2014年05月07日

6万ドルで永住権を取る方法

45年前になるのかな、ある若いご夫婦がニュージーランドに移住したいと相談に来られた。当時の主流のビザは技能移民だったが当社では早い時期からビザの取り安さで起業家ビザに着眼していた。

 

当時の移民局としてはリーマン・ショックからの回復の為にニュージーランドで雇用と納税をする移住者を探していた。「探していた」のだ。つまりビザを売っていた。

 

この事は何度書いても書き足りないのだが、日本の常識でニュージーランドのような他国を判断するなって事だ。

 

何かって言うと日本で日本の常識で格好付けの理屈ばかり並べて「べき論」を並べて結果的に何も生まない無駄飯喰らいが偉そうに他国のビジネスのやり方をどーのこーのとぬかすが、知った事か、お前が責任取るのかって感じである。外国知らずが日本の常識で外国を語るバカさ加減は脳内で留めておいてくれって本気で思う。

 

さてっと本題に戻って、NZ移民局の方針は常に国益を考えて永住権の発行をするわけで「売れるならビザでも売る」って決して表に出ない本音の部分があるのだ。

 

日本で移民受け入れが議論されているが、あーいう「べき論」なんてのは書生が自分の思いつきにしがみついて現実を見ようともせず自分の言った事を押し通すだけの書生議論にしか過ぎない。

 

ニュージーランドという人口400万人の小国は書生の机上の空論など語って政治や経済を停滞させる余裕はないのだ。そう言えば昔チャーチルがこんな事を言ったと伝えられている。

 

「人は20代の時に共産主義に目覚めなければ若さの情熱がない。人は30代の時に共産主義を信じていれば、馬鹿である」だったかな、うろ覚えです。

 

しかし意味は同じで現実の生活というものは常につきまとってくるわけで、それを無視してカッコ良い事を言っても無意味どころか後で恥かくぞって話だ。

 

さてこのご家族。技能移民ではどう計算してもポイントが不足して、それに英語力IELTS6.5にはどうしても届かない。そして移住資金があまりない。

 

そこでこの方の経歴を見てみると、おう、一箇所使える経歴と資格があった。当時の起業家ビザ部門は申請数そのものが非常に少なくてかなりルールが曖昧なところもあった。そこで僕は弁護士経由で移民局に話をしてもらいこのような関連性についての意見を聴くと「ああ、それならいいよ」となった。今日では信じられないような緩い時代だったのだ。

 

しかし弛かろうがどうだろうが移民局が認可してくれれば何の問題もない。すぐに申請にかかった。

 

当時の起業家ビザの資金証明は、新しい事業を起こすための資金さえあればよく、またこのアイデアビジネスの場合それほど多額の資金は不要である。そこで彼は当時日本で流行っていた技術を持込みオークランドで実現させる事にした。

 

これが結果的に成功した。起業家ビザが取得出来たのだ。しかし起業家ビザとはあくまでも3年限定のビザであり3年間ビジネスを継続して黒字化させて地元民の雇用も創出しなければならない。(ただし当時は現在よりも基準は低かった)

 

ここからが彼のすごいとことなのだが、何とそのビジネスを拡大するために住宅街の個人住宅を一軒ずつ回ってビラを配り中に人がいればドアをノックして当時はまだあまり上手でなかった英語で一生懸命営業した。

 

見も知らぬ外国でチラシを配り得意でもない言葉で営業するってことの苦しさは僕自身が20数年前から経験した事で、どれだけ苦しいかよく分かる。普通こういう事が出来る人って本当に少ない。

 

そして彼はその努力によって順調に顧客を増やし地元キーウィ従業員を雇用し会社を黒字化して今回の永住権取得につなげたのだ。

 

今はこのビジネスモデルは通らない。第一資金が不足している。3月に発表された新起業家ビザ部門の条件では明確に投資資金と生活資金について基準が出ている。

 

もしこのご家族の移住判断があと3年遅れてたら・・・永住権は取れなかった。これが現実である。

 

判断を後回しにして何か良い事があるのか?また判断を早くして実行してそれでうまくいかなくてもなにか悪いことがあるのか?

 

人生は一回である。人は二回死ぬことはない。ならば生きている内に色んな事に挑戦してみるべきではないか?だって失敗を恐れて何もせず人生の最期に後悔するほうが嫌でしょ。

 

失敗を恐れる日本人の気質は本来の日本人にはないものである。これは政府が学校教育で幼児に教え込んだ後付の気質である。本来の日本人は子供のように何でもやってみて怪我して理解してそれから成長するものである。

 

日本人は細部に拘るし技術力は世界一だ。しかしその為に誰もが自分の得意分野、例えば工業製品とか映像とかフィギアとか徹底的に拘るではないか。そのこだわりの中で作って失敗して恐れるか?作ってとりあえず出来たから売ってしまえってやるか?

 

つまり日本人は本来無理に挑戦して失敗を繰り返して最終的に素晴らしい完成品を作る生来のプロなのだ。そのプロが何故自分の人生をプロのように操らないのか。

 

人生の失敗なんてどれだけ最悪でも一回の死ですべてリセットされる。そして人はいつか死ぬ。ならば何故健康で何でも出来る時に何でもやってみないのか?人生の黄昏になって体中チューブを付けてベッドに寝かせられて「あの時行けば良かった・・・」と後悔しながら人生終わるのか?

 

この方に限らずだが最近は「永住権とれました!」とか「永住権が無制限になりました!」という楽しい話を聞く機会が増えてうれしい。けどそのような方は4年前とか5年前とか早い時期に、まだビザが取得しやすい時期に決断した人々だ。

 

まだ時間はある。あと2年だ。



tom_eastwind at 17:43│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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