2014年03月23日

「赤い中国消滅」 陳破空

数日前に中国侵攻に関する事を書いたがその後にAmazonから届いて読んだのがこの本。


文化大革命、天安門事件、投獄、そして亡命、激動の中国を生き抜いて現在はニューヨーク在住の著者は白手起家(アメリカンドリーム)を叶えて今でも中国共産党に対して喧嘩を売っている数少ない中国人の一人である。


内容は実に詳細で実際に中国に生まれた者でなければ理解出来ない視点で中国を描いている。


「尖閣諸島について中国は現在「明朝の時代に発見された」と主張するが、日清戦争以降日本の領土であり1895年から1971年までの間に中国が主権を主張した事は一度もない。第二次大戦後に台湾が中国に返還された時も中国は尖閣諸島については何も触れないどころか中国共産党機関紙「人民日報」でも「琉球諸島は尖閣諸島を含む」と書いており〜後略〜」などは非常に具体的でありこれだけ知っていれば尖閣諸島についてはいくらでも議論が出来る。


20128月に香港の活動家が尖閣諸島に上陸した際には中華人民共和国と中華民国の旗を掲げたが中国共産党系のメディアでは中華民国の旗を消されている。やらせ大国の新たな傑作である」


ぼくが以前から疑問に思っていた事がある。北京で実力を持つのは国家主席であるが実際には軍隊が非常に強力な発言力を持っておりその軍隊では何故か中国北部出身者が多いという事実である。


「一般的に中国南部は商売が中心であり広州人などはビジネスに賢く狡猾であり北部出身の人間は真面目で竹を割ったような性格であると言われる。共産党解放軍は当初賢く狡猾な南部出身者で占められていて戦争に勝ったが世の中が平和になると解放軍幹部が必要なのは真面目で竹を割ったような、言い換えれば自分の地位を脅かさない北部出身者であり彼らが昇進した結果として北部出身者が増えたという事である(引用:途中省略して意訳しているので文責は我にあり)」


非常に明確。そっかー、だから愚直な軍部は戦うことを是として政府に対して常に戦争を要求しているのだな。メンツにこだわり南部出身者のように駆け引きを考えないから難しい事を考えずに「なに?小鬼子(日本人)が俺たちに逆らう?よし、ミサイル撃ちこめ!」となるのだ。


彼ら軍部は今だもって朝鮮戦争で米軍と戦い相手を打ち負かした記憶が忘れられず北朝鮮とよしみを維持しているのだ。


1989年天安門事件の後に解放軍の給与は非常に良くなった。まるで福利厚生の温床地のような待遇になった。


解放軍に入れば一生食いっぱぐれはなし。退役しても利権にあずかれる。これを中国語で鉄飯椀というが、ところがその軍隊に入るためには賄賂が必要である。農村男子で2万元が相場、日本円で32万円くらいだ。


そうやって賄賂を払えた人々は晴れて解放軍兵士となりそこからは昇進するためにまた賄賂を使い出世してそのうち賄賂がもらえる地位に付けると後は「ここほれワンワン」で解放軍入隊の為の募集活動で賄賂を受け取り更に出世していく。


日本では信じられないだろうが中国では軍隊が自分の給与を稼ぐために民間ビジネスを手がける。軍隊が暴力装置を持った状態で民間ビジネスを行い金を稼ぐのは清朝後半の時代からごく普通の事になっている。


要するに自分の金と家族の平和さえ守れればあとはどうでもよいのだ。軍隊は国民を守るためのものではなくて自分の稼ぎを保障するための仕組みでしかないのだ。


そんな軍隊に国民を守る気力があろうか?


「案の定2009年、ソマリアで中国船籍のタンカーが海賊に乗っ取られた。それまでは中国海軍がソマリアに遠征して「15世紀以来の中国海軍の遠征!」とはしゃいで「もしソマリア海賊が中国様の言うことを聞かなければソマリア本土を火の海にする!」くらいの勢いでいたが、中国船籍タンカー「徳新号」が乗っ取られ25名の中国人が拉致されると「えーと、これは各国が共同で解決すべき問題でー、国際協調の中〜」と逃げまくり結局自国民を保護しなかったのだ。その後中国は400万ドルの身代金を払って解放してもらう事になった〜意訳、文責はわれにあり〜」


「同じ頃米国籍タンカーが海賊に襲われ船員の命を守るため米国人船長が自ら人質となった事件がある。すぐさま駆けつけたネイビー・シールズが4人の海賊を相手にその場で3人を射殺し1人を生け捕りにした。米海軍の勇ましさに対して中国海軍は「役立たず」と呼ばざるを得ない」


他にも唐山大地震で何故新築の学校だけが倒壊して多くの子供が亡くなったか、食品偽装、様々な問題を取り上げている。


中国を批判する時にどうしても右か左かでしか語らない人がいるが、中国は広い。中国内でも共産党とそれ以外のグループがあり、共産党内でも常に権力闘争が行われている。中国は一つではないのだ、そこには共産党だけでなく反政府のウイグル族もいればチベット人も、権力に興味のない香港人もいる。そして軍隊もいれば天才的なスポーツ選手もいて、皆考え方が違うのだ。

だから自分で意見を整理する際はたった一つの情報だけで「中国がー」とひとくくりにせず複数の情報源とその信頼度を考えつつ今の中国を自分の頭の中で整理して自分の意見を持たないといけない。

人生は決して簡単ではないし簡単に考えようとする貴方を許してはくれないのだ。
 個人的には「読書」をして知識と教養を鍛えること、これがぼくらに残された唯一人間らしく生きて考える為の手段ではないかと思う。



tom_eastwind at 13:07│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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