2014年03月19日

マイナンバー制度

***日経新聞より抜粋開始***

政府は銀行の預金口座に預金者の税と社会保障の共通番号(マイナンバー)の登録を義務付ける方向で、銀行界との調整を始めた。まず、2018年度から新たに開く口座を対象にし、その後、既存の口座にも拡大する。脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぎ、サラリーマンなど納税者に根強い不公平感の是正を図る。16年の通常国会に関連法の改正案を提出したい考えだ。

***抜粋終了***


マイナンバーは当初社会保障の一元化という位置づけであったがやはりと言うか自明の理というか個人の資産捕捉の手段となった。どうでもいいけど「マイナンバー」ってかっこ悪い名前、誰が名づけたのか親の顔を見たい感じだ。


番号制度はあるサイトでは下記のように説明されている。

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番号制度は給付のために制度設計されますが、従来以上にきめ細やかな給付や負担の見直しのためには所得や資産の情報が必要です。所得を把握するには、(1)番号による所得把握の精度(正確で効率的な名寄せ・突合)と(2)法定調書の範囲の2つが関係しています。


国民の財産がどこまで把握されるかは、法定調書の範囲(取引の種類や提出を義務付ける取引額)をどこまで拡大するかの問題です。


番号は収集した法定調書を名寄せ・突合するだけですので、そもそも法定調書として提出されない所得は把握できません。


所得や資産の種類で見ると、例えば預貯金残高や投資残高、保有している不動産、貴金属、海外口座といった資産に関する情報は法定調書の対象ではありませんし、一般消費者に提出義務を課して個人事業主の事業所得を把握することも現実的ではありません。

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「海外口座は法定調書の対象ではありません」と説明しつつ今年から法定調書の対象になってますね(にこ)。法定調書なんていつでもどうでもあっち側で勝手に書き換えられますからね。


個人の預金口座を名寄せするってか、すべての口座開設時にマイナンバーが必要になるので捕捉されますよね、普通に。以前に開設された口座だって「今後その口座で取引をする際はマイナンバー登録してください、登録しなきゃ口座凍結ですよ」って言えばすぐに資産総額わかるし。


ついでに言えば税務署は銀行口座を眺めつつ「ほー、このお金はいつどうやって作ったのですか?収入の申告はしましたか?」となって今まで申告してなかった過去の痛くもない腹を探られる。


不動産だって個人が持ち主ならマイナンバー登録を義務付ければすむこと、貴金属は購入する際にマイナンバーの提出を求めるようにすれば良い。


要するにどうのこうのと言いながらいつでも個人資産を捕捉出来るように税務署が動いているのだ。その第一弾が逃げ足の早い海外資産の捕捉である。国内の資産は逃げようがないので急ぐ必要はない、ゆっくりと締め付けてやるって感じがぷんぷんする。


ニュージーランドにも社会保障や納税を統合したIRD番号というのが存在するしこれは十分に機能している。ニュージーランド居住者が銀行口座の利息を納税する時にもこの番号を使い確定申告の際にもこの番号を基準にして手続きをする。


この制度は古くからあり個人の情報管理とかややこしい話になる以前から「便利で使いやすい」という理由で今も利用されているし実際に使いやすいものだ。


ニュージーランドは日本と比較すれば税制が透明であり国民への還元率が約80%(医療、教育、老齢年金、失業手当など)なので日本のように節税にこだわる必要がない。第一政治のクリーン度は世界一位であるから賄賂も汚職もほとんど存在しないから「抜かれる」なんて事を心配する必要がない。


もちろん居住者だって無駄な税金をあえて払うことはないしそれなりに節税も考えるが、誰かが税金を払わないと国家が成立しない事も理解しているので日本ほどに節税対策本が売られているかというとそういうことはない程度だ。


税金は透明性が高く国民に還元されていればそれほど文句を言うものでもないのは普通の日本人の感覚だろう。しかし現在の日本の税制はとにかく不透明であり一部支配層が利権という形で「抜いてる」から国民が納税を嫌う。


「お前ら何のリスクもなく自分たちだけネコババしやがって、そのカネはなー、おれがリスクを取って苦労して作ったカネなんだよ、何を勝手に遣ってるんだ!」という話になるのだ。


本来納税者番号というのは国民の利便のために存在しており適正な納税のためにも使われている「道具」である。ところが日本で何故これがもめるか?その背景は幾つかある。


まず過去に野党が反対した時は「個人ジョーホーがー!」とか言ってたが、あれは自分たちが古くはソ連、中国や北朝鮮から金をもらってた事が明白になり“やべえ事になる”のを防ぐためだった。


しかし今回は野党が反対というよりも一般国民が反対なのである。「個人情報保護」なんて言いつつ実際には自宅の前に表札置いて誰と誰がこの家に住んでるよって堂々と不特定多数の人々に開示している人々が反対しているのである。普通の人々にとって社会保障や引越し手続きが簡素化されるのはありがたい事である。


問題は自分の資産がすべて政府に把握されて、まるでこっちが悪人のような扱いの税務調査を受けて強制的に納税させられる、逆らったら口座凍結とか社会的制裁を受ける事がマイナンバー制度の導入で行われる、それを嫌がっているのだ。


その税金もきちんと使われるなら寄付とでも思えば良いが上に書いた通り「不透明な税金の使われ方」に国民の怒りが沸くのだ。


「サラリーマンなど納税者に根強い不公平感の是正を図る」なんてのは数日前に書いた「国民の分断統治」の言い訳である。サラリーマンをネタにして納税の公平感なんて言うが、そのサラリーマンだって両親がいるわけでその相続が発生したらバッチリ税務署に捕捉されるわけでこんな法律がうれしい訳がない。全くマスコミも御用新聞だ。


しかし制度としては世界でもごく普通に導入されており悪い筋ではない。悪いのはあくまでもその法律を運用する側である。「誰に対しても公平な政治」をやらないから国民が怒るのだ。


国民からは税金を強制的に取るが自分たちだけは内々で上手い事やって「離れですき焼き喰ってる」ような真似するから国民が怒るのだ。


そういう現実を分かった上で「どうせ民は逆らえないさ、俺達の言うとおりに納税するしかないんだから」と国民をなめてるから国民は何とか節税するのだ。


ちなみにニュージーランドのIRDInland Revenue Departmentの略であり訪問者でも納税義務が発生すれば番号を持つ必要がある。ただし銀行預金の金利などは銀行が非居住者として天引きしてくれるので番号を持つ必要はない。


そしてニュージーランドで昔から働いてる実直なビジネスマンは政治家と議論する時には堂々と「おれは納税者だ、これだけ納税しているんだ!だから話を聞け!」と言う。こういうビジネスマンをこちらの国では"Good Old Men"と呼ぶ。日本のように料亭の密室で政治家に向かって「おれはこれだけお前に賄賂を渡してるんだ、だから言うことを聞いて俺に利権をよこせ!」なんて事にはならない。

同じような規模の島国だが北半球と南半球では全く違う。

笑えないけど、おもしろいものだ。



tom_eastwind at 17:08│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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