2015年02月24日
イラク!
今日、ジョン・キー首相が国会で物凄い勢いで怒鳴りあげた。
“ゲットサムガッツ!Get some Guts !”
そうとうに怒ってたのだろう、人前でこれだけ大声を出すのはあまり記憶にない。国会で議論するにしても現在は与党と野党が60議席ちょうどなので決議を求めると否決される可能性がある。こんな大事な時に何で国会が反対するんだ、何でもたつくんだ、自分の気持ちが何で君らに伝わらないんだ、そんな怒りが彼を怒鳴らせたのだろう。
ニュージーランドもいよいよISIS国に対する「イラク義勇軍」に参加する方向で検討に入った。NZでは元々国連主導でなければ動かなかったのだが、今回はすでに多くの人質を残虐なやり方で殺しているわけでこれは国対国の戦いではない、単なる人殺しである。
中東にいるテロリストを叩き潰すのだ、つまり戦争ではない。例えば中東の石油を運ぶ輸送船を守るために各国海軍が護衛してソマリアの海賊を叩くのと同じ理屈である。
NZでは今まで何度も書いたが英国連邦の中で最も人種差別の少ない国でありイスラム圏からも多くの人々が移住しているが、99%のイスラミックはキーウィ社会に溶け込んで生活をしている。だから彼らイスラミックは今回のISISに対して怒りキーウィに対して胸を痛めているがキーウィが平和に住んでいるイスラミックに何かをすることはないと信じている。
何よりも良いのは、隣国の豪州のように単に受け入れて後は放置ではなく地域住民の助け合いがあることだろう。だからこそ豪州のように貧しい地位に置かれたまま格差が固定化してそれが既存権力へのテロに向かうことがない。
ただ今回の一連の動きをよく観ると、そこにはジョン・キーならではの駆け引きがある。イラクに遠征すると言いつつ実際に送る場所はイラク軍訓練キャンプであり人数もSAS(空挺団)16名(現時点)。つまりアフガニスタン国連軍のように戦場に出て戦い戦死者を出すというビジネスモデルでないことだ。
この形であれば欧米に対しては「ちゃんと旗を見せたよ」と言えるしNZに対しては「少人数、あくまでゴロツキ退治」と言える。NZに住むイスラミックも納得出来る数だろう。
勿論これが今後どうなるのかは相手(IS)次第であるが、少なくともジョン・キー首相の判断では、ここで派遣した方が国益と判断したのだろう。明日から実務が始まる。