2015年11月20日
共謀罪
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岩城光英法相は20日の閣議後会見で、パリの同時多発テロ事件を受けて、重大な犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる「共謀罪」の創設を求める声が自民党内にあることについて、「これまでに国会で示された不安や懸念を踏まえ、法案のあり方を慎重に検討しており、国会に提出する時期は未定だ」と述べ、慎重な姿勢を示した。
http://www.asahi.com/articles/ASHCN3HBZHCNUTIL005.html
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いい流れですねー(笑)。なんとか一直線ですね。安保法制、マイナンバー制度、そして共謀罪。岡目八目と言いますがほんと、遠くにいるほうが日本がよく見える。
日本で生活をしている人は毎日朝から晩までやること多くて目の前の事で精一杯、なかなか半年とか1年の時系列で日本の政治を考えることができない。
海外、それもニュージーランドのようなのんびりした場所にいると日本がよく見える。5年から10年の時系列で見ているとすべてが最初から決まった方向に動いているのがよく分かる。
東北大震災があろうと神戸大震災があろうと、そういう天災に振り回されず決めた方向へまっすぐ進んでいく。やはり政府官僚というのは方向性の判断力は別としてすごい行動力を持っている。
さて、日本という国は江戸時代に作られた国民性もあるのだろうが方向性としては間違いなく国家社会主義が合っている。民主主義の革を被った国家社会主義というのも西洋人からすれば理解に苦しむだろうが(苦笑)それで国民が納得しているのだから何も言うことはない。
「民は由らしむべし知らしむべからず」で、民としてもお上が無茶をやらないと分かっているから国際政治とか世界の歴史とか文明とか勉強する必要もなく実際何も勉強せずに下らない芸人の馬鹿騒ぎを見て日々の生活に邁進する、まさに今の日本人の多くが過ごしている生活である。
この、両方が利益が出る仕組みは実に心地よい。政府官僚にとっては武力革命を気にせず常に国家を考えてればよいし、国民は毎日言われた事だけやってれば飯が食える。
日本政府(官僚)がすべての民間組織の頂点に立ち日本株式会社が国策として民間会社を指導して強い日本を作る。
それは良いのだが、問題はこの仕組は根本的に50年に一度ぶっ壊れる仕組みだって事だ。人間は誰でも成功体験を持てば捨てられなくなる。それが優秀な組織であればあるほど過去の成功体験を維持して「先輩の指導」に従い時代に合わない事をやる。
時代は変化しているのに自分が変化しようとしない。変化に対応出来ず危機に遭うと竦み上がり硬直してしまうのが日本の政府官僚の弱点である。
バブル崩壊も第二次世界大戦の敗北もすべては過去の成功体験しか知らない官僚が「先輩の指導」に従って引き起こした大惨事である。
それでも日本国民は面白いことに「まあ、たまには天災もあるさ、さ、明日からまた稲を植え直そう」という気持ちがある。だからこの日本という国は何度倒れてもすぐに立ち上がる力を持っているのだ。
でもって今回は共謀罪である。国際社会では当然の法律であるが日本ではまだ導入されていない。何故なら国際社会ではこの法律を導入することで捜査をしやすくしてテロなどの事件を事前に防ぐことが出来るからだけど、逆に言えば彼らの国は国内でテロが起こる可能性があるから導入した法律である。
日本では国際社会が一般的に想定するテロは1960年代終わりから1970年代にかけて起こった日本赤軍による浅間山荘事件などで終了した。今の日本ほど日本人によるテロなどから離れた場所にいる国民は少ないだろう。
今回の法律が実現するかどうかは未定であるが政府官僚からすれば少しでも多くの国民情報収集手段を持っておきたいから既定路線であろう。
この法律には良い面もある。日本人でない人々が日本を対象にしてテロを仕掛けてくる、そうなった場合日本国内で逮捕する為には共謀罪も必要となる。
日本に居住する日本の土地勘のある人間がトルコ経由で中東に行きそこで仲間とテロの計画を作る。目標はソフトターゲット、週末のイオンモールとか新宿駅とか人の出入りの多いところを狙って爆弾攻撃を仕掛けることも考えられる。
日本は良い国ではあるがテロに対しては諸外国のような体制が整ってないのも事実である。あまりに多くの現実離れした法律が警察と自衛隊を縛り上げて緊急時の行動が取れない。
共謀罪が上手く使われればテロ防止になるし、そうでなければ戦前の治安維持法のように一般市民を無差別に逮捕する法律となる。「重大な犯罪の謀議に加わった」の定義がインターネット上で誰かが変な書き込みしてそれに反応しただけで即刻逮捕、懲罰もあり得るって事だ。
すべてはお上のさじ加減である。