2014年10月21日

またも「出国税(Exit Tax)」について

ちょうどあるお客様から問い合わせがあり税務大学校研究部教授による研究を引っ張りだして話をすることになった。まずは米国の現状である。

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4)出国税等(出国に係る税)の課税等

イ 米国

()旧制度(2008616日以前(5)の国籍離脱・永住権放棄)(内国歳入法877)
 国籍離脱・永住権放棄者が、過去5年間における年間の平均所得金額が一定金額以上(例:2008年は139,000ドル)、正味の財産が200万ドル以上、過去5年間の米国連邦税の納税義務履行について宣誓証明していないことのいずれかに該当すれば、国籍離脱・永住権放棄後10年間にわたり、拡大した国内源泉所得に対してネット・ベースでの累進税率による課税と通常の非居住外国人に対する課税のいずれか大きい方を課税対象とする(非居住外国人として課税)。

()新制度(2008617日以後の国籍離脱・永住権放棄)(内国歳入法877A)
 要件は旧制度と同様であるが、新制度では国籍離脱・永住権放棄する前の日の時価により財産が売却されたものとして、時価評価課税を行う点で大きく異なる。

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そして税務大学教授の意見(結論)が下記である。

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3 結論

 非居住者における居住性の判定(居住者・非居住者の判定)方法については、現行の制度を維持することが適当であると考える。
 国内法又は租税条約の規定により、出国後に株式等の譲渡による所得等が我が国の課税対象から外れることを利用した租税回避は問題であるが、これに対する対応策としては、出国に係る税の導入が効果的である。
 そして、我が国に導入する場合に、租税条約の改訂を行わずに国内法による対応で実施可能であること、出国側の課税と入国側の課税の二重課税の調整を行うこと、「出国税」方式の場合には、未実現段階での課税であることから、一定期間内に譲渡が行われなかったときや価額の下落に対する措置を行うこと及び納税資金に対する手当て等の必要があることを考慮すると、上記の三つの方式が候補として考えられる。
 この場合、いずれの方式でも、上述のとおり、一定の適用除外基準を設けるとともに、執行可能性を高める上述の施策を講じることが適当であると言える。
 また、出国税等については、二重課税の調整等、国際的なルールの構築が必要であり、我が国もそのルールに沿った制度の確立が望ましい。

http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/65/04/

 

とーっても明快で楽しいですね、思わずスキップ♪、だって「出国に係る税の導入が効果的である」なんですから「おい、ここ出て行くんならカネ置いて行きな」である。

 

完璧かつ根本的な間違いは国家と国民の在り方に対する政府側の認識のずれである。まず政府は国民が代行業者として設立したものである。次に政府は国民に委託された作業をする為に最低限必要な費用を請求する。これが税金である。

 

例えば公共の為の道路や橋を作る時を考えてみよう。Aucklandにもう一本橋を架けようって時にウェリントンの国民に「ね、カネ頂戴よ、Aucklandに橋架けるから」って言ったら「あんた馬鹿?ウェリントンだって幹線道路整備必要なのに出来てない、そんな時に何で私に関係ないAucklandの橋のためにあたしがカネ出すのよ?」って話だ。

 

だから全体を調整しつつ今年はAucklandの為にウェリントンの税金使うけど来年はAucklandの税金でウェリントンの幹線道路整備するよ、そうやって調整するのが政府の仕事だ。但しその総原価は常に正当であり支払側である国民に透明でなければいけない。

 

次にサラリーパーソンであるが彼らは常に源泉徴収や所得税という名目で日本なら最高55%課税されている。例えば野球選手が毎年1億円の収入があれば55百万円納税している、わお!である。ところが選手が体を壊して収入がなくなると「何ですか大の大人が生活保護ですか、みっともない」と市役所窓口でお断りである。

 

これが公平かどうかはちっちゃい問題だが、考えてみれば健康で働いてる時は最高税率なのに体を壊して保護申請をすると「働け!」となる。これって公平か?だって生活保護の人々の分も含めて納税してきたのにいざ自分がもらう番になるとNOってか?

 

そして何よりも問題なのは税金の二重課税である。税金というのは本来収入を得た時点で税率が決まり納税すれば後は自由に使える資本主義に基づく仕組みである。ところが日本では相続税や贈与税など、一旦税金を払って自由に使えるはずのお金に再度課税をしている。

 

もしこのような二重課税が認められるようになれば、例えば貴方がNHK見てて徴収員が来て「あ、今年2万円ですねー」って言われて払った翌日にまた次の徴収員が来て「あ、今年2万円ですね^」って言うようなものだ。おいおい、もう払っただろ、何でまたカネ取るんだ!と言うと「あ、法律で決まってますから〜」みたいなもんだ。

 

国際条約において二重課税が発生しないように「二国間租税協定」が存在するわけだが、その租税協定の下位にあたる国内法においては平気で二重課税を行っているのが現在の日本である。それは所得税と相続税であるが、今回はそれを更に広げて出国税を導入しようとしている。

 

一旦この法律が導入されれば相続税対策をいくら考えても意味はない、出国する時点で課税されるのだから出国の意味がなくなる。こういうのを一般的に座して死を待つと言うが、ほんとに死刑場に引き出されて首を切られるのを待つようなものだ。誰か楽しい人、いるか?



tom_eastwind at 18:30│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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