2014年03月28日

国籍について 技術論

日本からニュージーランドに移住した人々でも永住権のままNZ国籍を取得しない人は多い。てか殆どではないかな、NZ国籍にしない人が圧倒的に多いと推測する。だって僕の回りにいるNZ在住20年以上の人々でもNZ国籍という話は殆ど聞かないからだ。

 

ニュージーランドの永住権があれば滞在に問題はない、仕事は自由に選べるし子供が地元扱いで学校に行けるし医療も福祉も受けられる。なのでNZではあえて国籍を取る必要がない。

 

そしてもう一つの理由が、これは手続き上の問題というよりも感情的な問題だろう、誰しも自分が日本人でいたいと思うからだ。今元気のよいうちはNZで生活を楽しむけどいずれ体が弱れば日本に帰って先祖の墓に入るって感じではないか。実際にうちのお客様でNZで骨を埋めるという話はまだ聞いたことがない。

 

しかし今後は国籍取得を検討する人が増える、てかNZに移住してくる可能性が非常に高い。それは日本の増税である。日本国籍を保持している限り世界のどこにいても課税するよってなったら?という近い将来の問題だ。

 

ただこういうのは具体的にどうすればよいのか、やったほうが良いのかやらないほうが良いのか、やってしまったらどうなるのか?等など、なかなか人に聞けない話である。

 

そりゃ外務省かどっかに行けばやり方は教えてくれるだろうがそれが自分の生活にどう影響が出るのかまでは教えてくれない。

 

そこで今日は簡単に国籍離脱の話。

 

まず基礎的な知識として日本人=日本国籍ではない。日本人とは一般的に日本で生まれ育ち日本語を母国語とする人々である。国籍が日本である必要はない。感情的に日本人=日本国籍と考えている人もいるだろうがそれは感情論であり技術論ではない。

 

従って日本以外の国で国籍を取りさえすれば離脱が可能である。他国の国籍を取らないままに離脱をすると無国籍になるからどこの国も受け入れはしてくれないのでその時点で例えばNZに住んでいたとしても無国籍者となり発見されしだい追放になる可能性もある。

 

ではまずどうやればNZ国籍を取得出来るか?

 

まず第一に必要なのは永住権を取得すること。永住権を保持したままそこから5年間NZに滞在すること。5年間の総滞在日数が1,350日でありかつ毎年の滞在日数が240日を超すこと。そして所定の審査を受けて問題ないと判断された場合にのみ国籍が発行される。申請書は統一の形式があるけど審査の内容は人によって異なる。

 

またこの担当は移民局ではなく内務省である。Internal Affairsと呼ばれている。オークランドの内務省オフィスはクイーンストリートのすぐ近く。

 

通常は3ヶ月から6ヶ月程度の審査がありその後に内務省から問い合わせがある。例えば僕の場合は内務省に呼び出されて個室で面談を受けた。どうやら英語能力の審査だったようだ。

 

最初に小部屋に入った時はずいぶん厳しい顔をしてた白人のおじさんだったけど最初の5分位話したらあとは雑談である。ジョン・キー首相が頑張ってるよねーとかだ。

 

面談は20分程度で終了した。帰る前に担当官に「で、何か問題ありました?」とそれとなく聞いたら笑って「ははは、全然問題なし!もうすぐ手紙が届くよ」だって。

 

でもって実際にそれから2週間くらいで内務省から弁護士宛に書類が届いた。「おめでとう!あなたは市民権を得ました!つきましては市民権取得セレモニーをするのでx月x日x時にどこそこに来てください」という内容だ。

 

会場は広く一回のセレモニーで200人位集まる。一人ひとり名前を呼ばれると壇上に上がり賞状サイズの賞状みたいな厚紙をもらう。そこには「あんたは国民」と書いてある。これで市民権取得である。

 

後日その紙を持ってもう一度内務省に行き今度はNZ旅券申請を行う。これはわりかし簡単で一週間程度で旅券が発給された。

 

今度はその旅券と日本旅券を持ってオークランド日本領事館に行き窓口で「国籍離脱申請」を行う。これまたあっさりしたもので「あ、そうですか、じゃこことここに署名してください。えっと、旅券はどうしますか?記念でお持ちになりたいのでしたらVOIDの穴を開けてお返ししますけど」と、ごく淡々と手続きは進む。

 

約30分後、穴の空いた日本旅券と穴の空いてないNZ旅券を持って領事館を出る。ほー、これで終わりかって感じだ。けど後日ぼくの本籍のある市役所から戸籍を取り寄せたら、ぼくが手続きをした一週間後くらいの日付で戸籍主である僕の名前の上に「除籍」とはっきり書かれてた。

 

さあ、これで国籍離脱は終了だ。さらば日本国籍よ、である。ただし元日本人は日本国籍は離脱しているが精神的には日本人であり日本人のメンタリティを理解して実行しているからその意味では日本国籍ではないけど日本人である。ジャパニーズキーウィ、日系ニュージーランド人とも呼べる。

 

例えばカナダで生まれ育った日本人を親に持つ子供は自分たちをジャパカナと呼んでおりそれは蔑視する言い方ではない。日系米国人という言葉も同様だ。

 

それよりもどっかの党の議員のように日本国籍を持ちつつ私欲で中国あたりから金を貰ってスパイしているような人間であれば、それが日本人と呼べるのか?そのほうが疑問である。

 

それなら日本国籍を持たずに現地に定住しているけれど世界に誇れる日本人として活動する人間の方がよほど日本人ではないだろうか?ダニエル・イノウエ氏はハワイ移住2世であるが母国である米国のために欧州戦線で戦い祖国である日本人の為に尽くした。

 

話はそれたが、次は子供の話だ。NZの永住権を持つ親がNZで子供を産んだ場合、子供はNZ国籍を取得する。これは病院で出生証明書を発行してくれるからそれを持って政府の登録所に行き両親が共に書類に必要事項を書き込み提出すれば子供がニュージーランド人として登録されて書類がもらえる。

 

さあ次はNZの証明書を持ってお近くの領事館へ。子供が生まれた事を伝えて必要な書類に書き込めば日本の国籍に子供の名前が書き加えられる。ただしこれは出生後一定期間内に行わないと権利喪失する。ぼくの場合クイーンズタウンに住んでいたのでクライストチャーチの領事館に郵送で手続きを行った。

 

さあこれで子供の日本国籍は取得出来たのでこの時点で子供は二重国籍になる。それから親は

国籍離脱をすれば良い。親が国籍離脱をしても子供は日本国籍のままである。父親を戸籍主とする戸籍謄本では父親は除籍しているが子どもたちはそのまま日本国籍を持ち戸籍を保持している。

 

子供は21歳の終わりまでに日本国籍を取得するかNZ国籍を取得するか決める必要がある。日本では二重国籍(正式には重国籍というけど一般的にわかりやすく二重国籍と書いた)がまだ認められてないのだ。ちなみにNZでは二重国籍を認めているのでNZでの法的制限はない。

 

ただ21歳以降もそのまま日本国籍を持ち続けても罰則はないのでカナダや米国で生まれた子どもたちは結構気軽に二重国籍にしている。最近は日本でも二重国籍を認めようと河野太郎議員などが活動している。

 

このあたりでよく言われるのが、一度国籍を離脱するともう日本国籍に戻れないのでは?という質問だが、戻れる。何故なら戸籍に名前が残っているからだ。あまり難しい手続きではない。その代わりNZ国籍を離脱する必要がある。早いとこ日本も重国籍を認めてくれればいいのになー。

 

ということで一連の永住権取得から市民権取得、そして子供の国籍の話でした。



tom_eastwind at 17:20│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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