2015年06月05日

天気予報

今週のオークランドはずっと雨続きで毎年冬の入り口に差し掛かった天気だ。天気予報がよく外れる時期でもある。だからと言って普段から天気予報が当たるわけではない。普段でも成功確率40%いかないのではないか(苦笑)。

 

第一ふざけた開き直ったような天気予報がよくある。それはお天気おじさんが満面の笑顔で「明日は晴と曇、そうでなければ雨でしょう」だ。そりゃどれか当たるわな。この3つ以外にどんな天気があるのだ。

 

今日は晴のち曇だったけど昼ごろから強い雨でさすがのキーウィも傘さすかってくらいだけど、やはり傘なしで歩いてるキーウィの方が多いな(笑)。

 

この国の良い点の1つは空気が徹底的に澄んでおり雨ってのは単に蒸留水をかけられてるようなものだから日本のように「あら大変!洗濯物取り込まなきゃ!」がない。雨が降っても干しっぱなし、自然のリンスである(笑)。これは大気と水の循環=海→雲→雨→大地→森→川→海の循環の中でどこにも公害や汚い要素がないからだ。

 

日本にいるとよく聴かれる変な質問が「ニュージーランドの天気はどうですか?」である。逆に聴きたい「日本の天気はどうですか?」

 

何せNZと言っても北端から最南端まで約2千キロあり、僕の住むオークランドは南緯37度で長野、群馬、新潟あたりだ。けれど雪は降らない。南太平洋の暖流とタスマン海の暖流に挟まれたサンドイッチ状態にあるからだ。

 

南島の下の方にあるクイーンズタウンは南緯45度で旭川よりも寒い位置にある。夏でも日陰に入ると涼しくて6月後半から9月後半までスキー場がオープンする。

 

これだけ南北に長くおまけに南島にはサザンアルプスという日本アルプスのような山脈を抱えておりこの山の東と西では全く天候が違う。

 

だから日本の天候はどうですか?と聴かれて「それって沖縄の事ですか旭川の事ですか?」と聞き返すようなものだ。2月の沖縄は海開きさえ可能なのにその時期の北海道はスキーシーズンだからだ。

 

なので質問をする時は自分が何を聴いているのかよく理解する必要がある。逆に言えば「知らないことは聴くな」である。日本の事を何も知らないキーウィに「2月の群馬や新潟は暖かくて花が咲いてますよ」と騙されても分からないようなものだ(苦笑)。

 

天気予報とは関係ないが今日はニュージーランドの有限責任組合(Limited Partnership)に関する勉強会。移住チームスタッフ8名は情報のファイル共有をしているがどんな情報でも常に変化しているし中には「あ、あったしー、そっれー、聴いてないし〜!」というのが出てくる。

 

ましてや通常の株式会社と違う有限責任組合への投資形式はLook Through Companyの扱いになるので個人の税務処理が異なる。なので全員で認識を共有するための勉強会だ。Tax Creditの利用方法とかは節税対策にもなる。

 

他にも日本に存在しない家族信託制度がある。ニュージーランドでは相続税がかからないと言うのは少し正確ではない。元々贈与税(Gift Duty)は存在したがそれが3年前?かな廃止されたが、それまでは贈与した場合は税金があった。この贈与税を発生させないのが家族信託会社の設立であった。

 

今では贈与税が廃止されたがそれでも家族信託が役立つのは直系家族にのみ無税でお金を遺せる制度だからだ。例えばあなたが子どもに100万円を贈与して子どもがそれを貯金してその後結婚して離婚したら50万円を相手に持っていかれる。

 

日本では離婚は有責主義であるがNZでは破綻主義、つまり愛がなくなれば離婚出来てその際の財産は半分こにされる。誰が財産作ったかなんてあまり関係ないのだ。

 

でもって親からすれば自分の子どもにあげた積りなのにバカパートナーが離婚して半分持って行かれたら腹が立つ。そこで資産を家族信託という壺に入れておいて娘が離婚しようがこの壺の中の資産はあたしのものでもあるから血のつながってない他人には持って行かせないという効果が出るのだ。

 

こういう、日本とNZの法律の違いはほんとに現場でやってないと分からない。日本人弁護士がどれだけ英語が出来て概念が理解出来てもそれがどう構築されてどう運用されて最終的に誰が決定権持つのかなんて細部の現場の事は分からない。

 

そしてこういうのって「命は細部に宿る」であり実際の案件をどれだけこなしたかでその人の実務知識が決定される。簡単に言えば射撃場で銃を構えて引き金を引けば誰でも銃は撃てるが、弾が命中するかどうかは別問題という事だ。

 

だもんで僕らは定期的に勉強会やって最新で正確な情報を共有して自分が担当する案件ならこうなるだろうと「明日の天気」を予測する。空の代わりに問い合わせ案件を「この案件の場合、雨が降るな」ってのがこういう勉強会と情報共有と経験で分かる、それも土砂降りなのか小雨なのか。

 

なので案件の行く先を見据えた上で山岳ガイドのように転ばぬ先の杖でお客様に助言を行う。これが僕らの天気予報、信じて最後まで付いて来てくれた人は必ず全員目的地まで安全にご案内しています(笑)。



tom_eastwind at 21:15│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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