2015年03月22日

お問い合わせ

内閣府のアンケート調査によると約3割の人が日本の政府財政及び物価について景気が悪くなっているとのこと。その後に「リーマンショックの時よりまし」などと書かれているがアベノミクスがトリクルダウン効果で一般市民にまで到達していないのか、それとも元々偽薬だったのが次第に国民にも分かり始めたのか。

日本がやるべきことは構造改革であるが利権構造の複雑さになかなか切り込めず政府春闘でお茶を濁している。結局政治家は票が必要であり政治団体に弱い。こういう点だけは中国のような独裁国家の方が羨ましく思えてくるから皮肉なものである(苦笑)。けどまあ「こういう点」以外は日本の方が圧倒的に良いのが救いか(笑笑)。

ところで昨日書いたブログは三段重ねにしておいてまくら二つ並べてオチは三の膳のつもりだったが何故かまくらの一の膳に皆さん興味を持ったようだ。昨晩あちこちから問い合わせを頂いた。

 

そう言えばすでに先週から当社の既存顧客ではない方からの問い合わせが急に増えている。その内容がどうも「ニュージーランドに口座を開いて今までは普通に放置してたけど、最近規則がどんどん変わってるからどこに聞けば良いのだろう?」という感じの「腰の引けた」問い合わせである。

 

例えば共同名義口座。複数人、主に夫婦が一つの口座に連名で入ってる。この場合NZでは財産はそれぞれが50%と看做されるのか?という質問だが、多分本当に聴きたいのはもう少し違うのだろう。日本で国外財産調書を作成するにあたりこの口座のお金は夫婦で半分づつ持ってることにすればそれぞれ5千万円にはならないから申告不要だよね、って為の背景作り、かな(笑)。

 

この答はNZではひとつの財産と看做される、である。但し注意する点は日本側でありその資産形成の経緯によっては生前贈与と看做される可能性がある。最高55%の贈与税と加算税の可能性が高い。

 

面白いのは口座開設をしたのは良いけどキーウィの英語があまりよく聞き取れず適当に答えてたら自分の金利に対する税金が33%になってた、非居住者はもっと安い筈では?である。

 

おそらく銀行は間違ってない、これはあなたが口座開設する際に書類上で非居住者と答える必要があるのだ。おそらくあなたが開設の際にその手続をせずにいたから居住者向けの高い税率になっているのだ。

 

しかしこの案件の注意点は日本での納税義務、つまりちゃんと今まで確定申告時に利子を申告提出しているかである。利息は租税協定によって相殺されるが日本側では源泉分離課税が適用されないのでご本人の年間所得次第で最高55%の所得税が適用される。

 

特に「じゃあこれから申告しよう」ってのは良いが、「では過去7年間の納税はしてましたか?」と日本側で聴かれる。今まできちんと申告していたら良いがおそらく33%の課税を今まで知らなかったのだから申告はしていないだろう。

 

要するに今まであまり何も考えずにとりあえず海外に口座を作っていくらかお金を置いてたらこの一年の税制改正であっという間にその資金が日本の税法上あなたの大きな問題になったということだ。

 

実はあまり知られてないが去年は「海外口座閉鎖ツアー」が多かった。銀行の担当者が「何なんだろう?」と僕に聴いてきたほどだ。原因は分かっている。顧問税理士はすでに今年から始まる「5000万円を超える海外資産の把握」を知っていたから自分の顧問企業の社長に注意を促したのだ。

 

昔海外旅行に行ったついでに口座開設をしておこうとか、数年前まで人気だった口座開設ツアーでやって来てあまり何も考えずに口座を開設した。

 

それは良いものの、去年それぞれの担当税理士に「社長、もしかして海外に口座持ってませんか?」と聴かれて「あ、あるけど」と答えると「すぐに閉鎖しなさい、でないと来年の法改正で大変な事になりますよ!」と注意されて、忙しい時間を割いてNZまでやって来て口座閉鎖をした。

 

勿論こんな事は他人に言えないので「ちょっと休暇で海外旅行・・」と言って出かけるので普通には目立たない。てか目立てない動きがあった。今年はまさにそれが現実化したという事だろう。




tom_eastwind at 11:36│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔