2015年05月06日

フロアホッピング

習近平による虎狩りとキツネ狩りの話は先日書いたが、普通の日本人からすれば理解不能だろうが中国内では反腐敗対策に強硬に抵抗するグループがすでに習近平主席を2回暗殺しようとした未遂事件が起こっており、米国に逃げた大狐である令完成などは米国から引き釣り出すために習近平がオバマと会った際にオバマが直接引き渡しに応じた程だ。

 

その影響であろうがオークランドで当社が入居するビルでは今フロアホッピングをよく見かける。

 

NZではグランドフロアは日本風で言う一階で日本で言う二階の事を一階と呼ぶ。エレベーターのボタンの一番上が十階なので日本的には11階建てのビルであるが、僕が入居した15年前は大きなビルの中に日系と言えば当社とあと一社だけ、留学関連はアジア系すべて含めても当社のみだった。

 

それがここ5年で急激に中韓移住留学エージェント(中7韓3)が増えてビル全体がまるで移住ビルか?ってくらい印象が変わっている。昔は中韓エージェントと言えばクイーンストリートでも300番地より上で顧客からすれば「遠くて分かりにくくて不便」であった。

 

ところが当時中韓エージェントは1階にスターバックスの入ってる街の中心部のビルにアジア人が入っていくのを見かけた。「あれ?日本人?」よく見るとそこに当社の看板がかかっている。

 

彼らが知り合いの弁護士に聴くと「ああ、あれね、日本人エージェントだ、うちにもよく仕事回してくれるよ」

 

考えてみれば家賃だって今の場所の2倍するわけじゃない、だったらってんである一社が飛び出してこのビルに入居したところその会社大繁盛。それを見た他のエージェントも堰を雪崩打ったように入居してきてあっという間にエージェントビルになった(苦笑)。こういうのを英語でLocation, Location, Locationという。一にも二にも場所なのだ。

 

このビルはオーナーの白人おじさんがのんびりとした良い人で時々話をするが現時点では当社がこのビルのテナントとして15年と長く、ビルの清潔管理にもお互いに協力して来た関係もあり仲が良い。彼からすれば当社が入居している事でテナントが増えたんだから有難い話である。

 

ただ僕からすればあまり好ましくない。何故なら中韓エージェントが入居し始めてからエレベーター内にゴミが落ちてたりリフトの中でも大声で電話してたりと、ビルの品格が落ちた気がする。

 

けどまあそれは今日の本題ではない、中国人がやってるフロアホッピング、つまりエージェント巡りである。普通はビルのG階から目的階まで上って用事が終われば反対に降りてくるだけなのだが最近目立つのが例えば上りエレベーターに2階から乗り込み4階で降りる、みたいなパターンである。

 

見かけはまさに大陸中国人、彼らがビルの中をあちこち行くってのは要するに幾つものエージェントを訪問しているって事だ。何とか中国から逃げ出してビザの取りやすいニュージーランドにやって来た。エージェントから松竹梅で投資家プラス、投資家2,起業家と提案されて一番安い梅を選んで挙句に移民局から切り捨てられてエージェントに払った手数料だけ損をした。

 

こりゃまずいってんで投資家2に行くかワークビザで行くかを検討するのだけど、ここでもまた小銭の節約、1ドルでも安い方を選ぼうとしていろんなエージェントを回るので結果的にビルの中のエージェントを行ったり来たりとなる。

 

「看前(カンチェン)」という言葉がある。中国共産党が躍進して良い国を作るために後ろを振り向かず前を向いて歩こうって意味だが、これがいつの間にか「看銭(カンチェン)」、カネを向いて歩こうって変わったのは文化大革命終了後10年くらいしてからだった。

 

無知蒙昧で暴力行為のみを得意とする地域共産党幹部が農民が使用していた土地を収奪して工業団地にして外国企業に売却してそのカネで外国に逃げる。しかし基本的にバカであるから目先のことしか理解出来ない。だからビザもうまく取れない。

 

今までは逃げた先でビザが取れたがここ数年急激に条件が厳しくなっており値切って申請して結果的にビザが取れない「ビザ難民」が約1千組、いまオークランドにいる。

 

しかし今に至って習近平のキツネ狩りに危機感を持ったイナゴ集団は、いよいよ本格的にビザを取得する努力が必要となる。そりゃそうだ、ビザがあればまだしもビザがなければ中国に送還されてそのまま刑務所、下手すりゃ死刑である。笑い事ではないんだから誰も一生懸命である。

 

だからいろんなエージェントを回って話を聴き自分がどうすべきかを考える。ではここで考えてみよう、何故彼らは直接弁護士に聴かないのか?これは日本で結婚式場を選ぶのに直接結婚式場を訪問しても、どこも良い事しか言わないのと同じ理屈だ。だから結婚式場紹介ビジネスが成立するのだ。

 

中国エージェントも同様に顧客の希望を聴いた上で自社でコンサルやるか適切な弁護士に依頼するか、少なくとも顧客よりも多くの知識を持っているから顧客よりはましな判断ができる。勿論最終決定するのは顧客なので、だからいろんな話を聴くためにこのビル内でフロアホッピングをするって事になる。

 

今日もこのビルでホッピングやってる人々を見ながら中国のこんな話を思い出した。「ある時死刑囚が死刑場に引き釣りだされる為に往来の道を歩かされた。死刑囚を見守る道行く人々。そこで死刑囚が大声で言った、“おい、おれの肉を買わないか、安くするぜー”」



tom_eastwind at 17:50│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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