2014年02月07日
なんだかでこぼこ感
ここ一年程度でニュージーランドへの移住を扱うと自称する会社が増えたが、どこも何がこの仕事のポイントなのかを全く理解してない、全然掴んでないなって感じだ。
移住ってのはその国に住むことであり日本とは全く状況が違うのに、ビザを取ることだけが移住の仕事って思ってる連中とか不動産売りたさになんでもかんでもOK!OK!の連発をして結果的に大失敗したりして訴訟になるケースとかも見てきた。
移住とはビザを取得することではなく、移住した先で楽しい生活が出来るかどうかが問題なのだ。そのことを全く理解せず何だか移住が盛り上がっているからってビジネスを見よう見まねでやってるが、それでお客様が移住してその後に「話が違うじゃないか、あなたが言ったことと違った」ってなったら皆すぐ逃げる。
「いえ、そんな事言った覚えはありません!」とか「それはあなたの勘違いです」とか、とにかく相手を放置するのである。
今回もそういう話をたくさん聴いた。
今回はNZ移民局とNZ大使館がオークランドの弁護士事務所連中を引き連れて日本人投資家向けにセミナーを行った。そのスタッフに会う機会があったので日本人投資移住者の現状を説明して日本の経済状況を説明して「だから今ニュージーランドに皆が眼を向けている、けどプロモーションの方法はよほどきちんとしないと日本人投資家は納得しないよ、逆に評判を落とす」と柔らかく話をした。
特に今回は当社の提携先の弁護士事務所から所長と日本人担当弁護士が来ており、彼らはぼくのビジネス・モデルを理解しているから「そうなんだよ、日本人を相手にするのは英国人や米国人のようにはいかない、中国人とも違うんだ」と説明。
そういう彼らも今回が初めての日本プロモーションでココイチのカレーに感激して10日間の出張で5回位食べたり時速300kmの新幹線が揺れないのにびっくりしたりホテルのトイレからお湯が出るのにびっくりしたりしながらの旅だったようだ(笑)。
その話の合間に弁護士事務所所長から十年ほど前にオークランドの日本人不動産セールスマンでお客に訴訟されそうになったケースの話が出てきたのだ。「だーから、こんな売り方じゃダメなんだよ」
何だか印象的に「目の前にでこぼこが浮かんだなー」と思いつつ、大使館のスタッフと意見交換をしたり移民局スタッフの初めての日本の印象に説明を加えつつ今後の話に広げる。
移民局としてはどうやらやっと中国のような数ではなく日本のように質が良い投資顧客が大事だと気づいたようだ。今回の面談でも「日本人はお金についてもキレイだよね」と言ってくれた。
去年前半までは中国をターゲットにしていたが実際にやってきた中国人は結果的に地元民の反発を受けた。
その後当社の扱いで投資家顧客が立て続けに永住権取得をしたのだが移民局や弁護士事務所が「こりゃいい、日本人ってほんとにお金がキレイで仕事も正確で、これなら100人の中国人投資家を取って将来に禍根を残すくらいなら10人の日本人投資家を取るべきだ」って事に去年後半くらいに気づいたようで今回のセミナーの話になったのだが、初めてのプロモーションでありつつも手応えは良かったようだ。
ただ今回のプロモーションは募集方法に問題があった。セミナーやってニュージーランドの宣伝をするのは良いのだが、では渡航した後どうするのか?という一番大事な部分が抜けてる。
ニュージーランドは良いですよー、ビザ取れますよーなんて宣伝しても生活が楽しくなければ日本人は日本に戻ってしまうのだ。これは今シンガポールでも同様の問題が起きている。
節税対策でシンガポールに移住したのは良いが現地の会社がするのはビザ取得だけで生活は自分で勝手にやってくれだから、言葉も通じないし一年中暑いしやることもないしって事で結局生活に飽きて日本に戻るはめになってしまう。
移住とは突き詰めれば長い旅なのだ。そして長い旅に必要なのは腕の良い添乗員である。例えば現在人気のあるJR九州の「ななつ星」にしても単純に列車を豪華にするだけならあそこまで人気は出ない。
大事なのは箱だけではなくソフト、つまり同乗するスタッフがいかに乗客を楽しませるか?それぞれの希望をくみ取りベストを尽くす、その姿勢が評価されてお客が旅を楽しみ喜ぶのである。
そこを理解しないままに目先の節税対策とかビザ取得とかだけを強調しても無意味どころか、かえってNZの評判を落とすだけである。
ほんとにプロフェッショナルのいない業界だな、たぶんその印象が上に書いた「でこぼこ感」なのだろう。
そんな事を思いつつミーティングが終わり恵比寿のホテルに戻るともう夜10時過ぎだ。寒くなりそうだし明日は説明会だ、とっとと部屋に帰って寝よう。