2014年12月09日

少年よ、大志を抱け

「少年よ、大志を抱け」ってのはクラークさんの言葉だがクラークさん以外でもよく言われている言葉だ。

 

ここで面白い日本語パズルがある。文字の欠けている部分に自分で思いつく文字を入れるパズルだ。

 

「少年よ、大XXXけ」 さあ何入れる?

 

答は「少年よ、大人しく働け」だ。

 

まさに今の世の中をよく表している。冗談が冗談じゃないってのが面白い。まさに今の時代多くの若者は会社やお店の言われるがままに黙って働くしかない。挙句の果てに正社員じゃなかったらいつ「雇い止め」されてもおかしくない状況で、どうやって自分の意見を言えるだろう?黙って働くしかないのである。

 

***

「リスク取れ」「挑戦を」=若手研究者を激励−中村・天野教授が公式会見

 

中村さんは、実用化が困難とされた青色発光ダイオード(LED)の研究を続けることができた理由について「あらゆる問題を解決するのが好き。クイズみたいなものだ」と説明。「重要なのはリスクを取ること。若い科学者がリスクを取らなければ、ブレークスルー(突破)はない」と強調した。天野さんも若者へのメッセージとして「人類に貢献するため、挑戦しようとすることが重要だと訴えたい」と述べた。(2014/12/07-19:10

***

 

君さ、僕の人生が失敗したら責任とってくれるの?リスク取れとか言うけどそれで失敗したら一生立ち直れないような社会システムなのに、一体どうやってリスクを取れって話になるわけ?

 

たまたまあなたは幸運にもノーベル賞取ったからそんな事言えるだけで、世の中にはあなたのような人じゃない人だらけだ。

 

リスク取って転職したら給料下がり、リスク取って起業したけどあっという間に倒産して借金だらけになったり、何とかコンビニフランチャイズの社長になって生き残ってるけど今度は朝から晩まで自分で働くしか無く休みも取れない厳しい管理システムでサラリーマンの方が余程良かったって話だ。

 

日本はその社会制度の中に実に上手く「リスクを取れない仕組み」が組み込まれている。これは江戸時代から続く統治システムであり「百姓は黙って働け、自分で考える必要はない。難しい事はお上が決めるのだからお前は土に向かって黙々と働き年貢を納めれば良いのだ」である。

 

とにかくほんの一部の支配層だけですべて決める。そんな時にリスクを取ってビジネスを起こすような事をされたら困るのは政府である。国家とは国民のために開かれた共同体であるがそれを管理する政府からすれば自分が決めるべきことを国民にリスクを取って決定されたら政府の力が弱くなるわけで、こりゃ困る。

 

だから制度的にリスクを取って失敗したらそれは二度と敗者復活戦のない人生になる、必要に応じて山手線ダイブが必要になるように設計しているのだ。更に凄いのは学校教育の中に徹底して「失敗するな、失敗は大変に悪いことだ」と教えこんでいるから大人になってもほとんど誰もリスクを取ろうとしないのは当然である。失敗は間違いであり悪いことになっているのだ。

 

それでも勿論政府系、つまりお上の下で大人しく言うことを聴いてくれるなら起業してもらってよい。だから口では「起業家支援」とか言いつつも実際は自分たちのお気に入りなら政府補助金だけど言うこと聞かない起業家はどんどん潰していく。

 

「ちゃんとした大人だったら知ってるよね、政府は怖いよ、下手に独立なんてしたら潰されるよ、気をつけてちゃんと政府の言うこと聴くんだよ」って話である。

 

そんな制度の中でリスク取れとか「少年よ、大志を抱け」なんてのはとんちんかんな話であり、その点「少年よ、大人しく働け」これこそが現実をよく伝えている。

 

落ち:ところでこの「少年よ、大志を抱け」はそのままの文意でもう一つ意味がある。はは、お後が宜しいようで(笑)。



tom_eastwind at 19:46│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔