良くなってるなー」なんて思わないことだ。


こういう数字は最初はとっつきにくいかもしれないが、慣れてくれば不自然な数字は自然と目につくようになる。あそこの数字がこうなのにここの数字がこう、こりゃおかしいって気づく。


数字が見えるようになると今度は数字に基づいた政府発表や経済政策が何故発動されたのか矛盾が見えてくる。そして初めてそこで各国政府の狙っている政治経済目標に気づく。そこが見えてくるようになれば世の中が逆転して、白が黒に、黒が白に見えてくる。


ネット上に限らず世間を飛び回る意見を見ていると、何かの事象が起こった時の反応はまず感情で反応して次に周囲を見渡しどうやら問題なさそうだと思えば自分の感情をベースにして他人の書き込みをコピーしてまるで自分の意見のように書き込みをする。


そして反対意見が出ると自分の感情論だけで徹底的に反対したり賛成意見を見つけると自分の感情だけで徹底的に賛成して、挙句に今まで味方と思ってたのが転向したりすると気違いみたいに相手を攻撃する。


そこには理論もなければ数字的分析もなくほかに比較対象となる事象と全く比較もしようとしない、とにかく子供の感情論である。


最近の例であれば「明日まま」であろうし過去の例で言えば日本赤軍派が仲間内で総括という名前で大量虐殺を行った例であろう。大学の優秀な連中でさえ数字を忘れ理論を忘れ感情だけに走った時、そこに残るのは原始人の憎しみでしかない。


ぼくらは果たして生まれた時から人間だろうか?そうは思わない。人間と呼ぶからには理性があり知性があり自分の感情を制御出来る能力がなければいけないと思う。


その意味で感情だけのバカがあまりに多く理性で自分を制御する人間の少ない社会のことをこう語った人がいる。


「天下最も多きは人なり、最も少なきも人なり」


但しその人も巷間の噂によると時々理性を失うことがあったそうだ(苦笑)。やはり人間は完璧ではない。けど少なくとも完璧に近づく努力はすべきだと思う。その為の第一歩。現実を知るために数字を読む勉強をしてみてはどうだろうかと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



tom_eastwind at 18:26│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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