2015年07月14日

帰米組

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時事通信社は13日、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てに使う土砂の県外からの搬入を規制する県条例が成立したことを巡り、同社記者が菅義偉官房長官の記者会見で不適切な質問をしたとして、記者を注意したと明らかにした。

 記者は会見で「国としてもある意味見限ってもいいような気がするが、その辺はいかがでしょうか」などと質問。菅氏は「沖縄の発展は日本の発展にとっても極めて大事だ。できる限り沖縄県と話し合いながら進めていきたい」と回答した。〔共同〕

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こういうのは「やらせ」というのかもしれない。予め政府側が記者に「こんな質問してね」と伝えて質問が出るとすかさず「極めて大事。出来る限り〜」のくだりが本心であろう。つまり「出来る限り」話し合いはするけど「出来なかったら」強制執行ですよって事を匂わせたかったのだろう。

 

ただこれで時事通信社の上司が官房長官の忖度をしたのかそれともこれも予めの政府からの指示だったのか分からないが、記者を注意した事は悪い先例になり、まずい。他の場所でも使われるようになるし、こういう行動は広がりやすい。空気読めって事になるからだ。これはメディアが自ら手足を縛ることになる。

 

マスコミが第四の権力と呼ばれるようにそれなりに知識と慧眼を持つことは要求されるが同時に権力チェックをするのも仕事の1つである。また記事の発言内容を見る限り「そういう意見もありでしょ」である。

 

なのに記者発言に対して上司が「注意」してしまえばサラリーマンである彼らは今後記者会見で聴く内容を事前に上司に確認して「聴いて良い範囲」を自分で忖度してしまい、これは最終的に戦前戦中の「大本営発表」となってしまう。

 

大本営発表では戦時中に多くのデマが流された。負けた作戦の発表や話は一切せず勝った戦いの記事だけ書き、戦争後半は負け戦ばかりになったのでありもしない戦闘を書いて日本軍が勝った!とやってた。

 

現実にはガダルカナルで大損害を受けて撤退、インパール作戦でもアラカン山脈に多くの仲間の死体を残したまま撤退。どちらも数万人の死者を出して、その多くは餓死者だった。

 

それでも大本営発表は「勝った勝った!」と騒ぎそれに乗っかった朝日新聞あたりが大本営が喜ぶような記事ばかり書いて国民を騙し続けた、悲惨な敗戦の朝まで。

 

前回日本で購入したDVD442部隊物語」の第二弾を観た。二世と帰米へのインタビューと当時の資料で構成されている。この映画を作成した時点ではダニエル・イノウエはまだ生きていた。

 

帰米組とは二世とは少し違う。米国に生まれたが戦前日本に親と一緒に戻り地元の学校で同じクラスの子どもたちと日本語で授業を受けて日本語、特に漢字を勉強した。日本に帰国した当初は日本語が分からずに苦労したそうだ。

 

沖縄戦では「442部隊物語」の生き残りの「帰米組」の側から米軍が撮ったフィルムや当時の新聞やニュースを観ることが出来る。

 

帰米組は沖縄出身者が多く、彼らは主に米軍通訳として働いたが防空壕に隠れている日本人を何としてでも助けるべく精一杯通訳して米軍は鬼畜ではない、降伏すれば食料も安全も確保されることを拡声器を使って説明した。

 

当時防空壕に隠れていた日本人グループは「え?日本語が聴こえるぞ、誰だあれは?」という事になった。そのうち拡声器の話を信じるようになり(当然だ、残留すれば餓死だ)そのうち防空壕から出てきた人々が目の前に立っている日本人の顔を見つめた。何だか見たことあるような・・・。

 

すると帰米日本人は破顔して「おい、お前は俺と同じクラスだったろ、もう忘れたのか!」そう、この帰米日本人はまさに沖縄のこの村出身の兵士だったのだ。

 

沖縄では兄弟同士が戦ったこともあった。そして終戦。帰米組である部隊から見た戦後の沖縄がよく分かる。沖縄にとって一体どちらが本当の味方だったのか、よく分かる。

 

東京では偉そうな連中が沖縄戦で兵士を見殺しにして「最後の一兵まで戦え!」とか民間人には「鬼畜米英に捕まるくらいなら死ね!」と叫び自分たちは後方でぬくぬくと過ごしていた。

 

皮肉な笑い話がある。実は沖縄戦で捕虜になった日本兵は多い。彼らは最初捕虜になるくらいなら自殺しようとしたが結果的に捕虜になった。

 

そして帰米組が日本語で「タバコ吸うかい、少しゆっくりしろよ、君の戦争はもう終わったんだ」と話しだす。最初は頑なだった彼らも次第に気を許して、そうなると日本軍の配置や装備や食料、指揮系統など情報をどんどん話しだしたのだ。

 

そう、帝国陸軍は「捕虜になるな!」とだけ教えて「捕虜になった場合」の対応を全く教えてなかった。だから日本兵は捕虜になると何でも喋りこれが対日本戦の情報として非常に役立ったのだ。帰米組の情報収集と通訳というその活躍で対日戦を1年短くすることが出来たとは当時の米軍トップの発言である。

 

ちなみに米軍は捕虜になることを前提に兵隊教育をしているから捕虜になったら自分の名前、階級、所属部隊しか言わない。

 

この事実は現在も同様で日本政府は「原発は絶対安全!」とだけ叫び続け実際に原発が水素爆発を起こした時は誰も対処のしようが分からず逃げ惑い、それが今も続いている。

 

つまり日本の支配階級の発想は戦前から戦後まで何も変わっていない。「民は由らしむべし知らしむべからず」で大本営発表や安全神話などの嘘をつきまくって平気である。何故なら民はバカだから俺達が指導しなくてはならんという強い使命感があるからだ。全く要らん世話であるが(苦笑)。

 

帰米組は正しい情報で多くの人々の命を救った。それに対してこれからマスコミはますます政府寄りになり大本営発表が急増する。

 

日本を支配する民衆は60歳以上の人々であり彼らは新聞記事とテレビニュースだけですべてを判断する。ネットなど見ない。そこで政府が言論弾圧をやってもそれは民衆には分からない。またメディア自体が政府の意向を忖度して記事が偏向されても、これもやはり民衆には分からない。

 

だって60歳以上の多くの民衆が沖縄の現実を知るために普天間基地を訪問するわけではなく辺野古の自然を観ることなくひたすら自宅で夏はクーラーに当たり冬はこたつにまるまって朝からテレビ付けて新聞読んでるだけなのだから日本の支配層である60代以上の人々の言論統制はとても簡単だ。だってテレビや新聞で書いてないことは「起こってない事」なのだから。



tom_eastwind at 13:32│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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