2014年07月04日

9月総選挙と移民政策

オークランドに戻ってみるとたった10日間なのに随分不在だったような感じがする。それはやはり去年から続くビザ、特にここ2ヶ月ですべてのビザで問題がものすごく早い勢いで動いてるからだろう。

 

間もなく総選挙で選挙対策として労働党が移民制限を打ち出した。年間純増数を5千人から15千人にと主張している。これは急増する中国人移民がカネにあかせて不動産を買いまくり住宅価格が急上昇したからだと言われている。

 

現在は年間5万人程度の移民を受け入れているがそれは海外転出が約34万人あるからだ。転出先はオーストラリアが最も多くシドニーの人口400万人のうち40万人がキーウィだと言われている。

 

ジョン・キー首相は移民受け入れであるがそれでも総選挙まではあまり声を大にして主張することは選挙政策上好ましくない。

 

そのせいだろう、ビザの発給が急激に厳しくなった。起業家ビザ部門は3月のルール変更で明確になったが今まで取りやすかったワークビザでさえ移民局が突然今までになかったような難癖を付けてきたり同じことを何度も質問してきたり申請後いくら待っても返事がなくて弁護士を通じて質問したら担当者が決まってないとか何度も質問するなって状態。

 

ビザは期限付きのワークビザと無期限の永住権があるが、その両方同時に締め付けが来るなんてぼくの経験する限り初めてだ。去年は起業家ビザに意識を取られてワークビザはあまり気にしてなかった。

 

だが「たかがワークビザ」でここまで厳しくなったのは、

1・経済は非常に活性化しているが世の中の流れについてこれない浮浪者(自己責任なのだけど)が増えたため失業率がなかなか下がらない。

2・ジョンバンクス議員ともう一人の議員がドイツ移民や中国移民から選挙用の裏金や接待を受けた事が立て続けに発覚して国民が移民に対して気分的に嫌になっている。

3・ここ2年くらいでやって来た中国人のあまりの質の低さに中国人に対して拒否反応が出ている。

などなど色々あるが、何せちっちゃな国家なので変化する時はほんとに12ヶ月でそれまでの空気がすぐにガラッと変わる。

 

古い話であるが日本人アナウンサーが子供を産むためだけにクライストチャーチに渡航して国の保険で出産しようとしたら流産した。子供を生む理由はそれまでニュージーランドは出生地主義だったからだ。それだけなら良かったのだがこのアナウンサー、何と流産したことを医師の医療過誤だと裁判所に訴えでたのだ。

 

これには国民も呆れた。人の税金使った挙句に本来の目的外で出産しようとして挙句に裁判だろ!バカヤローって話でその翌月の国会で約100年続いた出生地主義を止めた。

 

それほどにこの国はすぐに法律を変えるし市民の反応はそのまま政府の政策に現れる。

 

だから今は様々な原因が重なってすべてのビザに厳しくなっている。この流れは間違いなく9月の総選挙まで続く。9月までは移民局も牛歩作戦、仕事をのろのろとやって出来るだけ発給数を控えて選挙のネタにされないようにって事だろう。

 

ただ同時に国民党(支持率50%)も労働党(支持率30%)も移民が常に流入し続けることが必要なのは腹の中では分かっている。400万人キーウィだけでは市場も広がらず仕事も増えず働く職業も限定されて世界の中で幸福度上位を維持することは出来ない。

 

それは移民局にしても同様で、世界中から投資家には集まってもらいたい。しかし今は動けない、ここで正論ぶってたらマスコミや反対政党にうまく利用されて選挙対策の生贄にされるだけだ、なのでここは暫く死んだふりしてようって事だ。

 

実際ぼくの次の日本出張はまさに今各メンバーが大車輪でそれぞれの仕事をこなしつつ8月末の投資家向け説明会に向けて動いている。今回は東京のNZ大使館や銀行、NZからは移民局、弁護士事務所、会計事務所などが参加しての投資移住セミナーとなる。政府の本音はこちらなのだ。

 

がしかしクイーンストリートの道端に薄汚いボロ布をまとって朝から酔っ払って転がってる“モノ”も「人間」という名称で呼ばれているために選挙権がある。政府の生活保護を受けて生まれて一度も働かず他人の物をかっぱらいそれを犯罪と理解しない連中にも選挙権がある。

 

これが民主主義なのだから仕方ないって話だけど、個人的に考えれば日本から来て真面目に働こうとしている人々の方が道端で転がってる乞食や泥棒よりもよほどこの国に貢献すると思うのだけど、そんな事を今言っても問題は解決しない。

 

日本から戻ってきてまだたった2日だけどすでに凄い勢いでビザの大波にぶつかってる。だがとにかく今受けている案件をすべて9月まで乗り切り次につなげていくしかない。

 

それでも片方では少しづつはビザが取れ始めているのも事実だ。今日もレストラン部門で申請していたワークビザが結局2ヶ月かからずに発給されたし永住権取得、起業家ビザ発給など動いてはいる。中国からの申請に比較すれば相当に優遇されているのも事実だ。

 

実際日本人は現地に溶け込む速度も貢献度も高いし何より犯罪を犯さない(飲酒運転はよくあるが、あ、あれは犯罪ではない(苦笑)。道路上に仕掛けたネズミ捕りでのスピード違反などありゃ製作原価を考えれば一回作っただけで何百回も使えるので最高に費用対効果の良い自動納税機だ、日本人は真面目だからいつもきちんと期限内に納税するのだ、スピード違反など犯罪ではない、犯罪ってのはスピード違反のチケット受け取りながらゴミ箱に捨てる連中だ!(笑)。

 

いや勿論どちらも犯罪ですよ、やっちゃいけない(笑)、ただ日本人が一番引っ掛かりやすい犯罪はこれくらい可愛いものだって事です。

 

次の日本出張は8月末。東京と大阪でそれぞれ2回づつ開催予定。今回は上記にありますが全部で6つの組織の集まりで投資家向け説明会です。

 

詳細はまた後日ですが、出張から戻ったらすぐに総選挙です。今の勢いなら国家予算黒字化に成功したジョン・キー率いる国民党勝利ですが連立政権になる可能性もあり組んだ相手によって移民政策に変化も出てきます。

 

なのでいつも書くことですが、ビザは取れる時に取る、取ってから考える、が基本。移民政策はものすごい速度で変化するしそれが良い方向にばかり向かうばかりではない、扇風機にぶち撒けられた糞(自分に関係ない災厄)が自分にひっかからないように(とばっちりを防ぐ)するのも大事な生き残り方法です。



tom_eastwind at 14:59│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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