2015年08月29日

米中+日

***

【北京=永井央紀】中国の習近平国家主席は28日、9月の米中首脳会談の準備のため訪中したライス米大統領補佐官と北京市内で会談した。習氏は米中関係について「お互いの核心的利益を尊重し、相違点の縮小に努めるべきだ」と述べ、米国に渡った中国の汚職官僚の引き渡しや南シナ海、サイバー攻撃などの懸案をけん制した。

 ライス氏は外交担当の楊潔篪国務委員(副首相級)、中国軍制服組トップの范長龍中央軍事委員会副主席とも会談した。

***

 

この記事の中で明確なのは米中共に利害関係が複雑に絡まっているが、お互いに「戦争するよりビジネスだ」って発想に変わりはない。オバマ大統領は米国制服組の挑発を避けながら米中関係を戦争の出来ない状態に持ち込みたいのだろう。

 

ただ、南シナ海、サイバー攻撃については米国が放っておくと中国がどんどん進出してくるので今回の訪問で軍制服組へ「あんた、ここまでよ」とメッセージを発信して反応を見ているのかもしれない。

 

それから興味深いのは米国に逃げた汚職官僚への虎叩きである。令兄弟が一人米国にいてこいつが習近平と王岐山の汚職の証拠を握ってて、これをばらされるとやばい。じゃ米国にいる間に暗殺って事になるが米国だってそりゃ嫌だ。

 

だったら中国に送還しろよ、他の連中もまとめて。その代わり彼らの米国の財産の半分はそちらで取っていいぜ。その代わり情報暴露はさせるなよ。このあたりは習近平が暗殺されるか情報を押さえ込めるか、本当に命の取り合いの駆け引きである。習近平、飯が喉を通るのか(苦笑)。

 

いずれにしても日本の頭越しに様々な国際情勢が決まり日本は米国の要請を受けて軍事行動を取ることになる。何せ日本は戦後一貫して対米従属政策であった。

 

米国からすれば日本を味方にしておけば中国の真正面に沈まぬ大型空母を配置しているようなものだ。いつでも中国大陸に戦闘機や爆撃機を飛ばせる。また海洋進出にしても日本列島がある限り一定の歯止めがかかる。

 

実は戦後の日本が中国に近づいて共同でアジアの指導者になるなんて話もあったがそのような筋書きはすべて米国政府が直接又は日本の外務省が忖度して潰してきた。もし中国と日本がアジアの指導者になってたらその時は日本列島が西太平洋に向けた不沈空母になっていただろう。

 

どれくらい前かな、世界の三極化の中で米国は日本を中国に押しやろうと考えてたふしがある。勿論米国内にあるたくさんの意見の一つであるが、米州、欧州、アジアと地理的に分けて考えれば日本はもう「あっち行って良し」とも言える。

 

結果的に日本を米国に従属させる事で正解だったのは今の中国の海洋進出などを見たらよく分かる。日本は見事に不沈空母の役目を果たしている。言葉を変えれば敵国に向いた最前線である。何かあればまず日本及びその近海が舞台となるだろう。米国に行き「日本は不沈空母だ!」と語った中曽根大勲位バンザーイである(苦笑)。

 

いずれにしても日本国内では国立競技場をいくらで作るとかやってるが、あれは安保法案がネタにならないようにっての目眩ましだ。競技場程度のカネ、米軍に毎年払っている「思いやり予算」からすればどうって事ない額である。安保法制から目をそらさせるのは、今回は米国の指示により「とっととやれ」と「お願い」されてるからだ。

 

南シナ海に中国が軍事基地を作り既成事実にしてしまうとこの地域は米国の負けになる。なので何かあればすぐに動きたい。フィリピン海軍に力はない。そうなると極東の海洋大国である日本がすぐに出動出来る体制が必要だ。ところが現在の個別安全保障では駆け付け警護が出来ない。だから中国が本格的に海洋進出する前に安保法制をやっておけってのが「お願い」である。

 

勿論米国だけでも十分に強いがそこにフィリピン海軍、日本自衛隊が参加すれば世界から見れば「悪いのは中国」と見える。南シナ海を米国が守り東シナ海を日本が守り封じ込めるのは今が「時機」である。

 

ただそれはあくまでも米中が全面戦争をしない為の限定行動でありこれによってお互いの距離感を狭めていき落とし所を見つけて戦闘が終了すればまたビジネスに戻るのだ。

 

歴史を振り返ってみれば、米国からすれば中国は巨大市場であり1800年代から眠れる龍を相手に稼ごうと考えてた。何せ兄貴格である英国は中国人にアヘンを売りつけ大儲けしておまけに戦争で香港と九龍半島を植民地にして中国から掻っ払ったわけだ、おれも何か出来るだろうって事で長期にわたって狙ってた。

 

だから中国の清朝が倒れて孫文が出てきて、けど袁世凱が邪魔してついに無政府状態になった1900年代初頭から中国は世界の列強の草刈り場になっていった。

 

この当時日本政府は軍事的には列強であり各国に対して堂々と発言出来る立場であった。

 

ところが政治的にはアジア全体をどうするかという長期的視点を政府として一つにまとめることが出来ない。日本政府としては自国が忙しい、玄洋社の頭山満からすれば五国協和、大東亜共栄圏を目指してアジアの独立を勝ち取りたい、じゃあいいや、足して二で割ってこの案件は先送り(笑)。戦前も戦後も日本人は日本人だ。

 

米国にとって大恐慌が起こった後に経済回復を必要としたから軍需産業に武器を作って日本相手に戦争を仕掛けた。欧州でもドイツとイタリア相手に戦争仕掛けた。当時大量に作った米軍のM1—ガーランドライフルは今も優秀な武器である。

 

第二次世界大戦に勝利した米国は日本に駐留軍を置き、さあ次は中国とどう対応していくかって時に蒋介石が毛沢東に負けて台湾に逃げ込み1949年に共産主義国家が成立した。

 

当時の米国は反共であり共産主義者と取引は出来ない。その後すぐ朝鮮戦争が起こり米国と中国が直接対峙することになると、米国としても「こりゃダメだ、先送り」である。

 

1970年代になりベトナムでコテンパンに負けた米国は、ニクソンの電撃訪中、田中角栄による日中国交正常化によって中国はまた表舞台に出てきた。田中角栄はアオリを食らって失脚させられた。

 

その後小平の依頼を受けて松下幸之助が中国に進出したのは有名な話である。小平は中国の将来を見据えて「とにかく体力温存だ、外に出るな」と言ってたが結局中国はムズムズする気持ちを抑えられず予定より少し早く出てきてしまい逆に米国に口実を与えてしまった。使えない空母買ったらすぐ遊びたくなるやんちゃですね(笑)。

 

今回の戦勝祝いであるが日本にとって楽しい話ではない。けれど未来志向を考えればここで中国と一緒に「戦争やったのは俺達じゃないもんねー、第一俺たち中国合同軍(国共合作)には負けてないもんねー、共産党は逃げてばかりで国民党は便衣兵なんて汚い手を使ってるもんねー、あ、そうそう、大日本帝国軍は解散したのであります。もうおりません。戦争の当事者はいなくなりました。だから今の日本と中国は仲良くやれますよね」なんて演説するのも面白いかも。

 

けど結果的に中国共産党のお祭りへの招待は参加を見送った。米国の依頼もあったのだろうが、いいんでないか。ここで安倍首相が中国に恩を売ったなんて思う中国人はいないから参加するメリットは感じない。それより素直に「自分のご先祖様が負けた戦争に行くには、まだ気持ちの整理がつきません」とでも言えば良い。



tom_eastwind at 23:25│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔