2015年09月27日

新たな3本の矢

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その後、首相は記者会見し、強い経済、子育て支援、社会保障を新たな「3本の矢」と位置付け、国内総生産(GDP)600兆円の達成や、家族らの介護を理由に離職する「介護離職」をゼロにする目標などを打ち出した。

 首相は会見で、「デフレ脱却はもう目の前だ。アベノミクスは第2ステージに移る」と述べた上で、「目指すは1億総活躍社会だ。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持する」と強調。実現に向け、〈1〉希望を生み出す強い経済〈2〉夢をつむぐ子育て支援〈3〉安心につながる社会保障――の「新3本の矢」を推進すると表明した。

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GDP600兆円は景気づけには良いが現実的には無理だ。本気でやるなら現在規制のある業界に踏み込む必要があるが業界団体の徹底的抵抗で政治的に無理だろう。

 

介護離職、これは悲惨な問題だ、政府が何らかの対策を打つのは良いことだ。サ高住の費用を政府が全額負担するようになればもっともよい。

 

子育て支援。これはどうかな、問題は日本のバカ男性の差別意識にあるのでどれだけ法律をいじってもバカの頭は変わらない。ぼくも周囲にそういうバカ男性を見ている。ニュージーランドに来てもこれかよって感じだ。

 

ただこの新しい3本の矢の一番の目眩ましは、一つには最初の3本の矢の物価上昇率2%が行き詰まってしまった事を隠すために打ち出したとしか思えない。経済政策の失敗だ。んー、失敗ってのは可哀想な言い方だから、大きな圧力の中で舵を切れない安倍政権てことか。

 

安倍政権はよくやってると思うが十分ではない。円安導入で輸出産業を成長させる、訪日旅行客の増加、労働組合の代表として企業に賃上げを要求する(連合は民主ではなく自民に投票すべきだ)、そこに運よく石油安だから今回の安倍政権は運がある。

 

けれど実体経済としてはデフレ脱却と言いながらサラリーマン全体の賃金は上がらず一部の富裕層だけが浮利を得ている現状である。朝から晩まで働かされて辞める勇気もなくてそりゃサラリーマンも悪いけど政府だってもっと出来ることあるだろって感じ。

 

そして二つ目は、安倍政権としては安保が通ったので国民にとっとと安保の事を忘れてもらう為に経済政策を打ち出したと言える。なかなか頭の良い政権である。時機をしっかり掴んで国民に向けた適切なめくらましを打っているのは優秀なスタッフがそろっているのだろう。

 

そう言えば安倍首相が米議会で演説した時の原稿を書いたライターは、彼が民間にいる時に書いてた記事をよく読んでた。頭良いなー、けどこんなほんとの事をそのまま書いて委員会って思ってたら政府からお呼びがかかったのが数年前。こういう民の感覚を持った優秀な人物を使いこなせる政府はたいしたものだ。

 

国民に夢を与えるって意味ではうまく政権運営できてると思う。けど実際問題として現場は疲弊している。

 

新しい3本の矢が国民に届くのか?今回の3本の矢は基本的に目眩ましであり国民の胸に刺さるけどそんなもんが刺さったら痛いだけだし酷ければ死んでしまうような話だ。それよりも規制業種に踏み込んで規制緩和して政府は本来の自分の仕事(行政)に戻って欲しい。民のことは民に任せろと言いたい。



tom_eastwind at 17:28│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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