2015年06月25日

国籍離脱

国という字を分解すると玉を四方の壁が守っている形になる。国とは元々王様を守る為の組織だったのかもしれない。

 

ニュージーランド国籍を取りたいという日本人が最近増えている。一般論としてこの場合NZ国籍を取得してもNZの法律では重国籍を認めているので問題はないが日本の法律では重国籍を認めていないので、日本国籍を離脱することを要求される。

 

但し現時点では罰則はないのでカナダあたりでは明治から大正時代に両親がカナダに移住して永住権を取得した日本人の子どもがカナダに生まれた場合二重国籍になり21歳過ぎても日本国籍を離脱していない子もたくさん見かけた。

 

彼らはカナダを出国する時はカナダ旅券、日本に入国する時は日本旅券、日本を出る時は日本旅券、カナダに入国する時はカナダ旅券を使う。

 

こうやるとパスポートの入出国記録を見れば二重国籍であるのが分かるのだが現時点では日本の空港の担当官はとくに問題としていない。

 

しかし現在ニュージーランドの国籍=市民権を取得したいというのはこういう子どもたちの話ではなくNZの国籍を取得して日本国籍から離脱するという話である。

 

では日本国籍離脱とは一体何だろうか?それは日本国籍保持者が日本国憲法第22条によって保障された権利の行使である。「何人も外国に移住し、又は自由に国籍を離脱する自由を冒されない」。離脱するぞと主張する人を止めるものは何もない。

 

ただしここには1つの例外がある。それは「唯一権利の行使によってその者が無国籍者になることを除いてである」という憲法解釈だ。

 

ところが若手憲法学者の中には無国籍を捉えて「それはおかしい、無国籍者になることを止める条項は存在しないしここは素直に憲法の条文を重視すべきでは」という認識がある。

 

確かに憲法の条文だけを見れば若手学者の言うことが正しいような気もするが、ここに民主主義の時代の変遷がある。

 

ソクラテスが「悪法でも法は法なり」と言って毒を飲んで死んだ事件がある。この時ソクラテスの擁護者は檻に来て「こんな法律はおかしい、逃げましょう」と訴えた。

 

するとソクラテスは「私は今までこの国の法律で生命と財産を守られてきた。都合の良い時だけこの国の法律の権利を行使しておいて裁かれる時になると逃げるというのでは法律のつまみ食いである。法律はすべてを1つとして運用せねばならず私が今都合が悪いからと逃げるのはまさにつまみ食いである」と言って毒を飲んで死んだ。(何の毒なのかほんとに毒だったのかもしかしたら言いたいこと言って実は逃げてたのかもしれないが、この議論の場合そこは枝葉末節どうでもよい)。

 

実は当時ソクラテスが所属していた国家アテネでも現在の日本国憲法と同様に「お前が嫌なら何時でも出て行け」という決まりがあった。つまり国籍離脱の自由である。そして無国籍者になろうとどうしようと関係なかった。

 

何故なら当時の欧州はまだ多くの地域が未開でありバルカン半島の山の中で猟師やってもハンガリー平原で農業やっても良い、要するに国家に所属しない土地がたくさんあった。だから無国籍者であることは単純に「自分の命は自分で守る、その代わり誰の指示にも従わない」だけである。

 

ところが21世紀の現代になって現実問題として日本居住者が日本国籍を離脱したらその者は不法滞在となる。当然出て行ってもらうのだが、どこへ?いまどきの世界はすべてどこかの国に所属しており他国が受け入れる際はビザを発行するのだが本人に国籍がない以上ビザの発行が出来ない。入国の際に旅券もない。

 

では難民として受け入れるか?現実その人間は難民ではない。第一一旦受け入れてしまうと他の国に追い出すことが出来ない。なので現実としてはどの国も受け入れないという結果になることが十分に予想される。

 

かと言って日本が不法滞在者を容認するわけにはいかない。短期滞在ビザなら発行出来ても永住権は国籍捨てた人間に発行するには論理的矛盾が出てくる。従って国籍離脱も完全に自由ではないのであるという理屈だ。

 

現実の問題としてNZで何らかの長期滞在資格を得ている人々はいつでも国籍離脱は可能である。

 

但し、人によってはとっとと離脱したほうが良いケースもある。これは日本の税法の問題である。今の日本の税法は毎年変わる。今年まではOKだった案件でも来年になると「日本国籍保持者は世界中どこにいても」なーんてルールに変わってしまえばもう遅い。なのでこの場合は常に一年後の法改正を見据えつつ離脱の時期を図ることになる。

 

国籍離脱に関してよくある質問が「一度離脱したらもう日本の国籍は取れないのか?」である。これは外国人が日本に帰化して日本国籍を取得するのと同様の手続きであり、取得要件を満たしていれば取得出来る。

 

例えば親が国籍離脱をしてNZ人になってNZで子供が生まれた場合子供に日本の国籍はない。しかしその子はキーウィとして日本の帰化申請は出来る。通るかどうかは日本国の判断であるが。

ちなみに言っておくと日本人であるって事と日本国籍があるってのは別問題である。ぼくはすでに日本国籍を離脱しておりジャパニーズキーウィであるが心は今も日本人であり子供に要求する道徳も日本人としてのレベルを要求している。 



tom_eastwind at 17:33│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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