2014年03月12日

2020年のパラダイム・シフト 

 

「2020年のパラダイムを読む」というタイトルで「まとめ」があった。

 

まずはコンピューターの進化により2020年までに全就業者数の半数は情報・サービス系になる。製造・建設業は約400万人減少、情報・サービス業は270万人増えるとのこと。「プロ・職人の勘所もビッグ・データで管理されるようになる」ので、人間が必要とする技術が不要になる。

 

そして現場ではロボットと人間の競争だ。速度や正確性ではロボットに敵わない人間に残された仕事は、速度は競わないがロボットに要求したくないサービスを提供してくれる人間だ。

 

このような記事をあちこちで見かけるが、これってニュースじゃないよね?だってぼくらSFで育った人間からすれば40年前から知ってた事だし。

 

これからますます機械は進化してそこにコンピューターとインターネット技術が合流すれば、社会の中できちんと仕事を得られる職種でそれなりに食える職種となると本当に限定される。

 

コンピューターを使いこなして制御する人間か、ビジネスにコンピューターを取り入れる経営者か、またはコンピューターや機械にやらせるほうがコストがかかり過ぎる、例えばホテルの洗濯機からタオルを出して折りたたんで客室に運びタンスに入れる仕事などが人間に残された仕事になるだろう。

 

今あなたは自分の子供にどのような教育を与えているだろうか?その教育は既存の「中高教育で大学受験を学び大学に入ったら何の勉強もせずとりあえず卒業したらどっかの企業に就職して」〜って内容であれば、あなたの子供が不幸になる確率は8割だと思ったほうが良い。それは親であるあなたが未来を見てないからだ。

 

与謝野晶子が自分の弟の日露戦争旅順攻略戦に従軍した時に「君死にたもうことなかれ」と唄ったのは有名な話だが、彼らにとって住む場所を選べなかったから仕方ない話だろう。

 

けれど今の時代に生まれれば未来を読む自由もあるし住む場所を選ぶ自由もある。その中で親の無知のために子供の10年後の将来にとって最悪の選択肢を選ぶのが親の仕事であるなら、いかに親の自分勝手な話であり子供にとって迷惑な話であろうか。

 

日本でも最近は大学と専門学校の二つに通わせて手に職系とか理系を選ぶとか選択肢が増えてきたようだ。バブル時代のようなパーティ学部では就職先も将来もないってのに気付き始めた証拠だろう。

 

少し話はそれるが、移住先に必要な条件として大きく挙げられるものが「治安、医療、教育、言語」である。これに続いて「水、食料、空気、電気、法治」が続くだろう。ニュージーランドは現時点では日本人にとって言語以外の条件はトップクラスだと思う。

 

しかし移住したいと思っても能力がなければ移住できないのが実態である。移住先と思われても移住先としては「関係無いですね、うちは能力のある人材を求めてるだけですから」で終わりだ。

 

これと同じで就職先に求める条件として「十分な給料を払ってくれる、誇りや学びがある、助け合える仲間づくりが出来る」であろうか。

 

給料の面ではぼくのブログで何度も触れているが、今の日本人学生の競争相手はインドの山奥の英語が完璧で西洋文化を理解して二桁の暗算が優秀な学生だったり人口10億人の中で厳しい競争に生き残った中国の超優秀な学生であり、彼らよりも能力が低ければ確実に彼ら以下の給料しか手に入らない。つまり今の時代は競争相手が中国やインドである。

 

だが次に来る時代、子供が社会にでる頃には競争相手はもっととんでもないものになっている。それがロボットだ。

 

企業の社長側から見ればすべての労働者の労働価値は中国やインドの学生ではなく、なんとロボットと比較されるわけであり、ロボット以下の学生に給料を払う理由はない。社会保障の提供は政府の仕事であり民間企業の仕事ではないからだ。

 

「学びの場や仲間作りをするならそれはどうぞご自由に。会社が要求するのはあなたがロボットよりも優秀であることだけだ」となる。

 

つまり選ぶ方(企業と学生)も選ばれる方(企業と学生)もどんどん平等になりお互いの選択肢が狭まり、よほど優秀な一部の学生は引き抜きの対象になるがそれ以外の「普通の学生」は意識だけ高い系と見做されて面接の対象とさえならない。

 

何で文句ばかり言って仕事にムラのある人間を雇用して労働法とか面倒くさい規制を守る必要があるんか?ロボットなら何も文句は言わんぞって話だ。

 

ほんとに一部の優秀な人間だけがロボットと比較しても勝てる仕事をする時代にあなたはどう戦うか?

 

これは企業だけではなく世界全体の流れである。現在すでに世界レベルで人材獲得合戦が始まっている。例えば最近世界トップクラスの大学がネットを利用した双方向の大学講座を世界に公開しているが、あれはお情けでも世界に教養を広げようというのでもなく、世界にいる優秀な学生をいち早く発見して奨学金を出して大学に入ってもらい大学のレベルを高めようって作戦である。

 

こうなると人間が出来る仕事はどんどん狭まっていくのが分かる。人間にしか出来ない仕事、例えば映画製作(創造性の高いもの)、映画俳優(CGやられるとOUTだな)、歌手(初ミク以上に上手い事が前提)、医者(RC技術により全体数は減少するかも)、看護婦(人間性勝負)、政治家(ロボットにやらせたほうがマシな場合もある?多い?かなり多い?)、都市工学、設計家、ラグビーなどスポーツ選手、かなり限定的であり世界に競合相手がいることが分かる。つまり世界に飛び出て戦える実力が要求される仕事になる。

 

ではそういう競合を避けてあなたが自分の生まれた街で人間しか出来ない仕事ってどれだけあるのだろうか?映画館の切符切り?コンビニ店員?ガソリンスタンドの誘導と給油?バスの運転手?マックのアルバイト?介護士?どうも、どれもロボットに置き換えられそうだぞ。

 

そうなると人間相手の警備員(これも暴動鎮圧用ならロボットで十分)、ホテルのフロント(清掃はすでに機械化されつつある)、麻雀やの代打ち(これもロボットになり得るかも)、キャバクラの姉ちゃん(すでに南極もあるからなー笑^^;)、工事現場の作業員(かなりの部分がパッケージ化されてそれはロボット仕事だろう)・・・。

 

もし生まれた街で仕事がなければ世界に出て戦うしか無い。しかし世界に出て中国人やインド人相手に勝てるか?更に、ロボットにも勝てるか?



tom_eastwind at 09:45│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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