2014年11月14日

不幸自慢


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前回書かせてもらったのは、どちらも自分が譲ったと思っているという視点で、心理学的にも人は他人にしてやったことは忘れないが、してもらったことはすぐに忘れる傾向がありそのままかと思っております。

 

 他人の良いところと悪いところを10個ずつ書けと言われた時に、悪いところはいくらでも書けるのに、良いところはなかなか書けないのと似ている部分もあります。

 

 何かあって誰かが「不幸」だと言い始めた時に、別の人が、そんなことはない「自分の方が不幸だ」と言い始め、最後には不幸自慢になってしまうのと同じ側面もあるのではないでしょうか。

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今日の午後のフライトで日本出張だ。会社には行かずに自宅で少し仕事をしようと思ってパソコンを開くといきなりテキストが飛び込み、また一家族、永住権が取れたとの事。

 

やったね!それと同時にもう一件、ワークビザ2年ものが発給された!

 

これで今週だけでワークビザ2年物が4件、永住権1件だ。まさに選挙の後のパチンコ大開放である。皆さんお待たせしましたー!ただいま開店!って感じ(笑)。そして実はもう一件取れそうな永住権がある。すでに移民局から「この件、もうすぐだよ」ってメールが来てる、やったね!

 

それにしてもビザって申請している限り悩むに決まったものだ。では永住権が取れたら悩みがなくなるのかって言うとそんな事はない。人生は生きてる限り悩みがある。すべての悩みがなくなっても、今度は悩みのないのが悩みですって話になる(苦笑)。チャンドラーの「長いお別れ」の名セリフに「金があるんだ、幸せなんていらないよ」の世界である(苦笑)。

 

だから本来は永住権なんて幸せになる手段の一つにしか過ぎない、取れれば良いし取れなければまたその時に考えればよい、それよりも今日一日を家族と楽しく過ごそう、そう思うことで少しは気が楽になるのだけど、中にはビザを取ることだけが目的になってしまい不安にかられて間違った行動を起こして家族ごとトラブルに巻き込まれることもある。こういうのは僕らが駆け込み寺となっている為によく出てくる案件である。

 

ちょっと古い話で言えば、ある日突然全く知らない人からぼくに電話がかかってきた。相手は僕が本当に相談する相手なのかどうか値踏みしつつ出来るだけ自分の正体を見せず(自分の名前さえ言わない!)に「一般論」として永住権や不動産購入(約3億円)について質問してくる。

 

ぼくは相手がそうであれば「ま、いいや」と思いつつ相手の質問に答えていく。約1時間後、そのご夫婦はお互いにポカーンと顔を見合わせて「何だ、うちが話すべき相手はここだったんだ!」とびっくりする。今まで胸にあったつかえがストンと落ちた顔になる。

 

よくある話だ(苦笑)。この方、うちのサポートで永住権取れて今でも良い付き合いだ。

 

その頃別件でもAuckland20億円の投資案件で日本人不動産屋に騙された案件がありこの時は約3ヶ月かけて絡んだ糸をほぐした事がある。ここも最初は僕を値踏みする作業である。最初は相手の自宅にお伺いしてこれも小出しで情報をもらいつつ頭の中で予想図を描きパズルのピースをはめ込む作業。

 

「この事は事実ですか?推測ですか?事実ならその証拠は何ですか?」と詰めていき、途中何度も絵を描き直しつつ「これじゃ犯人の動機がないじゃんか!?」と思いつつ絶対に予断を許さない状況で最終的にすべてのパズルのピースがハマり「そっか、この不動産屋、為替で勝負に出てたんだ!」って分かり、これで対応が決まった。

 

後は投資家に全体像を「こうだからこうなった」と説明するとこの方も胸のつかえがストンで「分かりました、有難うございます、ここから先は自分でやります」と日本から弁護士連れて来た。この人、行動力抜群だったなーと今でも覚えている。この方もその後うちのサポートで永住権取れて今でも良い付き合いだ。

 

だが、ビザが取れてない人ばかりが集まるとまさに冒頭にコピーした「不幸自慢」が始まる。これが笑い話で終われば良いのだけど中には本気で心配になって自分でドキドキし始めて間違った助言を受けることになる。けど本人からすれば何が事実か分からないから自分が利用されてることも分からずにそっちに走ってしまう。

 

こういうのはぼくらはどうしようもない。おいおい、そこから先は滝ですよ、落ちますよ危ないですよ、そんな事言っても聞く耳持たない。

 

仕方ないな、自分でどぼんと滝壺に落ちて日本に帰るしかないよね、こっちが出来る事はないよなーって感じである。

 

僕に出来る事は僕を信じてついてきてくれる人の為にうちのスタッフ全員で全力でその家族がニュージーランドに合法的に滞在出来るビザを取得することだ。最後まで付き合ってもらったお客様でビザが取れなかった事はない。

 

不幸自慢を楽しんだ挙句に自分が本当に不幸になる人、これは僕には救いようがない。そんな事を考えつつシンガポールに向かう飛行機に乗る。



tom_eastwind at 18:55│Comments(0)TrackBack(0)

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